メールマガジン/まぐまぐ(みにまぐ)版 
「ボードゲーム通信」 バックナンバー
    1号−85号(2001年1月−2004年4月)


   ボードゲーム通信  http://www.geocities.co.jp/Playtown-Yoyo/4569/



ボードゲーム通信85号 「クレイジーチキン」の感想

横 :感想をどうぞ
金七:今日やったゲームの中ではいちばんあっさりだった
横 :負けても腹が立たないね
金七:それなりに遊べる
横 :悩むことはある
金七:しかし考える必要があまりないように思う
横 :相手の手持ちカードの予想などあまりしなかったし
金七:捨て札を見て、相手はそれを持っていないんだろうと考えるていどだった
(・合計110枚のカードゲーム。
  手札3枚でスタート。
  自分の手番でカードを2枚取る。
  手札からカードをプレイしないときには、1枚捨て札にしなければならない。)

横 :ソロプレイっぽいけど
金七:相手のカードを拾えるのが相互干渉の要素だ
横 :それがあるね
金七:相手が捨てたカードが拾えたらうれしい
横 :裏向きの山札から取るよりも、表向きの捨て札山から取る方が効率がよさそう
(・裏向きの山札2つと表向きの捨て札山2つがあり、どの山から取っても構わない。)

横 :他に戦術としては?
金七:最初はある程度は並べていくべきかも
横 :捨て札にしたら相手に取られてしまうからね
金七:ええ
横 :今回は、捨て札を有効活用されたことが敗因だった
金七:あと、20点のカードが取れたら有利かも
横 :でも20点のカード枚数が多いし、どうだろうか、よく分からん
(・カードは9種類あり、それぞれ6点から20点となっている。
  カード枚数は、点数と同じ。
  カードの種類ごとにプレイして自分の前に並べる。
  最大枚数を並べているプレーヤーが、その点数を獲得する。)

横 :まとめとしては?
金七:まだ1回しかプレイしていないが、悪意を感じないゲームだと思う
横 :それが作者の意図したところなんだろうかね
金七:普通のゲーム、まさに3の評価だ
横 :可もなし不可もなし
金七:ところで、何がチキンなんでしょう
横 :ドイツ語ではチキンに何か意味があるのかなあ
金七:ないんじゃないの、知らないが
横 :アメリカンテイストにしたかっただけかも
金七:その程度では
横 :でもユーモラスな感じにはあまりなってないよね
(・9種類のカードには、擬人化されたニワトリの絵が描かれている。
  ビリーザチキン、スーパーヘン、マリリンヘンローなど。)
 
☆クレイジーチキンは、シャハトが作った2人用ゲーム。
 今回も購入をお薦めするほどのゲームではありませんでした。
 この形式でゲームレビューをすると、さめたコメントとなってしまいがちではありますが。

“Crazy Chicken”(クレイジーチキン)/Michael Schacht(作)
Ravensburger(発売), 2003
2人,30分

個人的評価:金七3、横3

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 発行:ボードゲーム通信社




ボードゲーム通信84号 「リシリュー」の感想

横 :どうぞ
金七:トランプテイストですね
横 :うん、7ならべのよう
金七:止めたりがあるし
横 :確かにね
金七:それからバトルラインぽいですね
横 :カードゲームだし似るんやろね
(・48枚のカードを縦4枚・横12枚づつ並べてスタート。
  プレーヤーは交互に端のカードを取っていきます。)

金七:戦略の幅はあまりなさそう
横 :そう?
金七:オープン情報中心なんでいろいろと考える余地はあるんでしょうが、
   そこまで考える気力がわかないです
横 :そういうこと・・・

横 :戦術的には?
金七:紋章が独占されるとマイナス5点となるのは大きいので、
   点数が少ない紋章の独占を狙うべきでは
横 :キーは5の紋章なんか
金七:ダブルで2枚取りがしやすいですし
横 :そもそも数が多い色はあまり考えられないよね
金七:紋章はともかくマークまでとても把握できないですね
(・カードには紋章やマークが描かれています。それを集めていきます。)

横 :つまらないゲームとは思わないけど、ものたりないね
金七:評価は3ぐらいかなあ
横 :もうすこしやると2に落ちるんとちゃうかなあ
金七:ええ、深さが出る要素はなさげですからね
横 :裏向きタイルは深さを出さない?
金七:これが唯一の不確定要素となっているんだけど、
   そもそもオープン情報さえもすべて処理できていないので、
   1つ余分に取った程度の認識ですね
横 :うーむ・・・
金七:自分が取った分は考える余地もまだ出るんですけど
(・裏向きタイルが載っているカードもあります。
  そのカードを取るとタイルも取れます。)

横 :ところで所有マーカーのうまい使い方があるのかなあ
金七:後半はいらなくなりますよね
横 :研究の余地はあるんだろうけど、まあいいか
金七:そうですね
(・自分の所有マーカーを置いたカードは相手に取られにくくなります。)

金七:もしかしたらとてもバランスよいゲームなのかもしれないですよ
横 :強い人は強そうやね
金七:勝てないレベルの人がいそうだ
横 :本当に効率優先のゲームって感じ
金七:自分の手順のみ追ってたらよいし

横 :このゲームのいいところはどこでしょうか?
金七:サクサクできるところですね
横 :ええ
金七:それから、ここはダメというところのないことですね
横 :そこが特徴なさになってる
金七:けっきょく意欲がそそられないゲームですね
横 :リシリューフアンが聞いたら泣くで
金七:まあ(笑)
横 :評価は3で妥当ということでいいよね
金七:はい

☆ということで、お薦めのゲームでもありませんでした。
 なお、ボードゲームの「王と枢機卿」とは似ていません。
“Richelieu”(「リシリュー」)/Michael Schacht(作)
Ravensburger(発売), 2003
2人,30分

個人的評価:金七3、横3

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  発行:ボードゲーム通信社




月刊ボードゲーム通信83号「ギロチン」

今回はフランス革命時代の大量処刑を扱ったカードゲーム「ギロチン」を紹介します。プレイヤは死刑執行人となって死刑を行い、民衆の支持を得ることを目的とします。この恐怖を連想させる代名詞ともいえる「ギロチン」は、そのままゲーム名に使われていますので、血生臭い雰囲気が漂うゲームと想像されるかもしれません。しかし、ゲーム中はまるでそのようなことはなく、役場の手続きを片付けるが如く次々と死刑が行われていく様はむしろ爽快そのものです(笑)。また、ルール自体も簡単で理解がしやすいため、初めてプレイされる方も十分に楽しむことができます。

このゲームでは、ギロチンの対象となる貴族カードが登場します。各貴族カードには民衆の支持を示すスコアが設けてあり、数字が大きいほど死刑への民衆による支持が高い(つまりは、憎まれている)ことを表しています。例えば、「ルイ16世」「マリー・アントワネット」は高いスコアがついていますが、「民衆の英雄」はマイナス点がついています。よって、プレイヤはできるだけスコアの高い人を死刑し、スコアの低い人を他のプレイヤに死刑させるようつとめなければなりません。

さて、ゲームが始まりますと、12人の貴族が死刑台に一列に並べられて1日目の死刑が行われます。各プレイヤは、時計回りの順番で処刑を次々と行い、貴族カードを手元に取っていきます(つまりは、首を集めているわけです)。これを3日分行った後、一番スコアが高いプレイヤが勝利します。

ここまでのルールですと、単なる坊主めくりと何ら代わりがない運ゲームになってしまいますが、ゲームに幅を持たせるために貴族カードとは別にアクションカードが用意されています。アクションカードは、死刑囚の順番を変更するカードや、特定のプレイヤもしくは全員に影響するカードを含んでいますので、自分の番で処刑を行う前にアクションゲームを使うことによって、より多くのスコアを得ることができるようになっています。

プレイした所感ですが、熟考するケースは殆どなく、手札のアクションカードと場の貴族カードを見比べて最善手を打つ流れでどんどん進んでいった感じでした。ただし、カードの説明が英語になっていますので、日本語シールを貼るなどして、初めての人でも楽にプレイすることができるようにすれば良いでしょう(ありがたいことに、私がプレイした時のカードには全て日本語訳シールが貼ってありました)。

また、「サド」の語源となったフランスの作家マルキ・ド・サド候爵の生涯を描いた映画「クイルズ(Quills)」の冒頭の部分で、ギロチンを行う際の死刑囚と民衆の様子を描写していますので、死刑場の雰囲気を掴むことがある程度できると思われます。

「ギロチン (Guillotine)」 Wizards of the Coast Inc.、
Paul Peterson作、2〜5人
Kenの個人的評価:3(誘われればプレイする)




月刊ボードゲーム通信82号 「4人将棋」

みなさんこんにちは、鱶(fuka)です。月刊ボードゲーム通信をお届けします。
 頻度が約4分の1になって、濃度が4倍になるわけでもありません…。
(圧縮ファイルで届けるという手が…濃縮じゃないからだめか…。)

 さて、今回は去年10月の「4人将棋」の続きです。
久しぶりにスーパーファミコンを出して、やってみました。いやいや、
昔は何時間もゲームできたんですけど、一局で目が疲れてしまいました。

 さすがに、将棋盤に4人分の駒がひしめくと、せまくてかなわんです。
三方のフィールド上の駒に加えて、持ち駒も注意しなければ、あっという間に
不利な態勢になってしまうこともあります。逆に、一人を追いつめるときに
その他のプレイヤーの駒の利きを利用することもあります。

 昔、金七さんも指摘してたような気がするのですが、右の相手を
攻めたほうが良いようです。手番は時計回りに進むのですが、
王手がかかったときは、王手をかけられた人に手番が飛びます。
 よって、右の人に王手をかければ、次に自分の番になり、他プレイヤーに
邪魔されずにすむのですが、左の人に王手をすると、避けられた場合、
そのまま手番が回るので、“とんびに油揚げ”確率が非常に高くなります。

 このゲームの普及見込みはどうなんでしょう。
 うちには将棋倒しをするために、将棋セットが3つくらいありました。
少し前は、わりと各家庭に将棋があったように思うのですが、
最近はどうでしょう。囲碁が人気みたいですけど、将棋のほうは
あんまり聞かないので。(といっても、ボードゲームよりは多いでしょうが。)
 その辺のインフラ整備がこのゲームの問題かもしれません。一般人にとっても
ボードゲーマーにとっても、将棋を2セットというのは敷居が高い気がします。
買えないわけじゃないけど、ボードゲームを買って箱を開けるときのドキドキ感
に比べると、どうも手を出しにくいですね。

 それではまた来月。




 月刊ボードゲーム通信81号 「マンハッタン」

 ついに月刊化したメールマガジン、今回は「マンハッタン」を取り上げます。
頻度が約4分の1になって、内容は4倍に・・・なりません。
書く手間というよりは、ネタ切れのためですので御了承ください。

 一応2−4人用のゲームですが、ここでは4人プレイを前提にして話を進めていきます。
というか、2、3人プレイでの「マンハッタン」はいまいちな気がします。
他プレイヤーとの兼ね合いや運(建設カード)の要素があり、深く考えないでプレイしても楽しめるゲームですが、
プレイヤーの関与できる範囲内での「勝利への道」を探ってみます。

 まず、いくら効率のよいビルパーツの置き方がわかっていても、建設カードが無くてはどうにもなりません。
次に引く確率は約9分の1なのであまり当てにせず、手元にあるカードを元に戦略を立てたほうがいいでしょう。
細かいことを言えば、使用されたカードや、他プレイヤーの持ちカード−高くなったビルから推測(笑)−によって、
多少は残りカードの種類が予想できるので、いくらかは計算に入れてもいいかもしれません。
ルールに特に記述が無いので、使用したカードは常に全プレイヤー参照可能だと思います。
 
 「エルグランデ」では、行動の際「獲得ポイント/投入騎士数」をいくらかは目安にできますが、「マンハッタン」で同じような計算はしにくいです。
上に書いたように建設カードによって行動が制限されているうえに、パーツの重要度が異なるからです。
4階建てを1個置くよりは、1階建てを4個置くほうが効率的ですが、大きさにかかわらず1個ずつしか置けないので、
他プレイヤーへの影響力を考えても、4階建ては1階建てより幾分大事です。
この「幾分」というのが微妙で、単純に4倍の価値ではないのが計算を困難にしています。

 最後に何を得点源にするのがよいか、という点について。
「1番高いビル」は目立つ上に、なんとなく気分がいいので、私は好きなのですが、勝利のためにはあまり拘泥しないほうがいいでしょう。
1ラウンド目にしてゲーム中逆転不可能なビルの所有が確定し、確実に12点が計算できるなら別ですが、それはほとんど不可能です。
ひとつのビルに集中すると、どうしても全体としての効率は悪化してしまいます。
自分が最終手番のラウンドは、他プレイヤーの干渉を考慮しなくてもよいので、狙ってもいいとは思います。

 「各都市のビル王」は、結果としてなるのはともかく、積極的に狙う物ではない気がします。
6都市に4人ですから、2つの都市を制圧?できればいいといえます。
2つの都市に集中してビルを建設すれば、無駄が無く効率的に思えるかもしれませんが、実際にはリスクのほうが大きいです。
必ず競合する都市ができますし、その場合集中しすぎていると保険が無いので敗れたときが悲惨です。

 というわけで、やはり「所有するビルの数」を得点源にするのが、地味ですが効果的です。
結果的に「各都市のビル王」にもつながりますし、分散させることによってカードの引きにも対応しやすくなります。
他プレイヤーの得点を消す行為は、ビルが高くなる上に、敵の数を減らして自分の数が増えますから、
「各都市のビル王」にもつながりいいことずくめに見えます。
しかしながら当然置かれたプレイヤーの反撃にあいやすいですし、早めに得点を稼ぐのは得策ではありません。
何せいざ目標にされた場合、団結すれば3倍の行動力があるのですから、ちょっとした優位などすぐ吹き飛ばされます。
それよりは、一見あまり効果の無いところにビルを建てていき、最後に沢山得点できる可能性を増やすべきでしょう。
最終ラウンドに限っては、手を広げるよりは得点に集中したほうがいいかもしれません。

 ここまで書いてきましたが、実際には他プレイヤーの理不尽(と思える)行動に自分の行動も左右されがちです。
ゲームを楽しむ、という観点から見ると一喜一憂しながら進めていくほうがいい気もします。
長期的視野で進めていっても勝てるとは限りませんので、その点はあしからず。(記事の意味無いやん・・・)

「マンハッタン(Manhattan)」 / Hans im Gluck / A.Seyfarth(作)
  2−4人 / 60分 / 1994年
金七の個人的評価:4(明らかに長期的視野を欠いたプレイヤーです)




隔週刊ボードゲーム通信80号 「ジェンガ」

ジェンガはなぜボードゲームなんだろうか?
 ボードを使わないのにボードゲーム?と非ゲーマーなら思う。
しかし、ゲーマーはそういう疑問を抱かない。それは日本も外国も同様だろう。実際、ハズブロー社から発売されているし。
 我々(ゲーマー)にとって、ボードを使わないゲームであるカードゲームやダイスゲームもボードゲームである。
 それではボードゲームという名称じたいがへんだと、最近ではテーブルゲームとか、非電源系とか、アンプラグドといった名称が提唱されている。
 名称の問題は置くことにして、我々にとってボードゲームの範囲はゆるいのである。従って木片しか使わないジェンガもボードゲームとなる。
 ということで、はじめに立てた疑問に対する結論は出たことになる。しかし、これで済ましてよい問題なんだろうか?

 話のついでにもう少し考えてみる。ジェンガがボードゲームなら、おはじきやあやとりもボードゲームなのか?
 否、ボードゲームとは見なされない。ボードゲームの範囲は広いのになぜか?
 その線引きは、完結したゲームとなっているかどうかだと思う。ルールブックが付属されたおはじきであれば、ボードゲームとなるであろう。ボードゲームかどうかというよりかは、ゲームかどうかと捉える方が分かりやすいだろう。ジェンガが積み木ではなくボードゲームである所以は、ルールが付属されている点にあると言うこともできる。

 もう一つ考えたい問題がある。我々がボードゲームとは見なさないボードゲームについてである。
 囲碁、将棋、オセロ。非ゲーマーはこれらをボードゲームだと思うが、我々はそうは思わない。テーブルトークRPGも同様だ。最近ではトレーディングカードゲームもそうだろう。
 これらのゲームはなぜボードゲームではないのか。ボードゲームの範囲は、広いのか狭いのか?

 そもそもボードゲームという概念はいつ生まれたのだろうか?
モノポリーが誕生した頃なのか?アメリカでボードゲームが多く生産されるようになった頃なのか?
 これは論者の立場によって見解が分かれる類の問題である。しかし少なくとも、ボードゲームという概念が生まれた当初は、ボードゲームの定義は現在の非ゲーマーにとってのものと変わらなかったことは推測できる。つまり「ボードを使うゲーム」だ。それが時代とともに変化していった。

 話を戻す。ボードゲームではないボードゲームには2種類あると言える。
 1つは伝統的なゲームである、囲碁、将棋、オセロ。もう1つはもともとはボードゲームであった、テーブルトークRPG、トレーディングカードゲーム。
 前者は、ボードゲームという概念が生まれる前から存在していたもの。後者は、ボードゲームから分化したもの。
 現在では、それぞれが独立した娯楽分野を形成している。それゆえにボードゲームとしてひとくくりにされる必要はない。
 見方を変えると、ボードゲームという娯楽分野は、新しく生まれてきたゲームをまとめて引きうけているのである。ジェンガがボードゲームである所以は、そこにあるとも言える。

 ところで、1つの疑問は、シュミレーションゲーム(ウォーゲーム)がボードゲームの範囲から出なかったのはなぜかということだ。


「ジェンガ」'JENGA'/ Leslie Scott(作)/Hasbro/1987年
横の個人的評価:3

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  発行:ボードゲーム通信社




隔週刊ボードゲーム通信79号「カタン」

 皆さん、今年はお世話になりました。来年もよいお年をお迎え下さい。
 さて今年1年を振り返ると、カプコンから「カタン」と「指輪物語」が発売されたことは大きなニュースでした。これらは、ブレインスポーツという命名されたボードゲームシリーズの第一弾でした。
http://catan.jp/main.shtml

 積極的なプロモーション活動の成果で、「カタン」は徐々に知られていっています。実はあまり売れていない可能性もありますが、ボードゲーム界の発展には大いに寄与しています。
 他方、「指輪物語」はまるで忘れられた存在です。カプコンが想定した「指輪物語」の購買者層は、指輪物語に関心のあるボードゲーム初心者と、ボードゲームマニアだったと予想します。しかし、そのどちらも「指輪物語」を購入していないのではないでしょうか。ゲーム選択事体が失敗であったと思います。

 さて、ブレインスポーツシリーズの第二弾は、我々にとって関心事です。しかしカプコンのウエブサイトを見るかぎりでは、その内容は未定です。そこで今回は、シリーズ第二弾について考えてみようと思います。

 カプコンにとって、アナログゲーム事業は新規事業です。それは、中心である家庭用ソフト事業とは異なり、3年かけて徐々に利益を得るビジネスモデルをとっています。そして、なんと20年がひとつのスパンと考えられています。20年後にもコンスタントに毎年何十万セット売れてはじめて成功したプロジェクトだといえるということです。カプコンは、アナログゲーム事業を、物販ビジネスではなくサービスビジネスと考えています。
「海外のゲームを持ち込む意義」(カプコンの中里氏へのインタビュー)(『ゲーム批評』2003年1月号,マイクロマガジン社)

ちなみにカプコンの最近の決算報告書では、カタンについて以下の通り述べられています。
「また、新機軸商品として知的エンターテインメントが体験できる、ドイツ生まれの卓上ゲーム「Catan(カタン)」を発売し、耳目を引きました。」
http://www.capcom.co.jp/ir/finance/pdf/021112.pdf

ところで、カプコンの社員はカタン以外のボードゲームには関心がないように見受けられます。そうであるならば、カプコンは得意なカタンだけを売っていけばよいのです。第二弾として他のゲームを出す必要はありません。やっていないボードゲームを販売したとしても成功しません。「指輪物語」がいい例です。カプコンは素人考えで「指輪物語」を出してしまったのではないかと思います。たしかに「指輪物語」は、ボードゲーム界の権威である安田氏に高く評価されているようなゲームです。
http://www.gentosha-comics.net/aqua/back/back09.html
http://www.gentosha-comics.net/aqua/back/index01.html
 しかしこれは、新しいタイプのゲームであるという点で高くなった評価です。私はこのゲームをしたことがないのでゲームの出来に関しては語れませんが、初心者向けとは思えないですし、自分自身も購入したいとは思いません。

 カタンの売り方を見るに、カプコンはとてもえらいと思います。商品を売りっぱなしにするのではなく、マーケッティング(マーケットを作り出し、育てること)を頑張ってしているからです。カプコンほど資力のある会社であれば、大々的に広告費を使ってプロモーションすることもできます。しかし、店でプレイできるようにしてもらうといった非常に泥くさい方法を取っています。これは、社員がカタンのことをよく知っており、そして愛しているからこそできることです。
 
「カタン」,株式会社カプコン,2002年
横の個人的評価:3(普通)

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隔週刊ボードゲーム通信78号「十六武蔵」

みなさんこんにちは。
 今回は「十六武蔵」の順番です。そういえば、「十六武蔵」も、2人用ボードゲームでした。ちょうどHPの方で終わったばかりの「2人でやるボードゲームについて」の考察ですが、ちょいと後で気がついたことがあります。

 それは(2人用ゲームに限りませんが)、各プレイヤーが同じキャラクター・能力でプレイするか、違うキャラクター・能力でプレイするかです。

 「十六武蔵」は後者で、1Pの武蔵と2Pのその他大勢が戦う構図で、お互いの能力も違います。武蔵は1人ですが二刀流で2人の敵を倒すことができ、その他大勢はその数を恃んで戦います。これは典型的な”能力不均衡ゲーム”? or ”非対称形ゲーム”? or ”アンバランスゲーム”? …なんて言えばいいんでしょうか、よくわからないですがそういうものだと思います。(ちなみに、将棋の飛車角落ちなどは典型的ではない”これ”でしょう。)

 この不均衡系のゲームは、まずもってバランスが非常に大切です。このバランスとりに失敗すると、「十六武蔵」のように武蔵が勝てないゲームになってしまいます。ある程度の有利不利はHPでのKen氏が言及していたように、「プレイヤー間に腕の差がありすぎた場合」に対応することができますが、そのギャップが大きすぎるとかなり興ざめになってしまいます。

 ”不均衡系ゲーム”については、いずれテーマにできそうな気がします。とりあえず今回はこれにて。ではでは

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隔週刊ボードゲーム通信77号「ファミリービジネス」

 表題はファミリービジネスですが、ゲームの紹介はWeb版と重複するので、例によってそこから連想したことを書いていきます。
今回は、ゲームの中で扱われる殺人などの犯罪行為?について考えてみます。
ファミリービジネスのような人殺しのゲームから、ニュークリアウォー(ほとんどの場合人類が滅亡するカードゲーム)のようにいくところまでいったゲームまで、
見る人によっては不快になりそうなゲームが結構あります。
私の好きなウォーゲームも、古代戦ならまだしも、二次大戦あたりになるとまだ「ゲーム」として遊ぶには不謹慎だ、という考え方もあるでしょう。
ここで「お遊びだから」だけで済ましてしまうのは、あまりにも無神経だと考えます。
ゲームの中で他プレイヤーを攻撃することに抵抗を感じる方は結構おられると思いますが、そもそもゲームによってはプレイすること自体が他者を傷つけることになるとは思いませんか?
小説などでは書き手の問題として考えられていますが、ここではプレイヤーの問題として考えてみます。

 犯罪行為(含む戦争)を想起させる、あるいは逆に犯罪行為から連想されたゲームは沢山あります。
それを嬉々としてプレイするのは、正直いってあまり自慢できる行為ではないな、と思っています。
特に事件の当事者や関係者からの非難は甘んじて受け入れなければならないでしょう。
もっとも、現実に起こったことから目をそむけるのは、さらに非難されてしかるべき行為ですし、一番大事なのは同じことが起きないようにすることです。
この点に関してゲームをプレイすることは何の妨げにもなりません(助けにもなりませんが)。
踏み込んで言うなら、プレイしない人よりそうすべき義務があると考えています。
そうでなければ、本当に単なるゲーム馬鹿ですから。
戦争ゲーム好きな私ですが、最近台頭している力を誇示しようとする向きとそれに対する圧倒的無関心には満腔の憎悪を感じています。

 何も常にゲームをしながら正義(適当な言葉ではありませんが)について考えようというわけではありません。
自覚的に楽しめたらいいなと思うのです。
例えば、どこからが不謹慎になるのかということに絶対的基準はありません。
それぞれが判断するということが大事で、他人に強制したりされたりでは本当に考えたことにはなりませんね。
与えられた餌としてでなく自主的にボードゲームを楽しむからには、それに伴う楽しさ・非難・義務?等、いろいろなことを受け入れる必要があります。
それが面倒だというのは、生きていくのが面倒だというのと同義だと思いますし、与えられたものは容易に奪われます。
まあ最終的にはそういったことも含めて、各人の自由なのですが・・・。

 最後に蛇足ですが、上記は全て金七個人の態度表明?です。
読者の方々に強制するものではありませんし、ご意見は私へどうぞ。
原稿遅れたくせに実にえらそうな内容ですみません。
最近の思考停止が蔓延した世相を苦々しく思っているのでつい。
基本的には自戒だと思っていただければ幸いです。

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隔週刊ボードゲーム通信76号 「ビッグチーズ」

今回はプレイヤーがねずみ金融株式会社の副社長となり、1ヶ月後に退陣する社長の座をめぐって、大きな業績を求める競り型カードゲーム「ビッグチーズ」を紹介します。

各プレイヤーは副社長ですので、それぞれ部下を10匹抱えています。これらの部下を使って、プレイヤーが1枚づつ順番にめくる形をとり、プロジェクトカードを1枚づつ競り落としてきます。プロジェクトカードを競り落とすためには、他のプレイヤーよりも多くの部下をそのプロジェクトに割
り当てる必要があります。
プロジェクトの規模は一定ではなく、規模が大きいカードから小さいカードまでがありますので、どのくらい部下を取り込んでも良いかどうかは、周りの状況から判断することになります。

他の競り型ゲームと異なるのは、一旦プロジェクトに割り当てた部下が、毎ターン1匹ずつ手元に戻ってくる点です。そして、あるプロジェクトに割り当てた部下が全員手元に戻ってきた時点でプロジェクトは完成し、プロジェクトに書いてある数字と同じ面数を持つサイコロを振り、プロジェクトの出来栄えを確かめます。こうして、一番早く勝利ポイントが40ポイントを超えたプレイヤーが勝ちとなるわけですが、プロジェクトカードの中には、勝利ポイントをかせぐことのできるカードの他、競り対象となるプロジェクトカードを捨てさせる「Veto」やサイコロの降り直しができる「BigCheeze」といったカードが含まれており、ゲームの流れにスパイスの役割をもたらしています。

このカードゲームを出しているのは、チーバス社ですが、とにかくゲームを安い価格で提供することにつとめています。これは、会社の教訓が「世の中に出ているゲームを構成するサイコロ・駒などのコンポーネントは他のゲームで流用できるので、自分たちの会社はそのゲーム独自の部分(ルールやカードなど)のみを提供し、ゲーム間で共有できる部分(駒、カウンター)は徹底的に共有する」となっているからです。実際、このゲームでも、カウンターや多面体サイコロを別に準備するようになっています。

ある程度ダイス運が含まれていることとカードのイラストに愛嬌があることから、ゲームに慣れているプレイヤーだけではなく、ゲームを初めての方にもお勧めしたいところですが、ゲームの流れがとてもスムーズになることが多く変化が少し足りないかなと感じることがありました。

「ビッグチーズ(The Big Cheese)」 Cheapass Games、3〜6人
Kenの個人的評価:2(特にプレイしたくない)…カードのイラストはけっこう気に入っているのですが…

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隔週刊ボードゲーム通信75号 「スポーツとボードゲーム」

 前回の金七氏に引き続き、鱶(fuka)のお送りする今回のまぐまぐは…「サッカーワールドカップチャンピオンゲーム」の順番ということになっているのですが…。
 ワールドカップの興奮も冷めてみると、「サッカーワールドカップチャンピオンゲーム」…えらいゲームを紹介してしまったもんです。素面ではでけんなー。というわけで、どないしましょうかね。徒然なるままに語っていいっすか?

 さてさて、昔ファミコンでサッカーのゲームやら10ヤードファイトとかディスクシステムのアイスホッケーとか、そのあたりをやったことがあるのですが、まあまあ、確かに面白かったものはあるのですが、難点といえば、多人数の選手を一人でリアルタイムに動かさなければならない点でしょうか。
 野球なんかはバッター対ピッチャーに集中できるのですが、サッカーとか、バスケとかは特に難しい気がします。で、その点ボードゲームではリアルタイム性はさほどないので、上手く処理できればという気もするのですが…。

 と、ここまで書いてきて、突如思いついたのですが。スポーツというのはもともと決まったルールがありますよね。で、それにあわせてゲームを作る…これってどっかで聞いたことがありませんか。そうです、「キャラクターが持っている特徴にあわせてゲームを作らなければならない」キャラゲーの法則です。スポーツゲー≒キャラゲー理論が成り立つのではないでしょうか。何もないところからボードゲームを作るのと違って、すでに存在しているルール(キャラゲーの場合は暗黙の了解的なもの)に沿ってゲームを作っていくのは非常に難しいのでは?よって、そのために良作ができにくい気がします。

 なんか、かぜひきのぼーっとした頭で考えたことなんで、とんでもないこと書いてます?とりあえず今週はこんなところです。みなさんもかぜには気をつけてください。




隔週刊ボードゲーム通信74号 「スポーツとボードゲーム」

 今週は以前Webで紹介したサッカーカードゲーム「MY TEAM」の順番なのですが、
二度取り上げるほどの内容もありませんので、「スポーツとボードゲーム」というテーマで書いていくことにします。

 スポーツのボードゲーム化には、その知名度と楽しさを利用できるというメリットがあります。
しかしながら、あまり成功したゲームはないな、というのが私の認識です(全てのゲームをやったわけではありませんが)。
それは「ファミスタ」「ウイニングイレブン」など、コンシューマーのゲームと比較すると明白です。
プレイ人口の差はありますが、競技の楽しさを伝える点でコンシューマーのほうに一日の長があるのも確かです。

 スポーツ(観戦も含めて)の楽しさといってもいろいろありますが、達成感もそのひとつだと思います。
言い換えるなら、自分もしくはひいきの選手・チームが活躍したときの開放感ですね。
あのカタストロフィーをより感じるためには、先の読めない展開が必要です。
どんなナイスゲームでもあらかじめ結末を知っていると興味半減ですから。
ボードゲームでは「瞬間」の演出が非常に難しいので、この点は不利でしょう。
ダイスやカードである程度の表現はできますが、これに頼りすぎると肝心の達成感が損なわれてしまいます。
スポーツボードゲームに一番多く見られる欠点ではないかと考えます。

 瞬間に至るまでの過程を楽しむのも、もちろんありでしょう。
「ダビスタ」や「サカつく」などがそうですが、それらにしても「瞬間」は重要な要素ではあります。
レースや試合を見ない人は少ないでしょうから。
それでもこちらをメインにするほうが、ボードゲームには向いているでしょう。
比較的、結果にこだわらないでも楽しめるいという長所がもともとボードゲームにはあるからです。
トレーディングカードを使ったゲームは、お気に入りの選手を集めるのを楽しめますから、過程志向とも言えます。
試合の準備をすることで展開の予想(希望)が生じ、達成感やカタストロフィーが増すことも考えられますし。

 最後に直接的な方法として、物理的に再現する「野球盤」方式があります。
ただこの方法は、実際の競技そのものと比較される危険性?がより高いのが難点です。
ゲームのシステムというより、再現のシステムが問題なわけですから、ゲームとしての評価は低くなってしまいます。
それとはまったく逆に、思いっきり抽象化してゲームにする方法もありますが、
これは知名度の高さが逆にあだとなって、その競技のファンからの怒りを買うでしょう。
「これのどこが○○なんだ!」
さすがにドイツのデザイナーも、お得意の手法でサッカーをボードゲームにする勇気はないと見ました(笑)。




隔週刊ボードゲーム通信73号 「アウトドア サバイバル」

 「アウトドア サバイバル」は昔のアバロンヒルのボードゲームです。アバロンヒルは、シュミレーションゲームを中心に出版していた会社ですが、ファミリーゲームのジャンルも出版していました。このジャンルのゲームはあやしい(個性的な)ものが多かったのですが、人気はあまりなさそうでした。コンポーネントのわりに値段が高かったことが、売れなかった原因だと思います。その上、このジャンルのゲームについての情報はほとんどなく、購入はとてもリスキーでした。
 私が「アウトドア サバイバル」を買ったのは中学3年生のときです。仲間内でボードゲームを通信販売購入することがあり、自分もついで1つだけ買うことにしました。特にこのゲームが欲しかったわけではないのですが、1500円で安売りされていたので選びました。定価はたしか5800円で、箱なしのため安売りされていたのです。

 「アウトドア サバイバル」はすぐに手元に届きました。もともと期待していませんで、その期待程度のゲームでした。コンポーネントは古めかしい印象でした。コマは片面印刷で原色の安っぽいもの(アバロンヒル的)でした。地図はハードで広くて立派でしたが、絵は美しくもなかったです。森や湖や砂漠などの地形の配置も、どうもリアルな感じがしません。
 初めてのボードゲーム通信販売でしたが、ゲーム選球眼としては5段階評価の2(失敗)だったかなと思います。評価2のコメントとしては「やらないゲームをまた買ってしまった」でしょうか。値段が安くダメージは少なかったという点で、評価1(大失敗−「金返せ」)ではなかったです。
 
 付録として「サバイバルガイド」("a primer about wilderness skills") が付いていました。それは23ページのもので、狩猟の方法、火のおこし方、応急処置のし方などが図解入りで解説されています。ゲームにはまったく関係のないシロモノです。自分にとっては用のない内容だったので、「もっとゲームのできを高めることにエネルギーを使ってもらいたい。それができないなら値段を安くしてもらいたい」と感じました。
 しかし同時に、この冊子にアメリカらしさを感じました。日本のボードゲームでは、こういう付録をつけることはなさそうですから。それに23ページもの力の入れようです。なんか余裕が感じられます。また、この冊子の内容がとても広くてとても浅いというところがアメリカらしいと感じました。例えば、毒蛇や毒草を図解入りで2,3説明しているのですが、この程度の知識がサバイバルに役立つとは思えません。まじめなのか、てきとうなのかよく分かりません。

 ところで、コンポーネントについて考えることは、ボードゲームの歴史ではメインテーマだったと言えるでしょう。近年では、コンポーネントがボードゲームの命であることをドイツゲームが実証しました。
 地図やカードの美しさは飾りにすぎません。コマが木製であらねばならない理由はありません。しかし、雰囲気を形成するとか、人を引きこむとかいった役割として、コンポーネントは非常に重要です。ゲーマーならよく分かっていることでしょう。
 コンポーネントが徐々によくなってきたことは、美化(aestheticization :適切な訳語がなさそうだが、美しくなるという意味)という観点で見ると、必然的な流れと言えます。つまり、世の中のモノ(特に商品)がどんどん洗練されて美しくなることは必然であり、ボードゲームも例外ではないということです。

 しかし、商品を理解するためには、美化という観点のみでとらえることは不十分だと私は思います。音楽CDのような象徴的な要素が強い商品を例に考えてみると、分かりやすいです。音楽CDの主要な中身は、音楽です。CDに付随するジャケットや箱や付録は、音楽とは関係のないものです。これらが一体となって1つの商品となっています。音楽CDを構成するそれぞれの要素について考えてみると、音楽が洗練されて美しくなることは美化の流れと言えます。ジャケットがセンスよくなっていくことも、同様に美化の流れです。しかし、付録のアイテムは美化とは別の観点で理解するべきです。それは遊び心と捉えるべきなのです。
 美化も遊び心も製作者の意思によるものです。その点でそれぞれの起源は同じであり、方向性も同じです。美化の進行があるとき突破して遊び心が発現するのか、美化とは無関係に遊び心が発生するものなのかは分かりませんが、遊び心は美化よりも高いレベルに位置すると考えたいと思います。遊び心の発揮は美化よりも難しいからです。また特徴としては、美化は順当で保守的なものであり、遊び心は斬新で破壊的なものです。遊び心はそのインパクトの強さから、製作者の思い入れの具現化と言ってよいでしょう。

 さて、「サバイバルガイド」について話を戻します。今となっては、この冊子が付録として付いていたことは高く評価できると思います。ゲームとはまったく関係のないものに資源を使った勇気はすごいです。こんな企画がよく通してもらえたものです。デザイナー(ダニガン)は、かなりの熱意を持って人々を説得したことでしょう。
 「サバイバルガイド」は、コンポーネントとは別物として捉えてしかるべきです。我々にとってコンポーネントとは、地図やユニットなどのゲームに関係するものを指します。それらは、美化の流れに沿う性質のものです。「サバイバルガイド」は、そういったコンポーネントではないモノ=遊び心なのです。
 ずばり、「サバイバルガイド」の存在はジョークです。センスの良い遊び心です。当時の私にはこの意味が分かりませんでした。
 では一体、遊び心アイテムの存在意義は何か。それはゲームとしての自己表明にあります。遊び心アイテムは、そのゲームの象徴なのです。「アウトドアサバイバル」と聞くと、皆「サバイバルガイド」を思い浮かべるのです。それほども、遊び心アイテムはパワフルな存在なのです。

 
<演習問題 1>
「遊び心アイテムが含まれるドイツゲームを1つ挙げなさい。そして、そのアイテムを評価しなさい」
 
 
「アウトドア サバイバル」
アバロンヒル,J.F.Dunnigan(作),1972,2-4人
横の個人的評価:3(普通)

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  発行:ボードゲーム通信社




隔週刊ボードゲーム通信72号 「スパイズ」

 みなさんこんにちは。今回は再び「スパイズ」です。
 が…困った困った。なんせ、最後にプレイしたのは5年以上前やし、総プレイ回数も5回くらいというありさまです。前回のHP版週刊ボードゲーム通信第86号で大体書いているので…。
 
 とりあえず、今回は主な上級ルールを2点紹介します。
 上級ゲームではアクションポイントがあり、各自のターンに12ポイント与えられます。各自のターンに行動(イベントカード・アクションカードの使用やスパイの移動など)する時にアクションポイントを消費し、その範囲内で行動を行います。(「ティカル」や「トーレス」でもおなじみのシステムです。)

 また、イベントカードには事件の内容によって特別な効果をもつものが8種類あります。
 Ge1(ドイツのイベントカード)は「1937-39 チェコ侵攻」ですが、これが使用されると、チェコスロヴァキアはドイツ領となりゲーム終了までその状態となります。そして、Br30(イギリス)の「1936-38 チェコが反ヒトラーをめぐって分裂」のカードはGe1が使用された後は使えなくなります。

 このように、アクションポイントの採用、イベントカードの特別効果により、より戦略的なゲームになっていると思うのですが、プレイ回数も少ないため、よく分かりません。
 ただ、イベントの使用にしても、敵スパイにカードやお金を与えないように考えて出していかないといけないので、毎回出す順番が決まってしまうというようなことはありません。…ということはやはり、直前のプレイヤーのスパイの動きに便乗して、自分もおこぼれをもらうという「コバンザメ戦法」(←金七氏に教えてもらった。金七氏は雑誌で見た?)が一番有効なんでしょうか?
 
 実は「スパイズ」には、ひどい目にあった覚えはあります。アクションカードの「発見」がないと、秘密情報の入手ができないのですが、山札から引いても引いてもどうしてもそれが入手できなかった苦い思い出があります。あの時はほんまにゲームにならずひどいゲームやと思いましたが、今は時の経過により癒されているので3評価です。
  
"SPIES!"(「スパイズ」)/John Prados, Lenny Glynn(作)
SPI(発売), 1981
2-5人
鱶(fuka)の個人的評価:3(普通)

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隔週刊ボードゲーム通信71号 「CITADELS」

 今回は、2000年のドイツゲーム大賞にノミネートされたカードゲーム『操り人形』の英語版『CITADELS』の紹介をします。英語版といっても、単なる焼き直しではなく、新しいキャラクターやルールの追加、便利な小物がついています。

『操り人形』は、プレイヤーが国の貴族となり、特徴がある8人のキャラクターをうまく操って、都市を建てていくゲームです。プレイヤーは、暗殺能力を持つキャラクターや、お金を盗むことのできるキャラクターなどを操ることによって、いかに相手プレイヤーから悟られないように、また相手プレイヤーの考えを読んでプレイするところが、このゲームの魅力といえるでしょう。

 さて、『CITADELS』は、『操り人形』と比較すると以下の点が大きく異なります。

 1)8人のキャラクターに加え、新たに10人のキャラクターが登場する。

 2)キャラクターカウンターや得点カウンターを付属している。

 3)2〜3人プレイのルールに、ルール変更がある。

 1)の新キャラクター10人ですが、前回登場した8人のキャラクター(これを旧キャラクターと呼ぶことにする)のそれぞれの番号に対応する新キャラクター8人に加え、9番目のキャラクターが2人(プレイする際は、2人のうちのどちらかが登場することになる)が登場します。各キャラクター番号について、新旧どちらのキャラクターをゲームに登場させるかは、ゲームを始める際にプレイヤー同士で話し合って決めます。キャラクターの特徴は後ほど述べるとして、登場させるキャラクターの組み合わせによってはゲームの進め方を早めるなど、ゲームの味付けを変えることができます。また、9番目のキャラクターを登場させるかどうかは、プレイヤー間で取り決めることになっていますが、登場させることによって、最高8人まで遊べるようになっています(でも、箱には2〜7人まで遊べるって書いています)。

そのほか、旧キャラクター8人のいくつかは若干のルール変更がなされたところもあり、キャラクターの特殊能力が少し抑えられたように感じます。

 2)は、新キャラクターの追加により、合計18人のキャラクターが登場する機会を持つわけですが、プレイヤー側からしますと、数多いキャラクターの中、どのキャラクターが実際に登場しているのかを把握する必要が出てきました。そこで、キャラクターの顔が書いたカウンターを場に置いておくことで、登場するキャラクターをいつでも確認ができるようになっています。また、得点についても、都市の組み合わせや建設数からなる特別ボーナス点がすぐに判るように、+2〜4点の得点カウンターが用意されています。

 3)は、1人のプレイヤーが、2人のキャラクターを操り、それぞれの都市を建てることができるようにルールが追加されており、キャラクターを選択する部分が良く工夫されています。

 あとは、箱が妙に大きいとか(バ○ルラインの箱の大きさを超えています)、コインがプラスチックから紙に変わった、王冠カードが小さくなって、風が吹いても飛ばされなくなったなどの変更点がありますが、ゲームの面白さはそのまま引き継がれていますので安心して下さい。

"英語版『操り人形』"(CITADELS)
Fantasy Flight Games(発売),
Bruno Faidutti(作),
2002年, プレイ人数2-7(と書いているが、8人まではOK), 20−60分
Kenの個人的評価:4(良い)

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週刊ボードゲーム通信70号 連載小説「伝道師ぼげこ」

 「第1話 いつもの仕事」(6) 

<緊急時略式手続 パスワード入力_>

焦らせやがる。これには驚いたシンゴだったが、そのパスワードがIDカードの裏に、油性マジックで書いてあったのにはもっと驚いた。しッかし汚い字である。
<手続完了 次の人物の管理責任に於いて 銃器庫を解放します>

<文部科学省 ゲーム庁 三局(SAI) 局長  ぼげどおり ぼげこ>
 
あれ!?。BB、局長って…ドイツだろうに。
電子音とともにひとりでにノブが回る。銃把をこちらに向けて整列している武器と、やっと相まみえることのできたシンゴであるが、今日何度目かの混乱に、また囚われたようだ。
いや…もしかして…しかし…あるいは…とにかくあとだ。
ホルスターをベルトに通して、自動拳銃を納める。ぼげこの銃も(使わせる事態にするつもりはねえ。)取り出すと、尻ポケットにねじ込んできびすを返す。
巌 身護。ヘアチェックはときに怠けても、銃器の手入れは怠りない男だ。

「港区まで先導させる。飛ばせ。」
夕刻、帰宅ラッシュの都心部を矢のように突き進む一団。前方にはヘリコプターが民間車輛に警告を発しながら低空をゆく。
「BB、常時待機班への指令は、まだ?。」
「まだだ、はやるな。」

大気に潮の香りが混じり出したころ、受信を示すランプがビープ音とともに点灯した。
「…『ノーチラス』か?。」
「全班、回線いいな?。『ネモ』だ。…聞こえている。やはり、…そうか成程。……。」
「すぐに…。もうッ。」
「切れた。」

愛らしい膝小僧のうえのパソコンと格闘するぼ助手席のぼげこ。やおら液晶部分を閉じて、車内電話に手を伸ばす。機械全般が苦手なのだ。
「……おやすみのところ失礼します。…はい。…ええ。一局と二局の動員です。…はい、承知しております。では。」
「本庁交換台へ。…私だ。『南天DON』社長室に繋いでくれ。」

いったい、何が起こってンだ?、長官だよな?今の。まあ、じきに判る。
波の音がきこえはじめた、目的地は近い。

    (第1話 完)


*「伝道師ぼげこ」の感想などは、下記へ掲示板までお願いします。
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  発行:ボードゲーム通信社




週刊ボードゲーム通信69号 連載小説「伝道師ぼげこ」

 「第1話 いつもの仕事」(5)

モニタールームでの待機状態が、4時間をすぎる頃、ぼげこたちの『エルグランデ』は3ゲーム目の最終得点フェイズを消化しているところだった。不謹慎だとは思ってはならない。彼等にとって、ボードゲームとはそれほどまでに普遍的なものなのだ。
シンゴは『プ・リングル』の容器を凝視していた。
勝てる。『プ』…じゃない、タワーの手駒を全部あすこに投入すれば、BBの勝利はあり得ない。だが、渦巻く紫煙とカフェインの霧のむこう、ぼげこの涼しげな表情にシンゴの確信も揺らぐ。BB、きづいてねえのかな?、…いや間違いない、ハズ。
タワーが開かれる。一番手、ついで二番手、そしてぼげこの手番が終わる。プレイヤー1,2が嘆息するも、ぼげこはいまだいつものポーカーフェイスのままだ。
BBめ、すましちゃってッ、それに…うン、…キレイだ。

ところで、何故『エルグランデ』の盤上に、『プ・リングル』の容器が鎮座あそばしているのか、やはり説明を加えたい。みれば、このボードはおそろしく遊び込まれている様子だ。そこかしこがすり切れ、判読不能な部分ばかりだが、局員たちは専ら記憶を頼りにプレイするらしく、問題ではないようだ。パワーカードも、マメ単に名称、その裏に数字を書き込んであるだけのものが用いられている。そんでタワーが『プ』。
三局の備品の一部に、局員の見識を深めることを用途とする(もち、遊びもする)ボードゲームコレクションがある。無論、これらは税金を用いて購入したもの。三局長の厳しい通達のもと、同タイトルの複数購入は一切行われてはいない。加えて、入手困難なもの、ビンテージ価格のアイテム等は、三局長の私財で賄われ、棚におさまっている。いまや保管庫は、民間人見学コースの一番人気スポットになるまでに至る。トークンの切り離されたビンテージゲームを目の当たりにして、卒倒するマニアもときにでる。そういった見学者は、介護の後に現物で遊んでかえってもらうのが三局の方針であり、「玩具は遊ぶモノ」という三局長の信念を体現しているのである。

そんなこんなで、盤上にもどれば、にやけ顔で得点マーカーを動かすシンゴ。
「一、二、三、四ィ、…。」
「瞬きましたッ。」
『ノーチラス』の発する信号をモニターしていた男が声を上げた。一瞬、信号が赤色に変わり、また緑にもどったということか。いろめきたつ室内。
立ち上がったぼげこに一同の視線が注がれる。
「…逡巡したな。…ハム子がそこまで……。」

「常時待機班、アップルジャックへ移行。モニター班は監視を継続、わたしは現場へ向かう。状況を車輛の端末に廻せるようにしておけ。」
ぼげこの鋭い一声に、にわか混沌とする室内。シンゴもおのずと大声になる。
「BB、明らかに相手は小火器で武装しているものと思われます。銃器携帯の許可を申請しましょう。」
頷くぼげこ。壁の電話にとびつくシンゴ、秘書室の短縮ダイアルももどかしげな様子。
「あー、ゆきポン?。二課特のイワオですが、局長……ええッ、またドイツ!?」
困惑顔のシンゴの手から受話器を取り上げたのはぼげこ。カードをシンゴの胸ポケットに差し込む。

「局長不在時権限を行使する、それで銃器庫を開けろ。私の銃も頼む。」
「いやしかし、一課と三課にも通……。」
「黙って聞け。」
「巌身護、すみやかに銃器庫へ向かい、緊急時略式手続を用いて銃器を携帯。のち、駐車場専用車前にて待機。復唱。」
「すみやかに銃器庫へ向かい、緊急時略式手続を用いて銃器を携帯ッ。のち、駐車場専用車前にて待機ッ。命令を理解し、実行しますッ。」
「わたしは念のため三課にわたりをつけてゆく。遅れるなよ。」

通路へ駆け出すシンゴの背中にぼげこがもうひとこと。
「そういえばシンゴ。どこまで数エテたッけ?。」

………やられた。

        (続く)
 

*作者は「伝道師ぼげこ」の感想を聞きたがっています。
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  発行:ボードゲーム通信社




週刊ボードゲーム通信68号 連載小説「伝道師ぼげこ」

 「第1話 いつもの仕事」(4)
                
一局長曰く、「(デジ)ゲームを創るとしよう、発想はむろん大切だが、体力の必要性はそれを上回る」元クリエーターである一局長。その部下たちが、諦めの表情で階段を昇降している。それを横目にぼげことシンゴをのせたエレベーターは17階でようやく減速を始めた。
顔も知らぬ三局長はそう思ってはいないらしい。なんでもいいが、彼等をみているとそれだけで局長を好きになれるシンゴだ。21階のモニタールームは、人いきれと独特のにおい(埃が電源で焦げるにおい?)が充満していた。この様子で、潜入捜査中の日ノ本公子から、何らかの連絡があったと確信するぼげことシンゴ。課長の入室にも目礼のみで、作業の手をとめぬ大勢の局員たち。
「班長、状況知らせ」
ぼげこの短い言葉も終わらぬうちに、ヘッドセットの男は傍らに居る。
「30分前の通信です」
ヘッドセットが手渡される。

『日ノ本 公子(ひのもと きみこ)』通称ハム子。伊藤、丸大など様々な偽名や変装術を駆使して対象に最接近。潜入捜査専門の腕利きエージェントだ。かつて一局局員であったが、オンラインゲーム捜査課での勤務で、精神に変調をきたし、休職扱いになっていたところを三局長にリクルートされたらしい。ぼげこの懐刀といったところか。

「またすぐに連絡する、か。切れかたが気に入らないな」
「班長、『ノーチラス』の信号どうなっているか?」
「依然、グリーンです…あッ、通信入りました。……『ノーチラス』、『ネモ』に替わる、まて」

こういう事態でのBBの落ち着きぶりには、舌を巻くというほかない。ともしなくても情緒不安定にみえる、普段の挙措の片鱗すらみうけられない。その二面性もふくめて、ただものではない……。ああ、BBは自分をどう評価しているのだろう、ふとそう思ったシンゴは、仲間ではなく我が身を案じている自分に気づいた。

「『ネモ』だ。何度でもいう。危険を感じたらすぐさま浮上しろ、ボートが待機している」
「二局がらみ……解った。潜行を許可する。アウト」

「後方支援班及び二課総員、グリーンからイエローへ」
不意に飛んできたモノを危うく受け止めたシンゴ。ぼげこは用意された専用の床机に足を組んで腰掛けている。これは長い一日のおきまりのセレモニーだ。
定位置に戻しかけたヘッドセットにはBBの髪の毛が一筋。

……ああ、また自己嫌悪。

        (続く)


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週刊ボードゲーム通信67号 連載小説「伝道師ぼげこ」

  「第1話 いつもの仕事」(3)
                
車両課の人間がキーを受け取り、ビルのエントランスへ向かう二人。突然、シンゴに向き直ったぼげこがいった。
「今期から車輛課に配属になった、徳丸善三のこと、しっているわね?」
「はい、存じてます」
「あの男、どう思う?」
突然の問いかけに、ややあって答えるシンゴ。
「くるまの調子はいつも好調ですし、仕事はきっちりこなしているようです。加えて人柄がとても善良にみえます。私も含めて、スタッフの印象は良いようです」
「そう。思うところあって、あの男の前歴を洗ってみた。彼はね、かつて『ジャパンネオアート』で、当時の会長の運転手を勤めていた……判るわね」
「…つまり、徳丸は局員でありながら、『JPRG』のシンパである可能性がある。ということでしょうか?」
「そう、その可能性がもたらす障害を端的に挙げれば…」
(車内の会話は、盗聴されている。ということもありうる、か)
「理解しました、監視を強化しますか?」
「いいえ。確証はない。……だからヨ」
「え、だから、何でしょう?」
「…ボスっぽかったでしょ」
彼の理解を超えたぼげこの言動に、困惑顔のシンゴ。
「あれ、その顔、イヤダおこってンの?おこってナイ?もうッ、仲直りのしるしにィー」
やおらハンドバックを首に掛けて、両手で探り始めたぼげこ。バックの大きさからは考えられない時間が経過したのち。
「なかんずく、『ペッチュ』たべる?」
とりだされたるは、携帯電話だろうか、いやもう少し小さい。体温計くらいの棒状のもので、先端(上部と思われる)にピンポン玉サイズの黒い物体がのっかっていた。
「ナカンズク?……え、あー、はい」
ぼげこの突然の、いつもの奇行に加え、どうにも食物にみえぬ『ペッチュ』なるもの。シンゴの混乱はまだ収まりそうにない。迷ったときは肯定的な返事が自然に出る。訓練施設での苦手科目だったが、この状況下でしっかり機能していた。うん、身に付いている。
そんなとりとめのないシンゴに肉薄するぼげこ。
「手、だして」
「手、スか?」
「たなごころは上ッ」
「タナゴコロ?……え、あー、はい」
ぼげこは『ペッチュ』をシンゴの手のうえにかざすと、ピンポン大のもの(『モノポリー』のシルクハットおやじさんだと視認できた)を弾く。筒の中からせりあがってきたキャンデーが、シンゴの手のひらに落ちた。
「まァ、グッといきなヨ」
「この『ペッチュ』はネー、なんてゆーかビンテージ!?ランチャは勿論のこと、タマも30年も前のモンで、そのころは初恋の味ってコピーで……」
「おいしい?」
極限状態のサバイバルにおいて、あらゆるものから滋養を得る訓練。こっちは得意科目だったシンゴだ。
「モウッ、反応ナシ。…ハツコイを体感するには、マダ検体がたりない、と」
シンゴの反応に興をそがれた様子のぼげこ。
「シンゴ、急ぐよ。モニタルーム。ハム子から連絡はいってるだろしネ」

歩き出したぼげこに気付いて、駆け寄るシンゴの足が一瞬とまる。
嚥下してしまったようである。
              (続く)


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週刊ボードゲーム通信66号 連載小説「伝道師ぼげこ」

  「第1話 いつもの仕事」(2)
                
 エレベーターから地下駐車場へおりたったのは三局の女、名刺によると、
『文部科学省ゲーム庁三局(SAI)二課長  ぼげどおり ぼげこ』なる人物だ。
ヒールの靴音を響かせ、足早に公用車へむかうぼげこ。階段をかけおりる慌ただしい靴音は、ぼげこの部下、『巌 身護(いわお しんご)』のものだ。名刺は割愛。

 運転席にとびこむなり後部座席のぼげこにまくしたてるシンゴ。
「BB(ベーベー)、ドアは僕が開けます。取っ手の内側にどくバリ、『ずかい えでみるやさしい危機管理(ボゲ出版)』の最初の見開きに載ってる初歩的な手口じゃないスか」
「エレベーターも待ってもくれないし、それほど長いトイレでした?」
「ごめん…かんがえごとシテタ」
 希にみるしおらしさやンけ。シンゴはいきおいづいた。
「それにッ、先刻の大使のいいぐさ、あれ、なんとも思わないンですか、あんまりじゃないスか。BBも『否定はいたしません』なンて…」
「車をだしな」
「はい?」
「車をだせといっている」

 三月の中央区は陽光に街路樹の新緑が煌めいて、みちゆく人々の表情を和らいだものにしている。仕事してる場合じゃねえな、だれしもそう思うであろう陽気だ。
であるのに、黒塗りの公用車の男は言いしれぬ暑苦しさを感じて、エアコンのセレクターを『冷』へと動かした。

 バックミラーを伺ったシンゴの目線をとらえたぼげこが口を開いた。
「わたしは、三局の公的な発言というデリケートな面をまかされている地位にある。いいかえなくても、わたしが三局なんだよ。キリンが好きだとかゾウがすきだとか、おまえの個人的見解なんざ、どうでもいい。とはいえ、たまさかにはおまえに意見を求めることもあるかもしれんがね。ほら、壊れた時計も一日二回は正しい時刻をさしているだろうが」
「青だ」
「………はい」
「立場と交通状況は判ったのか?、わたしの雄弁なボディガード」
「………了解しました、課長」

 シンゴは無性に煙草が吸いたかった。無意識に背広の内ポケットに伸びる手をひっこめる。車輛が三局のオフィスのある某所に滑り込むまで、双方無言だった。


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週刊ボードゲーム通信 65号 連載小説「伝道師ぼげこ」

  「第1話 いつもの仕事」(1)
   
「もちろん、私個人はボードゲームをこよなく愛している。ウノ」
「あなたのような地位にある方が、そうだというのは喜ばしいかぎりですわ」
テーブルの上にはまっ白なクロスと食後のコーヒー、色鮮やかな『UNO』の捨て札。
「だが、公的…国益となれば、事はちがってくる」
「先行投資、とはとらえて頂けない。残念です」
四人の男女がテーブルを囲んではいるが、手札の枚数をみるに、初老の男と若い女のゲームになっている様子だ。
「たしかにボードも伸びてきてはいる。しかしデジタルやカードでは何故いけないのかね」
「それは、わたくし三局の人間ですから…そういうほかは、もうお話ししたとおりです」
「ああ、愚問だったね」
 そういって初老の男はうすく笑った。一局(デジタル)と二局(カード)のエージェントも彼に接触していることを、三局の女にほのめかしているようだ。アガれない最後の一枚を指で弾くと、男は言葉を継いだ。
「要は、金がどれだけ動くか…言い換えれば確実にどれだけの利益をもたらしてくれるか。
具体的な数字ももたずに席をもうける。当然私も判断のしようがない。まあ時間の無駄とまではおもわんがね」
 三局の女も芝居がかった仕草がとても多いのだけれど、他人がするのをみるのは気に障るのが妙なものだ。黙ってカードを繰る。
「確実性だよ。彼等には『マイノリティーはそれだけでカッコイイ』そんな金魚鉢のなかを泳がせておけばいい。そのほうが、安易にコントロールできる」
 この言葉に、プレイヤーの一人である若い男が気色ばんだ表情をみせた。三局の女は目でそれを抑える。若い男は女の部下であるらしい。
「立場上、肯定はできかねますが、そうではないとは言い切れませんわね。ウノ」
女の大きな瞳の光彩がシャンデリアの光に反射して、燃えたようにみえる。

「アガリ、です。お仕事はともかく、ゲームでは私たちに分があったみたい」
 初老の男はすでに腰を浮かせている。部下らしい黒人に目配せするや、ゴムバンドで留められた紙幣の筒がテーブルに置かれた。
「君とは緊張感のあるゲームが愉しめる。願わくば次回はもうすこし楽しい話題にしたいものだね。…失礼するよ」
「恐れ入ります」
 三局の女と男はたちあがり、去る者を見送った、テーブルには紙幣の筒がのこった。
ドイツマルクだった。
          (続く)


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隔週刊ボードゲーム通信 64号「ホビット」

 しばらく前に「指輪物語」が映画化されて話題になりました。私は「指輪物語」にはあまり興味がなく、映画は見に行きませんでしたし、小説も読んでいません。あらすじを知っている程度です。しかし、好きな人にはかなり面白い話らしいです。大学生協の本屋で『指輪物語』6冊をすべて立ち読みした後輩(ゲーマー)を思い出します。

 メジャーな題材を商品化すれば、そこそこ売れることが期待できます。それはボードゲームでも同様です。ゲーマー以外の人が買うからです。
 しかしそれがつまらないものであれば、非ゲーマーはもうボードゲームを買わないし、ボードゲーム全般をつまらないものとみなしてしまいます。テレビゲーム等の一般的なジャンルであれば、質の低いキャラもの商品の存在はそれほど問題ではないのですが、マイナーなジャンルであるボードゲームにおいては、キャラもの商品は危険な存在なのです。
 本来、キャラものボードゲームは、布教という意味で可能性を秘めています。対外的なキャラものボードゲームこそ、品質にはかなり注意しなければならないはずです。しかし現実には全然ダメです。日本においてキャラものボードゲームで優れているものは非常に少なく、ゲームとして成り立っていないものがたくさんあるくらい悲惨なカテゴリーです。外国製でもこれといったよいゲームは思い浮かびません(ドイツゲームではキャラものボードゲーム事体がほとんどなさそうですが)。

 そしてようやく「ホビット」についてです。キャラものボードゲームである「ホビット」はどう評価されるでしょうか。
 ゲーマーにとっては、単なる「多人数ソロプレイすごろく」です。プレイヤーがホビットとなってボード上を移動するゲームです。モンスターを倒してお金を獲得し、アイテムやキャラクターを得て強くなっていきます。最終的にドラゴンを倒したプレイヤーが優勝します。
 プレイヤー間の関わり合いは、戦闘(なぞなぞ勝負)だけです。全体を通して、工夫の余地や頭を使う要素は少ないです。内容のわりには時間がかかってしまいます。指輪物語の世界で冒険をしている感じもあまりしません(これは主観的印象ですが)。コンポーネント以外にこれと言ってよいところがないゲームだと思います。

 ゲーマーでない指輪物語ファンにとって、このゲームはどうでしょうか。はじめてプレイしたときには、「こういうものもあるのか」と我々がはじめてゲームブックをプレイしたときのような新鮮さを感じるでしょう。実在のキャラクターや魔法がカード化されていますし、戦闘もダイスを振り楽しいです。こういう点で、「ホビット」はキャラものボードゲームとしては許容範囲(存在してもよいゲーム)です。
 しかし、何回かプレイすると飽きるゲームです。もともと「ホビット」にはボードゲームとしての面白さがあまりないのです。なおかつ、指輪物語の世界があまりシュミレートできていません。よって、「ボードゲームはこの程度のものか、やはり小説ほどよくないな」と思うことでしょう。この後、他のボードゲームに手を出す人は少ないでしょう。


"ホビット"(Hobbits)
Queen Games/I.C.E.(発売),Jean Vanaise & Philippe Janssens(作),
1994, 2-4人, 60−120分
横の個人的評価:2

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  発行:ボードゲーム通信社




 隔週刊ボードゲーム通信 63号 「情報処理とスタンス」

 今週号担当の金七です。
前に「ゲームの紹介が出来るようにします」と書いたにもかかわらず、今回もゲームレビューではありません。
前言を翻したくはないのですが、順番がある程度決まっていますので、申し訳ありませんが今回もちょっとした考察にお付き合い下さい。
今回はWeb版「プレイスタイルが違うプレイヤーの共存」の連載を、ここまで何度も書いてきた情報と関連させて考えてみます。

 横さんが連載のまとめの中で、「論理的な行動が取れないゲームは完成度の低いゲームである」と書いておられます。
私もおおむね同感なのですが、そうすると論理的思考の求められる情報処理重視のゲームは完成度の高い良いゲームということになります。
例えば将棋などは無駄のない良く出来たゲームであるとは思います。
しかしながら、面白くてお勧めのゲームであるかといえばそうでもありません。
プレイする人のスタンスをそろえるというよりは、スタンスを選ぶゲームだといえるでしょう。
スタンスの合う人には奥深い世界が広がっていますが、たまに集まったメンバーでちょっと楽しむというものではないです。
情報処理重視のゲームは大体この傾向があります。
その土俵で戦うことを好む人を集めてやらないと、土俵は広いですが一つしかありません。

 理想を言えば「論理的行動が取れて、自由度が高いゲーム」が望ましいですね。
ひどく贅沢な希望ですが、名作といわれるいくつかのゲームはこの点をクリアしていると思います。
ここでいう自由はスタンスが揃えにくい混沌とした状態ではなく、いろんな行動がシステム的にもプレイヤー的にも取りやすい状態です。
逆説的ですが、そのためには良く出来たルールが必要です。
情報やルールがプレイヤーの行動を縛るのではなく、効率的な行動を保証してくれる−それが私の理想です。
まあ最終的に、例えば俳句の「5・7・5」を、「それしか縛りがない」と考えるか、「17文字しか使えない」と感じるかは人それぞれではあります。


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隔週刊ボードゲーム通信62号 
 レビュー「モノポリーに学ぶマネジメント論」(『DIAMOND ハーバードビジネスレビュー2002年6月号』ダイヤモンド社)"Everything I Know About Business I Learned from Monopoly", P.Orbanes,2002)

 まずは、このエッセイの要約を以下に引用する。
「ゲームとマネジメントには、相通ずる点が数多くある。
人気のあるゲームのルールは単純かつ矛盾のないものだが、職場においても社員が全力を尽くせるのは、職務責任、事業目標、評価基準が明確な場合である。
前半に運が向かなくても後半に逆転のチャンスが残されているゲームでは、プレイヤーは気持ちを切らずに集中し続けられる。ビジネスについても同様のことが言える。
本稿では、優れたゲームに共通する6つの法則を挙げ、これを基にマネジメントの本質を探る。」

著者はアメリカ人のゲームデザイナー。ウイニングムーブズゲームズという小さなゲーム会社の社長。モノポリー世界選手権の審判も務めている。パーカーブラザーズのR&D担当上席副社長の経験あり。
 根っからのゲーマーである著者は、優れたボードゲームの原則を6つ挙げる。それは以下の通り。

1、単純で矛盾のないルール・・・双方向のやり取りがボードゲームの最大の魅力であるので、それをいかすためには明確なルールでなければならない。

2、プレイヤーを欲求不満にさせない・・・同上。

3、リズムがある・・・よくできたゲームは序盤・中盤・終盤のめりはりがついており、移り変わりがはっきりしている。4人ゲームがリズムという点では理想的だ。

4、ボード外の駆け引き(会話)がある・・・ゲームのシステムさえよければよいというものではない。無駄話ができたり、感情を露わにできるゲームは社交性があって楽しい。チェスやブリッジは優れたゲームだが、そういうものがない。

5、逆転のチャンスがある・・・運の要素が適度に必要。モノポリーはよい例で、「技75%、運75%」だ。それはつまり、勝てば自分は戦略に優れていたと満足できるし、負けても運のせいにできるということだ。

6、隠れた才能を発揮できる・・・日常生活では発揮できない能力が発揮できるゲームは楽しい。チェスやブリッジが1930年代に流行したのは、単純作業をしていた労働者が日頃発揮することのない知的能力を誇示したかったからだ。

 著者が取りあげたこれらの6つの原則はよい点をついている。この基準でボードゲームを評価すると、これまでとはやや違った視点でゲームの分析ができるだろう。

 次に、このエッセイの中で述べられた情報で、ゲーマーにとって興味深いものを列挙する。

・アメリカではボードゲーム愛好者の数は極めて少なく、減少の一途だ。それは娯楽の選択肢が豊富になったためだ。
・アメリカでは1980年代前半に「トリビアルパースト」(クイズゲーム)がヒットした。ボードゲームとしては史上最高の年間売上高を記録し、現在でも破られていない。
・「トリビアルパースト」を開発したメンバーは、次に「ユービー」というボードゲームを作ったが、それはルールが複雑すぎたため失敗作であった。
・ゲーム業界には、ソーシャルゲームというジャンルがある。「トリビアルパースト」や「ピクショナリー」がそれに含まれる。ソーシャルゲームの特徴は、だれもが知っている遊びが基本になっていることだ。ソーシャルゲームで重要なことは、できるだけたくさんの人が参加して楽しめること(遊びやすいこと)だ。
・著者が数年前に作った「カルテル」は、プレイヤーが企業の買収合戦をするゲームで、ゲームマニアが選ぶ「無人島に持っていきたいもの」リストに今でも入っている。しかしマニアックすぎて、一般人には受けなかった。
・「インカム/アウトカム」というマネジメントゲーム(アンドロメダトレーニング社発売)はよいできで、企業内研修で使用されている。プレイすると、金融の知識が身につく。
・「モノポリー」が大恐慌のさなかにヒットしたのは、不動産を手に入れるどころか札束を手にすることさえ夢のまた夢であった時代であったからだ。「モノポリー」は人々の変身願望を満たしてくれたでだ。
・トップクラスのモノポリープレイヤーの多くは実業家だ。
・「モノポリーカードゲーム」は、幅広い年齢層から支持が得られた。子供が楽しめると同時に、大人も高度な理論と判断力を駆使できるからだ。
・株や競馬といった類のゲームは絶対に売れないという鉄則がある。株や競馬に興味がある人なら、普通は実物に手を出すからだ。
・フットボール系のゲームには成功例が多い。フットボールは、一般人にはゲームでしか経験できないものだからだ。

 ところで、『DIAMOND ハーバードビジネスレビュー』という雑誌は、アメリカで出版されている『ハーバードビジネスレビュー』が和訳されたものであり、経営学に関する論文やエッセイが掲載されている。この雑誌でボードゲームが取り上げられたことは初めてのようだ(HBRのウエブサイトで検索した結果では)。

 今回取り上げたエッセイは、ボードゲームと経営を結びつける内容である。特に、優れたボードゲームと優れた経営組織を比較し、共通する要素を挙げ、優れた経営について考察することがテーマである。
 例を挙げると、「ゲームデザイナーには、2つの仕事が要求される。秩序あるプレイの場を用意することと、そこに楽しみを生み出すことだ。ビジネスにおいても同様のことが言える」というような展開だ。
 この手の比較によって共通するものを挙げることは、たいていのもので可能だ。ゆえに、論じるからにはこれまで見えなかった側面に光を当ててこそ意味があるのだが、著者がボードゲームと経営に共通して見られるものを挙げて論じている内容には、目新しさが見られない。こじつけと言ってよいものもある。
 エッセイの内容から推察するに、著者はボードゲームについて書きたかったのであり、経営について書きたかったわけではないのだろう。「むりやりやなあ」と苦笑しながら書いたのであろう。
 とにかく、ゲーマー以外の人が読者で、かつ権威があるとされる雑誌の中で、ボードゲームを厚かましくも強引に取り上げた著者を「よくやった」と誉めるべきだ。


横の個人的評価:3(探して読むほどのこともない)

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隔週刊ボードゲーム通信61号 「エルグランデ G&K」

「…2のアクションカードは、ほとんど誰も選ばないことでしょう。(開けなくてもいいかも…)。」(週刊ボードゲーム通信 2/18−2/24号より)

 よって今回は、2のアクションカード改訂版、これでどないや、ということでお送りします。

2-1 拒否権(VETO)!
 このカードは取った後いつでも使うことができる。1プレイヤーのスペシャルアクションか通常の騎士投入のいずれかを防ぐことができる。

2-2 他のすべてのプレイヤーの手元の騎士すべてを、リザーブに移動させる。
 このラウンドに補充される騎士も同様にリザーブに移動させる。

2-3 他のすべてのプレイヤーのタワーの中の騎士をすべてリザーブに移動させる。

2-4 他のすべてのプレイヤーはタワーを除くすべての領土内の駒を各1個リザーブに移動させる。

2-5 他のすべてのプレイヤーは領土内にある騎士を3個リザーブに移動させる。
 このカードを使用したプレイヤーがどの駒をリザーブに移動させるか決定する。

2-6 他のすべてのプレイヤーは、2回任意の同一領土内の自分の駒を3個リザーブに移動させる。どの駒を移動させるかは秘密ディスクを使用する。

2-7 他のすべてのプレイヤーは自分の騎士数が一番多い領土から、すべての騎士をリザーブに移動させる。騎士数が同数の領土が複数ある場合は、すべての領土から騎士を移動させる。

2-8 ふたつの領土を選択して得点をつける。
 同じ領土を二回選ぶことはできない。

 どんなもんでしょ。2-8なんかはめっちゃうれしい気がするのですが。得点計算前のVETOや2-3なんかもよさそげ。
 おそらくノーマル・エルグランデではここまでやってしまうとバランスが崩れそうな気がしますが、G&Kくらいならこれぐらいでちょうどいいかも。実際にプレイしていないのでこれ以上はなんとも。機会があれば試してみて、更なる調整ができればと思います。
  
"El Grande Grossinquisitor & Kolonien"(「エルグランデ 異端審問官と植民地」)/Wolfgang Kramer & Richard Ulrich(作)
Hans im Gluck(発売), 1997
2−5人
鱶(fuka)の個人的評価:4(良い)

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隔週刊ボードゲーム通信60号 「デトロイトのゲーム事情2回目〜ゲームズワークショップ版の指輪物語〜」

今回は、ゲームズワークショップの『指輪物語』を紹介します。ゲームズワークショップといえば、ファンタジーの世界を舞台とし、プラスチックもしくは金属の駒(以下、ミニチュア)を使ったボードゲームの代表作『ウォーハンマー』を世に送り出したミニチュアゲーム製作会社です。最近は、近未来を舞台とした『ウォーハンマー40k』」や、戦いのスケールを拡大した『ウォー・マスター』を出しています。そのアミューズメント会社が、『指輪物語』のミニチュアゲーム化を手掛けたのですから、当然戦いを前面に押し出したゲームに仕上がっています。

実際、『指輪物語』のガイドブックを購入して読んでみますと、ゲームルール、8つのシナリオ集、ミニチュアに対するペイントテクニック、ゲームの舞台(ジオラマとでもいいましょうか)の作成方法が紹介されている他、紙製のミニチュアがついており、組み立てればすぐに遊べるように配慮されており、初めての方でも遊ぶことができるように工夫されています。紙製のミニチュアについては、ボードゲーム版「バトルテック」を想像して頂けると判りやすいと思います。いずれのシナリオも、映画で出てきた場面が舞台となっているため、ゲームを遊ぶ前後で映画を一度鑑賞すれば面白さが増すことでしょう。

「『指輪物語』は、これまでのミニチュアゲームとはどのへんが違いますか?」と店員に質問してみたところ、3つの特徴があるとの説明がありました。私の感想も含めた特徴を列挙してみますと、

1)プレイヤーは正義側(Good)と悪側(Evil)に分かてプレイするため、正義側と悪側のそれぞれの特徴を楽しむことができる
感想)そうですね。例えば、1つのシナリオで正義側と悪側でプレイすることができるため、少なくとも2回は新鮮な気持ちでプレイすることができます。逆に言いますと、2種類しかありませんので、いろいろな特徴を持つキャラクターを楽しみたい場合は、たくさんの種族が登場する「ウォーハンマー、40k」シリーズを遊ぶのも1つの手です。

2)シナリオ毎に勝利条件が異なるため、単に戦うだけでなくいろいろな状況を楽しむことができる
感想)これも納得です。シナリオについては、他のミニチュアゲームでも楽しむことができますが、「ウォーハンマー」シリーズと異なるのは、映画や小説で描かれている背景があり、それに基づいてシナリオが生成されている点です。このあたりについては、戦史を扱うウォーゲームとよく似ているといえます。

3)各キャラクターにはバックグラウンドがあり、物語のヒーローに対して思い入れをすることができる
感想)これは『指輪物語』ならではの大きな特徴です。「このキャラクターならきっと勇敢だから、この状況ではこう行動するだろう。」と想像しながらプレイするのは、純粋な戦いのゲームとは違った楽しみがあります。このあたりはテーブルトークゲームに通じるところがありそうです。

と、特徴の多い『指輪物語』ですが、5月に店を覗いた時は、『指輪物語』専用プレイフィールドは撤去され、代わりに『ウォーハンマー40k』用のスペースが占領していました。ラインナップの多い『40k』シリーズの人気が高いこともあり、『指輪物語』も苦戦を強いられていることが感じられましたが、将来公開される映画版『指輪物語』続編と連携して、新たに登場するキャラクターやシナリオに期待したいところです。

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  発行:ボードゲーム通信社




隔週刊ボードゲーム通信 59号 「情報と戦略」

 今週は「コントール」紹介の続きとして「情報と戦略」についてです。
Web版でも何度か取り上げたので、なるべく重複のないよう簡単にいこうと思います。
好評?のMTGの次にこのような話題を取り上げるのは、我ながら心苦しいのですがどうかしばしお付き合い下さい。

 既にお気づきの方もおられると思いますが、私は記憶力を要求されるゲームがあまり好きではありません。
苦手である事が主な理由ですが、プレイスタイルが合わないのも影響しています。
記憶や最善手の発見が重要なゲームでは、プレイ後に勝っても負けても疲労感が残ってしまうのです。
自分の意図・意思をプレイに反映しにくいゲームは、いまいち楽しく感じられません。
「情報処理重視」なゲームが全てそういった特徴を持っているわけではありませんが、メモをとりながらプレイする事によって面白さが半減してしまうようなゲーム(例:神経衰弱)は、どうも繰り返しやりたくなりません。
「与えられた情報をそれぞれがどう評価するか」を競うのなら、展開やメンバーによってベストな答えが違うので何度でも楽しめますが、
「与えられた情報から答えをどう導き出すか」という問題は、能力や経験によって一度答えまでの道がついてしまうと、それ以降のプレイは興味半減してしまうと思います。
経験がなかったり苦手なために答えがわからないプレイヤーにとっては、さらに楽しみにくいのではないでしょうか?
もっともそれを少しでも薄めるために、どのゲームも大概の場合運や読み合いの要素もとり入れていますが。
個人的には読み合いの要素が強い方が、運や情報処理の要素が強いゲームより充実感があります。
またやろうという気になるので、はじめての方にもお勧めしたいですね。

 具体的なゲーム名を挙げて説明できれば良かったのですが、長い上にちょっと危なく(笑)なりそうなのでやめておきました。
最後に、ここまで読んでくださって「今回は(も)個人的嗜好を長々と書いているだけか?」と思われた方、申し訳ありません、そのとおりです…。
次回は私金七もゲームの紹介ができるよう努めます。

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  発行:ボードゲーム通信社




隔週刊ボードゲーム通信 58号 「マジック・ザ・ギャザリング(MTG)」(その2)

 今回もMTGです。前号の記事に対する意見(掲示板への書きこみ)を受けて、MTGについて再度考えてみました。

 MTGについて言及できることはいろいろとありそうなのですが、どこから手をつけてよいのかがよくわかりません。そこで、MTGをテーマにしたホームページにあたってみました。しかし、特に収穫はありませんでした。ボードゲームと比べるとMTGに関するホームページはたくさんありますが、それらは戦術論が中心で、ゲーム論は見つかりませんでした。しかしMTGをゲーム論で語っているホームページもあるはずです。ご存知の方がおられたらぜひ教えていただけないでしょうか。
 ところで、自分がこのように他のホームページ(=これまでなされてきた議論)にこだわるのは、自分が語ることが無意味かもしれないという不安からです。つまり、すでに語り尽くされていたり、結論がでている話かもしれないということです。MTGについては自分はマニアというほどではないのでなおさらです。
 しかし、今回はとりあえず思いつくことを述べることにします。
 
 まず自分の立場を明らかにしておくと、MTG歴はそこそこ長いです。リバイズド(第3版)の末期からプレイしています。1996年から1998年頃が最も熱心な時期でした。しかし、この1年あまりは完全に離れてしまっています(カードを買っていません)。
 最近MTGを買っていないのは、プレイする相手がいないためです。以前はよくプレイしていた人達も皆MTGをやめてしまいました。それならば新しい相手を見つければよいのですが、それも難しいです。非ゲーマーにMTGを布教することが難しいのは、ボードゲームの場合と同様です。MTGの店でMTGをする手もあるのですが、それがまた難しいです。大きな原因はプレイヤーのレベルの違いにあると思います。片手間にMTGをしている自分では、店にいる人達にはかないません。

 カードゲームという観点でMTGを評価してみます。
 MTGはカードゲームとしては特異と言えます。一般的にカードゲームは、@お手軽に、A誰とでもできるものです。
 @ルールという点では、MTGは手軽です。時間もかかりません。この点でMTGは一般的なカードゲームと変わりありません。
 AしかしMTGは誰とでもできるものではありません。もちろんプレイ事体は誰とでもできますが、内容や結果はプレイヤーの経験(技量)に大きく左右されます。初心者とベテランのプレイは、お互いにあまり面白くありません。つまりMTGは相手を選ぶゲームということです。同じレベルのプレイヤー同士でプレイしないと面白くないのです(長続きしません)。ここがカードゲームとして特異な点です(この点は将棋やオセロと似ています。2人用ゲームという観点でMTGを評価する余地があるでしょう)。

 市場的に(全体的に)俯瞰すると、現在のMTGはマニア向けのゲームです。片手間プレイヤーが入る余地はあまりありません。MTGの面白さは多くありますが、それをいちばん多く享受しているのはマニアです(MTGのメーカーは戦略的にマニアをターゲットとしていそうです。MTGのマーケッティングについては論じる余地があるでしょう)
 MTGの最大のメリットがプレイヤー人口の多さと手軽さであったとしても、それらはマジョリティであるマニアにとってのメリットです。いつのまにか徐々にマニアでなくなった自分にとっては、すでにそれらはメリットではなくなってしまったのです。

 今回はあまり深く洞察できていませんが、MTGについてはまだまだ語る余地がありそうです。読者の方からも論点を提示していただければ幸いです。


MAGIC THE GATHERING,/Richard Garfield(作)
WIZARDS OF THE COAST(発売),
2人,カードゲーム
横の個人的評価:5(最高)

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隔週刊ボードゲーム通信 57号 「マジック・ザ・ギャザリング(MTG)」(その1)

 今回は再びMTGです。

 MTGもやろうと思えば、多くのゲームと同じように全種類のカードをいれた、普通のカードゲームとして発売することもできたと思うのですが、トレーディング・カードゲーム(以下トレカ)として売ったというのはやはりその方が儲かるからですかね? 商業主義と言ってもいいのかな。
 少し買っただけではすべてのカードがそろわないということ、カードが多種類あることを魅力としてしまうと、第一(or初期)シリーズではそれがパワーとなって、売上に貢献するものの、シリーズが進むにつれ付いて行ける者が少なくなってしまう気がします。
 このことは、“拡張ルールの原理”とも通じますが、だんだん前のをやっていた人でないと参入しづらくなっていくということです。MTGは長く続いていますが、他にも数多あるトレカはどうなんでしょうか? 一箱買っただけでは遊べない不完全な形にするよりは、普通のカードゲームとして売った方がいいのでは、と感じますが。(十分に遊べるゲームシステムであるのならば――違うからトレカ? 考えたくもないですが。)

 さてさて話は変わりまして、ゲームとしてMTGの良いのはダイスを使っていないところだと思います。ランダム性をカードの引きだけにすることで、デッキを構築することの重要性を増しています。おそらくバトルの勝負=ダイス勝負になると、やってられん気がします…(そんなこともないのかな? ダイスをふる時に燃える事もあるし…でもデッキ構築にはいまいち熱が入りにくくなるかも…)。
 カードの引きだけでも十分なランダム性があるので、ダイスの排除は良かったと思います。
 1対1で魔法使いが戦うといえば、まだ未紹介のカードゲーム「マジックマスター2」(1989年)という翔企画のカードゲームがあります。なんとなくこれがMTGの原型なのかなー、と思っていましたが、こちらは思いっきりダイスを使ってるし違いますね。「マジックマスター2」のほうはトレカではなく、普通のカードゲームです。
 

MAGIC THE GATHERING,4th edition(「マジック・ザ・ギャザリング 第4版」)/Richard Garfield(作)
WIZARDS OF THE COAST(発売),
2人,カードゲーム
鱶(fuka)の個人的評価:3(普通)




隔週刊ボードゲーム通信 56号 「バトルライン」

今回は、2人用カードゲーム「バトルライン」を紹介します。ライナ・クニッツアの作品ということもあって、ルールがシンプルですぐに遊び始めることが出来ます。しかしながら、プレイを始めると自分と相手の手を読むのに相当の時間を費やし、途端に重たく感じるのがこのゲームの特徴です。

このゲームでは、60枚(6種類の色に、それぞれ1〜10まで記されたカードがある)のトループカードと10枚のタクティクスカード、そして旗を表わした9個の赤い駒が使われます。ゲームの始めに9個の駒を1列に並べますが、この様相がきっとバトルラインの名を表していんだろうなと推測しています。勝利条件は、9つの駒のうち、5つの駒(つまり過半数)を先に獲得するか、もしくは連続して並んでいる3個の駒を、相手プレイヤーよりも早く獲得することです。

この駒を取るためには、お互いのプレイヤーで3枚(場合によっては4枚)のトループカードを並べて強さを競い合い、強い組み合わせを作ったプレイヤーが駒を取ることができます。カードの組み合わせ(これをフォーメーションと呼ぶ)は大きく4つに分けることができます。同じ色で連番になっている組み合わせが最強のフォーメーション(Wedge)であり、同じ数字の組み合わせのフォーメーション(Phalanx)、同じ色だが数字の組み合わせがばらばらのフォーメーション(Battalion Order)、色は異なるが数字が連番になっているフォーメーション (Skirmish Line)と強さが並びます。色も異なるし数字もばらばらのフォーメーションはHostと呼ばれ、最弱のフォーメーションに属します。カードの組み合わせの強さを比較する際は、まず始めにフォーメーションの強さで勝負を行い、双方のプレイヤーが同じフォーメーションになっている場合は、並べたカードの合計値で競います。このあたりは、ポーカーのルールを想像いただければ判ると思います。

60枚のトループカードだけを使ってプレイが進めば、場の情報から相手の出方や手札を読み合うゲームで終わってしまいますが、それを打ち破る要素として10枚のタクティクスカードが用意されています。トランプのジョーカー・カードのように、任意のトループカードに変身できるカードや、場に出ている相手のカードを奪い取って自分側に並べることができるようになるカードも含まれています。また、このタクティクスカードは、相手が使ったタクティクスカードの枚数+1枚までしか使うことができないようになっているため、続けて使うことがなかなか出来ないように工夫されています(よって、相手に使わせないようにするのも戦略の1つになっています)。

いろいろな組み合わせができるように手を広くしてプレイを進めるところは、麻雀とよく似ていますので、麻雀が好きな方はこのゲームがきっと気に入ると思います。また、プレイ時間は、ルールブックの説明とほぼ同じ通り、30分程で勝負はつきます。初めてプレイをした時は「なんで負けたのだろう?」「なぜか勝ってしまった…」とそれぞれのプレイヤーが考えていましたが、3回目ともなるとコツが何となく判るようになり、熟考型ゲームへ早代わりします。プレイ経験を積めば積むほど、お互いが「んーー。」と考えるようになり会話が少なくなってしまう傾向があったのは、ちょっと悲しいところですが、プレイしていて楽しいゲームであることは確かです。機会があれば是非プレイをしてみて下さい。

"バトルライン(BATTLE LINE)"
GMT Games, 2000
2人, 30分
Kenの個人的評価:4(積極的にプレイする…のも勿論ですが、積極的にお勧めします)


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  発行:ボードゲーム通信社




隔週刊ボードゲーム通信 55号 「コントール」

 今週もWeb版週刊通信に引き続き「コントール」を取り上げます。
Web版との間隔が狭くなってきているのは、お察しのとおりネタ切れの兆候です。
今回は特に新鮮味が薄い(Web版も進行中)ので、今までとは違った形でお届けします。
通常の紹介、評価はWeb版をご参照下さい。
ちなみに、この「マグ版週刊通信」を読んでくださっている方は、「Web版週刊通信」もご存知だろう、
という前提で毎号話を進めていますが、もしそうでない方がおられましたら申し訳ありません(いまさらですが)。
このマグ用の掲示板でその旨お知らせ下さると助かります。

 さて、今回はちょっとプレイの様子を書いてみます。
まずは地元の友達に、「WAR AT SEA」プレイ後に相手をしてもらったのですが、これが盛り上がらないんですよね(笑)。
淡々と進んでいって、終了しても「ああ終わったのか」という感じで、その前のゲームとの落差が激しい。
好みの問題は置いておくとして、その差はなにかと考えてみると、プレイに自分が関与している感覚の差かなと思いました。
「WAR AT SEA」では「サイコロを振る」という直接的な関与がありますし、「ここが勝負!」といったメリハリや、「そうきたか」という驚きもあります。
「コントール」では、交渉がないのはともかく、それぞれの手順で最善手(もしくはそれに近いもの)が存在するので、
特に中盤以降は、「情報をどの程度把握しているか」「最善手を見落とさないか」という、自分の能力との争いになりがちで、あまり盛り上がりませんでした。
(過去に紹介したゲームでは「カール大帝」にも似たところがあります)
そういうゲームが楽しい時もありますが、友達とワイワイやるのには向かないというのが第一印象でした。

 次に「麻雀に似ている」(Web版参照)という感想を基に、麻雀好きの友人にも相手をしてもらいました。
「…というわけで、少し麻雀に似てると思うんやけど」
「んーと、じゃあこれ(コイン)が点棒みたいなもんか?」
「いや、それも大事だけど、勝敗に直接影響するのはこの倉庫番の数」
「少ないなー、全部で10個しかないやん。じゃ1個○○円が妥当か?」
「…ルールちゃんと聞いてたんやろうな」
一応ルールは覚えていてくれたようで、何回かプレイしましたが、これまたあまり盛り上がりませんでした。
もしかすると倉庫番あたりのチョコレートの数が不満だったのかもしれません(笑)。
次に「バトルライン」をやってみましたが、これは結構熱中しました。
この場合フラッグの数を争うわけでして、フラッグあたりのレート(笑)は「コントール」と同じぐらいに設定したので、その差ではないと思います。
「WAR AT SEA」よりは「バトルライン」の方が、「コントール」に近いゲームですが、それでも同じように落差を感じます。
「バトルライン」も交渉なしのカードゲームとはいえ、相手の意図を読む必要がありますし、戦術カードもいいアクセントになっています。
「コントール」と同じような「熟考ゲーム」でしたが、孤独な戦いではないと感じました。

 さて、ここまでかなり「コントール」についてネガティブな感想を書き連ねましたが、これは評価ではなく感想です。
システムの評価はWeb版にありますので、こちらは一種のリプレイだとお考え下さい。
今週のWeb版週刊通信「ホビット」で横さんが、「多人数ソロプレイすごろく」の良さがわからない、と書かれていました。
私も同じように「自分との戦い」には楽しみを見出せないようです。
人生のあらゆる局面で「自分との戦い」は避けて通れないと思いますし、むしろそれを積極的に楽しみたいと考えています。
しかしながら、少なくともボードゲームをする時には、何か違うものを求めているようです(笑)。
それをここで文章にできればいいのですが、できないからこそ、「またボードゲームをプレイしよう」と考えているのかもしれませんんね。

 "Kontor" / Michael Schacht(作)
  2、4人 / 30−60分 / 1999年

金七の個人的評価:2(私は全然知的プレイヤーではないことを悟りました、遅いですが)




隔週刊ボードゲーム通信 54号 「フンタ」
 
 フンタは比較的現役に近いアメリカ製ボードゲームだと思います。一度プレイしてみたいと思っている人が何人かいるでしょう。そういう人はプレイされることをお奨めします。面白いゲームですから。
 このゲームはてきとうなゲームですが、ポイントを押さえたセンスあるゲームだと思います。今回はそのへんを述べます。

 まず、予算承認のための議会はほとんど意味がありません。使い捨ての投票カードはほぼ意味のない「はずれカード」です。議会が上院と下院に分かれていて投票が2回りするという律儀なルールもまた意味がありません。ゲームとしては意味のないルールですが、政治のシュミレーション=雰囲気作りという点では意味があるでしょう。バナナ共和国のてきとうさがよく表されています。しかしせめてもう少し、投票カードに使いようがあったらよかったのに、と思います。どのみち強行採決によって大統領の意思が貫かれるのですが、強行採決が起こった方が政権が不安定になって面白いです。
 
 暗殺フェイズ前の所在地決定は一番緊張する時です。銀行へ行かないと預金はできないが、銀行は暗殺される危険が高い、というジレンマです。よって自然と持ち金が増えていき、身の危険もどんどん高くなります。現金を多く保有していることが知られたプレイヤーは、暗殺されるかクーデターで処刑される運命です。運がよければ最後の最後に銀行へ振りこめます。
 暗殺に成功したプレイヤーは、その時銀行へ行っていれば奪った現金をそのまま預金できてしまいます。これはいまいち興ざめな、よくある勝ちパターンです。暗殺で得たお金は次のターンまで預金できないようにする方が面白いと思います。ただ、フンタはそもそもがてきとうなゲームですので、バランスをよくするためにルールを変えるというのは間違っているような気もします。
 ところで、わざわざ本人が銀行へ行って預金しなければならないというルールは、ちょっと考えると非現実的で、とてもてきとうですが許せます。それはバナナ共和国であるからでしょう。
 
 クーデターは楽しい時です。マップ上でユニットを動かして解決するのでわりと時間がかかりますが、プレイに入りこんでしまうので時が経つのを忘れます。カードを使って労働者や学生などの勢力を出すときはとてもうれしいです。ゼネストを起こして多数のユニットを登場させることができた時には、今回のフンタに悔いなし、という感じです。
 ところで、海軍提督の戦力の弱さは明らかです。そんな海軍提督が第一反逆者となってクーデターに勝利することが1プレイで1回くらいはあるのですから、やはりこのゲームの主役は海軍提督です。なにかにつけ海軍提督中心に回っていきます。
 あと、暗殺で自分が死んでしまっている時にクーデターが起こることだけは、ヒマすぎるのでカンベンしてもらいたいものです。
 クーデターの終わりは、なんともなー、という感じのことがままあります。容易に寝返ることができるので、1時間かけてやったあのクーデターはなんだったんだ、という状況になりうるのです。その無常感もまた、なかなかオツなものです。
 それから、大使館からの亡命は希にあるイベントです。亡命先から戻ってきた人が殺されずに復帰することは、私はまだ見たことがありませんが、亡命するプレイヤーは資産(現金・カード)を結構持っているはずですし、生かされる状況とはどんなものなのでしょうね。いつか機会があれば、亡命者を生かして帰国させてみたいと思います(どの程度の期間、犬となってくれるのか試してみたいものです−ひどいけどそういうゲーム・・)。
 フンタは、エグい裏切りをしても遺恨が残らない点で稀有なゲームだと言われます。フンタがそういうゲームなのは、裏切りが起こりやすいため、死んでもダメージが少ないため、目的がお金を稼ぐことではなく稼いだお金を預金することであるため、過程が楽しめるゲームであるため、バナナ共和国の政治が上手くシュミレートされているため、でしょうか。このへんがこのゲームのセンスがよいところです。

 ところで、自分の高校時代に、ボードゲームに縁のない人達(非ゲーマー)が教室の後ろに放置されていたフンタを解読して昼休みにプレイして盛り上がっていたというエピソードを、この文章を書いていて思い出しました。フンタはボードゲームとしては難しい方ですが、素人の高校生(1年生)にもできるゲームなのです。自分自身も、中高校生の時からルールがかなり複雑なゲームをしていたわけですが、それはマニアであったから可能であったわけでもないと思います。難しいとされるボードゲームであっても、その難しさはたかがしれているのです。初心者向けのゲームというと、簡単なルールであらねばいけないとつい考えてしまいますが、子供相手ならともかく大人の初心者が相手であるなら、教える側さえちゃんとルールを把握していればルールの難しさや多さはたいしたことがないと思います。


"フンタ"
West End Games/ホビージャパン(発売),1985,
3-7人, 150分
横の個人的評価:3(誘われればプレイする・・・時間がかかるので・・)




週刊ボードゲーム通信 53号 「ミュール」 

前回の週刊ボードゲーム通信第58号(2001.10.1)を踏まえまして。
 「ミュール」はコンピュータの特徴を生かしたコンピュータ・ボードゲームです。

@土地の取得時のリアルタイム処理
 従来のボードゲームの場合は、ダイスの目の大きい順に、取りたい土地を選んだり、手持ち金で競りをしたり、タイルをランダムに引いたり、というものが考えられるが、ミュールの処理はいずれにも当てはまらず、また、ボードゲームでの再現も難しい。

Aミュール(工作用機械)の設置時のリアルタイム処理。
 購入し、改造したミュールを獲得した土地まで連れていかなければならない。遠い土地を取ってしまうと、それだけで往復に時間がかかってしまう。(時間切れになると設置ができない、最後に町へ帰れないと収入が得られない)。

B競りでのリアルタイム処理。
 詳しくは週刊の記事を参照。このゲームのハイライト。秀逸のできです。

C負けてる人が有利、勝っている人が不利なランダム処理。
 これは「それはあかんやろー」というところです。ミュールの舞台となる惑星では、洪水が起こったり、害虫が発生したり、というイベントが起こりますが、勝っている時にはそういった不幸に見舞われる確率が非常に高い。いくらイベント発生のダイスをコンピュータがやって、こちらからは見えないといってもここまで露骨なことをされると、ちょっと興ざめです。ランダム処理でフェアじゃないのは勝負のあや的に重大な問題であると思います。

D勝利得点の計算をコンピュータがやってくれる。
 これは楽ちん。しかし土地の評価などで、どんなふうに得点がついているのか良く分からないと、戦略の方針が決めにくいです。(マニュアルには書かれていたのだろうか…)。

 というわけで、コンピュータのリアルタイム処理という特性が生かされていて、全体的には好ゲームの印象の「ミュール」でした。ボードゲームに移植するのは難しいと思われます。
 ゲーム自体の問題点は、C、Dで、ランダム処理、得点計算がブラックボックス気味な点でしょう。

"M.U.L.E."(「ミュール」)
1-4人
鱶(fuka)の個人的評価:4.良い(積極的にプレイしたい…今のパソコンでは動かないのですが)

http://www.soft-city.com/egg/
EGGプロジェクトというものがあります。
PCのレトロゲームのwin版販売をやっているので、もしかしたら復活するかもしれません。


*次号以降のまぐまぐ版週刊ボードゲーム通信は隔週で発行します。
 記事がホームページ版の週刊ボードゲーム通信に追いつきつつあるためです。
 今後ともよろしくおねがいいたします。
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週刊ボードゲーム通信 52号 「マネジメントゲーム」

今回は、経営を楽しく学ぶことのできる「マネジメントゲーム」を紹介します。

学ぶことを主目的として作成されたゲームはこれまでに数多く出ており、「マネジメントゲーム」のほか、世界大会が開催される程のメジャーな経営ゲーム「ミース(MESE)」や、MBAのビジネス理論を取り入れた「MBAビジネスゲーム"Launch"」そして最近話題になった本「金持ち父さん、貧乏父さん」の中で登場する「Cash Flow」などが挙げられます。これらのゲームは、学習することに主目的を置いていることは確かですが、同時に純粋な面白さを兼ね備えている点で、ボードゲームとしての評価ができると思います。

さて、「マネジメントゲーム」は、もともとソニー鰍ノ所属されていた西順一郎さんが(ということは国産ゲームですね!)が発案されたゲームで、現在ではこのゲームを使った体験学習の場が全国各地に展開するまでに至っています。さらに、「マネジメントゲーム」は大学の授業や社員研修に利用されており、実際私も今から2年程前に社員研修として受けたのが初めての(で、たぶん最後の)プレイでした。たった1回のプレイではありましたが、その時のことは今でも鮮明に覚えています。

このゲームの中では、プレイヤーは会社の社長となり、4ないし5半期(ラウンドと考えて下さい)の間、会社を運営します。通常は5〜6人でプレイします。

プレイヤー達の中心には、6つの市場に区切られたボードと駒入れがあります。そして各プレイヤーの前には工場や研究設備、販売体制を含んだ会社プレートが置かれます。1つの市場区画には予め決められた数の駒(製品であり原材料)を置くことができます。プレイヤーは、市場から駒を入手し(原材料の購入)、手元にある会社プレートの中で原材料を加工して製品を作成し、再び市場ボードへ駒を戻す(製品販売)ことで利益を得ることができます。市場は6つあると先程説明しましたが、実はそれぞれ原材料の購入値段が市場区画によって異なります。そのため、プレイヤーはできるだけ値段が安い市場区画から原材料を購入しようとしますので、それだけ激戦区になるわけです。

各ラウンドは、時計周りにプレイヤーが場にあるカードを引き、アクションをすることで進められていきます。まずプレイヤーは、テーブルの中央にあるカードを1枚引きます。このカードの中身は「意思決定カード」と「リスクカード!」の2種類しかありません。「意思決定カード」を引いた場合、プレイヤーは原材料の購入、製品の加工、市場販売の他に、販売力や研究開発の強化を行うことによって、市場競争力をつけることが出来ます。

意思決定の殆どは、カードを引いたプレイヤーのみが行うことができますが、"市場販売"だけは異なり、プレイヤー全員が参加することができます。市場販売になりますと、カードを引いたプレイヤーが、販売したい市場と製品の個数を宣言します。それに対して、参加したいプレイヤーは意思を表明し、それぞれ販売したい製品(宣言された個数よりも少ないこと)を宣言します。次に、全プレイヤーは販売希望価格を決めて入札を行います。そして、価格の低いプレイヤーから順番に市場に製品を販売し、初めに宣言された個数に達するまで自分が宣言した希望価格で販売します。

一方、「リスクカード!」を引いた場合ですが、横に置いてあるリスクカードを1枚引き、その文面に従わなくてはなりません。「トラブル発生」といった悲劇から、「独占販売」といった利益のあるカード、そして「縁故採用」などのイベントが発生します。

これを繰り返すことによって一定時間(私がプレイした時は30分から40分)をプレイすると、1半期が終了します。これを4〜5半期行ってゲームは終了します。

これだけを書きますと、今まで慣れ親しんだゲームと同じような感じがします。しかし、各期をプレイする前後にそれぞれ「経営計画」と「決算」がある点が、他のゲームと大きく違います。「経営計画」では、現時点でプレイヤーが所有する工場の生産能力や市場競争能力から、今期の売上目標とその方法を考えていくことになります。研修のスタイルによっては、今期計画を皆の前で説明することもあります(実際、ありました)。そして、「決算」では、プレイで発生した投資や売上等から決算を行います。というわけで、プレイする時間よりも、計画や決算に時間を使うことになりますが、この過程を経験することにより、遊ぶだけではなく経営感覚を学ぶことができる仕組みになっています。

実際、私が参加したマネジメントゲームでは、2日半かけて4半期(4つのターンと考えて下さい)が行われました。特に4半期目の決算発表会+反省会では「あー、我が社は…」社長口調(?)で話す研修者がいるなど、ゲーム以外でも楽しめる面がありました。

マネジメントゲームは、社内研修で受ける他にも、全国各地でゲームのイベントが定期的に開催されていますので、検索用ホームページで"マネジメントゲーム"と入力し、ゲームの紹介資料などを読んで見て下さい。そして、機会がありましたら、一度プレイされることをお勧めします。

「マネジメントゲーム」
プレイ人数 5〜6人
Kenの個人的評価: 5(ボードゲームの新しい分野を開拓した名作です)

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週刊ボードゲーム通信 51号 「WAR AT SEA」

 今週は既にクラシックとも言える名作「WAR AT SEA」についてです。
例によってルール等の紹介は、Web版週刊通信10/15−10/21号をご参照下さい。
Web版の最後で「戦略・戦術の紹介はまぐの方で」と書きましたので、ここでは不利と思われる枢軸側を中心に、個人的な戦い方を簡単に紹介します。
お持ちでない方には無意味かもしれませんし、お持ちの方には失笑ものかもしれませんが、いたらないところはどうかご指摘下さい。

@ 枢軸(独伊)
前にも書きましたが、かなりゲーム的にも不利だと思います。
ルール的に優遇されているのですが、それでも戦力差を考えると苦しい戦いを強いられるでしょう。
とにかく補充を含めて、絶対的に艦船数が不足しているので、艦船は大事に。
被弾した艦は、可能な限り完全に修復してから出撃させるべきです(命中判定+1も重要)。
もちろん逃げ回っていてばかりではお話にならないのですが、特に序盤では勝利ポイントの高い海域で苦しい戦いを挑むよりは、確実に相手の戦力を削る事を優先するべきでしょう。
これは双方に言える事なのですが、砲撃戦時には、防御力の高い艦を相手にするよりは、比較的撃沈しやすい艦を狙いたいところです。
勝負に出るターンも必要なのですが、序盤で艦船を失うと、中盤以降勝負の根拠となる力すら無くなってしまいます。

 また、ゲームの性質上、独海軍は大西洋、伊海軍(結構強力)は地中海とそれぞれの戦いに専念する事になり、戦力の交流はありません。
独海軍は、大西洋で複数の海域から交戦するところを選べるのですが、伊海軍は実質地中海のみ出撃可能で、選択肢は出撃するかしないかだけです。
個人的には、地中海での戦いがゲームの勝敗を分けると思います。
基本的に地中海では初期配置(連合側は増減可能)の戦力で戦闘が続くのですが、全体のバランスから考えて拮抗した戦力で対峙することになるはずです。
したがって最初の戦闘(普通は第一ターン)で、どちらかが大勝すると当分その状況が続いてしまうことが考えられ、かなり有利になります。
逆に最初に負けてしまうと挽回は相当困難で、連合側は英本国艦隊の戦力を回航できる(苦しい状況ですが)のでまだましですが、
伊海軍は第一ターンにして再起不能になる可能性すらあります。
それでも最も勝利に近い戦法は、「第一ターンに伊海軍が地中海で主導権を握る」だと思っていますので、積極的に最初からうってでたいところです。

A 連合(英米ソ)
これは「one on one」なゲームですから、@の逆を行えばいいですね。
序盤から容赦無く敵艦船の数を減らしにかかりましょう。
双方同じクラスの艦船を失ったとしたら、連合の勝利と考えてもいいです。
目ざわりかもしれませんが「ビスマルク」「ティルピッツ」の両艦は、なかなか沈まないので(防御力9)放っておきましょう。
地中海への初期配置は多めにすることをお勧めします(バランスを崩さない程度で)。

 ちなみにこのゲーム、いざ砲撃戦になると、「痛み分け」という結果はあまり無いような気がするのですが…。
全滅するか撤退するまで続けるというルールなので当然かもしれませんが、撤退という選択も大概の場合実質「敗走」です。
命運をかけた第一ターンの地中海海戦も勝者敗者のはっきりした戦いになるでしょう。
そこで決定的な勝利を挙げる方法は…、「気合を込めてサイコロを振る」、これしか考えつきません(笑)。
この辺が好みの分かれるところでしょうね。
淡々と戦略を検討しつつプレイするゲームではない気がします(もちろんそれも可能です)。
私の場合「目標フッド、撃て!」(ダイスロール)「二発命中!!」という感じでいい大人が子供のように騒いでプレイしてしまいます。
どちらかというと、純粋に勝利(小は艦と艦の撃ち合いから、大は最終的勝利まで)を楽しむゲームだと思います。
それだと枢軸側が面白くないのかといえばそんな事はありません。
命中ボーナスがあるので個々の海戦ではむしろ枢軸側有利です。
最終的な勝利が欲しい方はどうぞもう一度陣営を変えてプレイしてみてください。
双方の陣営でプレイするとなおさらこのゲームの面白さがわかりますし、複数回のプレイが苦にならないゲームだと思いますので。

"WAR AT SEA"(英独大西洋の戦い)、
AH/HJ、1976年(発売)、
2-4人、1-3時間
金七の個人的評価:5

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週刊ボードゲーム通信 50号「トロントで見つけた裁判ゲーム"Judge For Yourself"」

"Judge For Yourself"は実際に行われた判例に基づいて、2つのチームに分かれてポイントを競うゲームです。

このゲームは、カナダのオンタリオ州はトロントへ観光に行った時に、街の中心部にある巨大モール「イートン・センター」内のゲーム屋さんで見つけました。イートン・センターは観光ブックにも載っていますので、場所はすぐに見つけることができます。このゲームはトロントにあるIrwin社で製作されたこともあり、箱と説明書は、英語とフランス語の両方で書いてあります。しかし、判例カードは残念ながら英語でしか記述されていません。

ゲームの箱を空けると、裁判の内容と判例結果がそれぞれ両面に記された500枚のカードと、スコアシートとダイスが1つ(1〜3まで2つづつ書かれた6面ダイス)だけ入っており、ものすごくシンプルです。

まず始めに、2つのチームで遊びますので、3人以上でプレイする時は2つのチームになるように分かれて下さい。そして、先攻と後攻を決めるために各チームの代表者がダイスを振り、より大きな数字を出したチームが先攻になります(先攻をAチーム、後攻をBチームと呼びます)。ここからラウンドが始まります。

まずAチームはサイコロを振り、このラウンドで稼ぐことの出来るポイント数を決定します。次にAチームとBチームは裁判の内容を読んで理解します。最後に、Aチームだけが判例結果を読みます。つまり、Aチームは裁判の内容と結果を知っていますが、Bチームは裁判の内容だけを知っており、結果は知らない状態になります。

先程ダイスで決定したポイントを得るための条件ですが、Bチームが実際の判例結果と同じ判断を下した場合はBチームにポイントが入ります。Bチームが実際とは異なった判例結果を下した場合はAチームにポイントが入ります。このポイントを巡って、両チームで裁判に関して議論を繰り広げることになります。Aチームとしては裁判の結果を知っているわけですから、Bチームが誤った判例結果を下すよう導くプレイが必要になります。Bチームとしても、正しい判例結果を見つけるためにAチームの反応を伺うことになります。

Bチームが判例結果を下した後は、AチームもしくはBチームにポイントが入り、次のラウンドが始まります。次のラウンドではAチームとBチームの立場が逆転します。これを繰り返して、規定の15ポイントに早く達成したチームが勝ちとなります。

他のゲームと比較すると討論や議論の部分でかなり自由に振舞うことができそうです。昔の映画(リメイクもされましたが)にありました「12人の怒れる男たち」にでてくる陪審員の気分を味わうことができると信じています。


Judge For Yourself / Irwin 1999
2人以上の成人プレイヤー(人数が3人以上の場合は、2チームに分かれる)
Kenの個人的評価:?(遊んでみないと…)

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週刊ボードゲーム通信 49号 「キピット」

 始めに22個ずつ、ブロックを持ちます。各プレイヤーはそれぞれブロック(大きい順に、赤色4個、青色5個、黄色6個、緑色7個)を持ちます。スタートプレイヤーは、シーソーの上がっている側に、自分のブロックを置いていきます。

=========
      ○       …こんな形のシーソーです。

 ブロックを載せていって、シーソーが反対側に傾いたら手番が終了します。その時、もし積んでいたブロックが落ちたら、相手プレイヤーはそれを手駒として引き取らないといけません。また、自分が積んでいる最中に、ブロックを落としてしまうと、落ちたブロックは自分が引き取らねばならず、さらに手番も終了してしまいます。自分のブロックを全て積んだ人が、勝利します。

 こういったバランスを取りながらブロックなどを扱うゲームには、「山崩し」などのブロックを取っていくタイプと、「ぐらぐらゲーム」などブロックを載せていくタイプとがあります。「キピット」の場合は載せていくのですが、シーソーが傾く時にはそれらがうまく落ちるようにしなければなりません。単純に積むだけではなく、ちょっと戦略的な要素があります。
 これらのアクション系のゲームは、ゲームをほとんど知らない一般の人でも楽しめるので、お正月(もう終ってしまいましたが…)などに、家族でちょっと楽しむのに良いのではないかと思います。気軽にプレイできるのですが、箱がちょっと大きいのが難点。前回の「動物列車」と違ってかばんに常備するわけにはいきません。(常備するか〜?)

“Kippit”(「キピット」)/Torsten Marold(作)
franjos(発売), 1999
2人,10分
鱶(fuka)の個人的評価:3(誘われればプレイする)

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週刊ボードゲーム通信 48号 「動物列車」

 みなさんあけましておめでとうございます。あれ、記念すべき2002年の最初の配信なのに、こんな軽いゲームでいいんでしょうか。まあ、今年も肩の力を抜いてがんばるということで。あと、今年のえとの馬のお友達のシマウマも出ていることですし(無理やり〜)。

 「動物列車」は3人以上でプレイできるカードゲームです(特別ルールを使えば2人プレイも可)。カードには列車に乗った動物の絵が描かれています。ライオン、ゾウ、クマ、カバ、ブタ、シマウマ(!)、ワニ、トラの8種類の動物がいて、それぞれ列車の1〜4両目に乗っています。
 カードを各人に配ります。手番のプレイヤーは、誰か1人を指名してほしいカードを言います。「シマウマの3両目」のように言い、それがもし指名された人の手元にあればそのカードをもらえます。そして、さらに指名を続けることができます。
 同じ動物の列車を4両そろえたら、自分の前に出します。最後までプレイして、一番多く列車を完成させた人が勝利します。

 結局のところ記憶が一番。前回の横氏の指摘のような、「勝負に出ること」はほとんどできないため、ちょっと不満はありますが、誰にでも分かりやすく、盛り上がりもまずまずあるので、ある程度評価できるゲームです。
 このゲーム最大のポイントは非常にかわいいライオンのペンダントがついてくるとこでしょう。勝った人は「ごほうび」(ルールブックより)として、これをかけてもらえます。
 小さなカンケースに入っているので、携帯にもとても便利です。ゲーマーのいない集まりに、ぜひ持っていきましょう。
 
"TIER QUARTETT"(動物列車)
HABA(発売), 2000, 3-?人
鱶(fuka)の個人的評価:3(誘われればプレイする)

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週刊ボードゲーム通信 47号 「キャント・ストップ」

キャント・ストップはドイツゲームだと思っていたのですが、調べてみるとアメリカ製のゲームでした(よく考えたら題名は紛れもなく英語です)。作者はアクワイヤを作った人です。このゲームはドイツでも紹介されており、81年のドイツゲーム大賞にノミネートされているようです。

 ゲームの設定は登山です。アルプスの登山は険しく、とても困難です。11あるルートのうち、3つを走破したプレイヤーの勝ちとなります。
 プレイヤーはサイコロを4つ振り、その目を組み合わせてコマ(登山隊)を進めていきます。登山が成功し続ける限りは何度でもダイスが振れます。しかしほどほどのところでストップしてベースキャンプを張らないと、進めない出目の時にすべてスタートへ戻されてしまいます。ここらへんがとてもスリルがあります。
 簡単に自作できるゲームですが、ボードやコマの雰囲気がよく、買っても惜しくはありません。山登りの感覚が十分出ています。

 このゲームの一番の魅力は、プレイのスタンスが調整できることです。手堅いプレイとリスクの大きなプレイが選択できます。例えば、勝っているプレイヤーは手堅くいけばよいし、負けているプレイヤーは逆転をねらってリスクの大きなプレイをすることができます。
 ところで、このようにプレイのスタンスが変えられるゲームはドイツゲームには少ないと思います。ドイツゲームではプレイヤーは皆、同じスタンスでプレイを積み上げていきます。勝負に出ることによる大逆転などめったにありません(なおドイツゲームにおいて、ルールによって弱者救済が図られている場合が時々見られることは興味深いことです)。

 勝負に出ることができるゲームが私の好みです。運を天に任せることが好きなのではなく、今は勝負時かどうかを判断することが面白いと感じます。決断ができるゲームが好きだと言ってもいいです。そういうゲームには緊張感があります。勝負に出てうまく成就したときは、それが他のプレイヤーのものであっても清々しいです。失敗したときも、それはそれでおつなものです。
 勝負に出ることができるゲームは、たぶん運の要素が強いゲームです。しかし運の要素が強いゲームであれば勝負に出ることができるわけではありません。運の要素が強いゲームにも、その運をプレイヤーが調整することが可能かどうかで違いがあります。
 運を調整できないゲームの典型はすごろくです。すごろくはあまり面白くありません。 運を調整できるゲームの典型は、ギャンブル(博打)です。ギャンブルは運の要素が非常に強いのですが、プレイを通じてゲームにコミットするボリュームが調整できます。つまり勝負に出ることができるのです。ギャンブルがゲームとして優れているのはこの点です。我々がするボードゲームは、ゲームとしてはギャンブルよりもよくできていそうなものでもギャンブルほど盛り上がらないのは、お金を賭けているかどうかの違いだけではないのです。

 ギャンブル漫画(マージャン漫画等)を読むと、ギャンブルは確率(理屈)だけではないということが分かります。もしかしたらドイツ人は、理屈以外のわけのわからないものを止揚したいのかもしれません。
 このように考えていくと、キャント・ストップが実はアメリカ産のゲームであったことも納得がいきます。このゲームはまさに確率のゲームなのですが、確率だけのゲームではありません。気合いや直感も重要ですし、登山者を惑わす山の聖霊=「もう1回行け行け」と言う他プレイヤーも存在します。ギャンブルチックで面白いゲームです。

"Can't Stop" (キャント・ストップ)/Sid Sackson(作)
Parker Brothers(発売), 2-4人, 30分
81年ゲームゲーム大賞ノミネート

横の個人的評価:4 良い(積極的にプレイする)


<通信社からの連絡>
*「カタンの開拓者」の記事を公募したのですが、残念ながら応募はありませんでした。 他のゲームでも構いませんので投稿したい方がおられたらぜひどうぞ。

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週刊ボードゲーム通信 46号 「ハラリ」

 今回はコスモスの正方形2人対戦ゲームシリーズの「ハラリ」です。人間チームとクマさんチーム(動物チーム)に分かれて、相手のキャラクターを狩っていくゲームです。細かいルール等については、以前の週刊ボードゲーム通信を参照してくださいませ。と思って、前のを見てみると少し説明不足があるので、以下***〜***までは改訂版です。

***
 7×7のマスに区切られたボード上に、48枚のタイルを裏向きにして、ランダムに並べます(中央は空白)。片方は動物チーム、もう一方は人間チームとなり、お互いに狩りを行います。
 並べられるタイルには、クマ・キツネ(動物チーム)、きこり・猟師(人間チーム)、カモ・キジ・木(中立)があり、それぞれ能力が違います。
 自分の番には、タイルをめくるか、既に表向きになっているタイルを動かすことができます。動かすことのできるタイルは、自分のチームのキャラクターか、カモ、キジです。裏向きのタイルのマスには侵入できません。表向きになっているタイルに侵入できるのは、勝つ(相手を狩る)時だけです。

 それぞれのタイルの能力は以下の通りです。
クマ(2頭)…きこり、猟師に勝つ
キツネ(6匹)…カモ、キジに勝つ
きこり(2人)…木に勝つ
猟師(8人)…銃の向いている方向の動物(クマ、キツネ、カモ、キジ)に勝つ
キジ(8羽)、カモ(7羽)、木(15本)

 移動は、クマときこりは1歩づつ、他のキャラクター(木以外)は、一直線ならば、縦か横方向に、好きなだけ進むことができます。
 全タイルオープン後、5ラウンドを行って、ゲームが終了となります。クマ10点、キツネ・人間5点、キジ3点、カモ・木2点となり、狩ったキャラクターの得点と生き残って森から脱出した味方キャラクターの得点を合計して、点数が多い方の勝利です。
***

 動物チームの場合はいかに、2枚しかないクマを最後まで生かせるかがポイントとなりましょう。最初のうちはともかく、タイルをめくっていく場合は、猟師の後ろの射程外となっているタイルをめくったり、とりあえず木の隣にしてみたり、突発事故によって自分のキャラクターが狩られてしまわないように十分注意しなければなりません。クマは1歩ずつしか歩けないので、終盤は狩りよりも脱出を目指していく方がいいかもしれません。
 人間チームの場合は猟師の向きと移動力がポイント。猟師は出現したとたん、行き場がないことも結構ありますが。また、2枚しかないきこりは、唯一の木を倒せるキャラクターです。

 キャラクターの移動力や攻撃に特徴があるのはよいのですが、全タイルが裏向きからスタートするために、戦略を考える場面が少ないです。と、ここでふと思ったが、「十六武蔵」も移動力とかがキャラクターごとに違うと面白いかも(マップも変える必要があるけれど)。武蔵の二刀流しか表現できていないのが、ちょっといまいち。それはともかく。
 箱の裏には10段階で運:7、戦略(?):5とあります。運の要素が強いというよりは、戦略的に進めるための材料が少ないのが不満でした。
 それと、このゲームって、動物愛護協会的にはちょっと問題視されるかもしれないですね。
 
"Halali!"(ハラリ)/Rudi Hoffmann(作)
KOSMOS(発売), 2000, 2人, 40分
鱶(fuka)の個人的評価:2 不満(特にプレイしたくない)


<通信社からの連絡>
*まぐまぐ週刊ボードゲーム通信 47号(12月25日発行号、発行部数:304部)の記事を公募します。
お題は「カタンの開拓者」。
締め切りは、12月23日23:59。
我こそはという方は記事を下記のメールアドレスへお送り下さい。
shuu@tk5.org1.com

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週刊ボードゲーム通信 45号 「カール大帝」

 今週は私、金七の担当にしてはスタンダードなドイツゲーム「カール大帝」を取り上げます。
ルールの紹介は通信社HPの週刊通信「6/18−6/24号」でおこなっているので、そちらをご参照下さい。
「7/9−7/15号」では私なりの評価も行っていますので、今回はそれとは別の視点で書いていきたいと思います。

 横氏がHPの「フンタ」の紹介で、ドイツ製ボードゲームは抽象的だ、と指摘していますが、この「カール大帝」でも、
そういった部分が見うけられます。
歴史をベースにした和製米製のゲームだと、かなり具体的にコンポーネントやシステムに当時を感じさせるものがあるのですが
(意図的に再現しようとしている)、独製だとまずシステムがあって、その味付けとして歴史がある感じがします。
「カール大帝」を例にしますと、一応マップらしきものは書いてありますが、ゲームには何の関係もありません。
カール大帝も駒として登場しますが、高度に抽象化された存在で、これまた歴史的役割とは何の関係もありません。
極論すれば、「始皇帝巡業」という題のゲームにしても構わないといえるでしょう。

 これは無論どちらが良いという問題ではないと思います。
カール大帝の歴史に興味のある人がこのゲームをプレイすると、もしかしたら失望するかもしれませんが、
逆にこのゲームのシステムが面白いと感じられれば、まったくカール大帝の史実に興味のない人でも楽しいでしょう。
私は歴史が好きなので、歴史をうまく取り入れたゲームは思い入れがしやすく(物語が作りやすい)、魅力を感じるのですが、
歴史にとらわれすぎると、肝心のプレイアビリティーが悪くなってしまって、娯楽としての価値が落ちてしまうと思います(アメリカゲームにありがち)。
この辺の微妙なさじ加減が自分の好みにマッチするゲームに出会えれば、人生の宝になるでしょう。

 「カール大帝」に関して言えば、歴史性がほとんどゼロなので、そちらを期待した人にはいまいちかもしれませんが、
システム自体はよくできていて、悪くないゲームだと思います。
コンポーネントも上品ですし、2−4人対応のボードゲームというのも貴重で重宝するでしょう。
あとはプレイする貴方が、ダイスを振るのが好きかどうかにかかっています(笑)。

 "Carolvs Magnvs"(カール大帝) / Leo Colovini(作)
 Venice Connection、1999,2−4人,30−60分
   金七の個人的評価:3


<通信社からの連絡>
*まぐまぐ週刊ボードゲーム通信 47号(12月25日発行号、発行部数:303部)の記事を公募します!
題材は、「カタンの開拓者」です。
締め切りは、12月23日23:59です。
記事は下記のメールアドレス(ボードゲーム通信社宛)へお送り下さい。
shuu@tk5.org1.com

(以前に「戦略空軍」の記事を公募した時には応募はありませんでした。
「カタン」ならメジャーなので書いてくれる人が1人くらいいるかも・・という思いです。
ぜひともよろしくおねがいします! 気軽なもので構いませんので!)

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 http://www.geocities.co.jp/Playtown-Yoyo/4569/minimag.htm

  発行:ボードゲーム通信社




週刊ボードゲーム通信 44号 「ウノ」

 みなさん、こんにちは。今回は「ウノ」です。
いきなりですが、週刊ボードゲーム通信 7/2−7/8号(メルマガじゃない方)に横氏のカードゲーム分類が出ていますので、それをちょっと引用します。

「結論から言うと、カードゲームは2種類に分類できます。(1)ボードゲームに近いカードゲームと(2)ボードゲームから遠いカードゲームです。(1)の例は、モンスターメイカー1と5(ソフィア)、マジックザギャザリングです。(2)の例は、モンスターメイカー4(スペルマスター)、クク、ウノです。
 (1)と(2)の違いは、カードが場に残って影響力として存在するか否かです。」

 今回の「ウノ」は(2)の方にあたっています。そのことを別の視点から(根は同じ問題?)ちょっと考えてみるに、「ボードゲームから遠いカードゲーム」というのは、カードの機能が非常に単純であると思います。
 「ウノ」では、数字と色でほとんど説明がついてしまいます。リバースやスキップも色を合わせて場に出していくという点では他のカードと同様の働きです。“動物大富豪”「ゾフィンズー」も動物の種類と匹数だけで説明がつきます。
 こういった、単機能カードのゲームは一般的になりやすいけれども、ゲームの奥深さの点で難があります。分かりやすいのでパーティーゲーム系初心者向けゲームという位置付けになるものが多いように思います。(全てを検証していないのでそうじゃないものもありそう…コントラクトブリッジとか??)
 それに対して、「ボードゲームに近いカードゲーム」は、多機能、多種類のカードで構成されています。「マジックザギャザリング」の場合はその最たるもので、カードの数だけルールがあるような状況です。そこまで極端ではなくても、カードに攻撃力、防御力のような複数の数字がついていたり、キャラクターカード、魔法カードのように分かれていたりします。その分ゲームが複雑になり、それが良い方向であれば奥深いゲームになるわけですが、そうでないものもよくありますよね。
 単機能カードの方は、味付けができない分、ゲーム本体の面白さがストレートに表れる気がします。

 こうして単機能カードのカードゲームと多機能カードのカードゲームとをちょっと見てきたものの、その比較によって特に何がわかるというわけでもなかったような…。
 「カードゲームって何?」という質問をされたときに、思わず「ウノ」などを例としてあげてしまうのですが、私たちが比較的多くプレイする<多機能カード>カードゲームとはちょっと質が違うので、あまり適切ではないのかなと思ったりしてきました。
   
“UNO”(「ウノ」)
I.G.I., 1981
2-10人,カードゲーム
鱶(fuka)の個人的評価:3(誘われればプレイする)

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  発行:ボードゲーム通信社




週刊ボードゲーム通信 43号 「ホラー・ナイト」 

 「ホラー・ナイト」はクトゥルー神話っぽい、クス=バルセス神話世界が舞台のカードゲームです。
 各プレイヤーは1枚ずつモンスターカードを、他プレイヤーに見えないように管理します。モンスターは形態(人形、巨大、不定形)、棲息場所(街中、山海、墓場)、伴う現象(怪音、異臭、気象)と3種類の特徴を持っています。3×3×3で27体のモンスターがいることになります。プレイヤーは他プレイヤーのモンスターを推理してそれを退治していきます。

 プレイヤーの持つ調査カードには、1〜2種類の特徴がひとつずつ書かれています。「山海・異臭」、「人形、墓場」といった感じです。調査カードを出されたプレイヤーは自分の管理するモンスターカードについて、調査カードの項目のうち、2つとも一致、1つ一致、はずれ、のいずれかを答えます。1つ一致の場合はどちらが一致するかは答えません。
 プレイヤーは、モンスターの特徴一覧表を持っています。モンスターを退治する時は、調査カードによる調査を参考に、モンスターの名前を当てていきます。推理が外れた場合は脱出チェックを行い、失敗すると入院してしまうことになります。さらにそれがヒントとなって他プレイヤーにそのモンスターの退治をされてしまうことになるため(モンスターの退治数が最も多かった人が勝利する)、いきおい皆慎重なプレイになりがちで、非常に盛り上がりに欠ける展開になりがちです。

 よってこのゲーム、「人形・山海がどちらか一致で、異臭・巨大はどちらもはずれ、墓場は一致なので、人形で墓場で、あとは怪音か気象か」とかいう論理ゲームとなります。それを推理する過程が好きな人はいいですが、そうでない人にとっては、妙味を感じさせないゲームといえます。こういった論理ゲームで、さらにゲーム的にバランスが取れたものは難しいのでしょうか。

「ホラー・ナイト」/駆虎人T号(作)
ホビージャパン(発売), 1989
2-8人,30-60分,カードゲーム
鱶(fuka)の個人的評価:3 普通(誘われればプレイする)

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 42号 「モンスターメイカー5」

 「モンスターメイカー5 ソフィア聖騎士団」は、カードゲームの名作です。ストーリーは以下の通りです。
 「かつて、光と闇は激しく争っていた。最後の戦いで光のプリンスは7つの宝石の力を借りて、闇の大王に勝ち、光が闇を優先することとなった。光のプリンスは、地中海の火山島ブルガンディ王であるアシャンディに命じ、大聖堂を建立させ、7つの宝石を納めさせた。・・・
 ところがある時、巡礼に変装した魔道師ディオシェリルが宝石の1つを盗み、闇の女王に引き渡した。光の絶対的や優位は崩れ、闇の軍団が力を得て光の仲間たちに挑戦するようになった。」

 今回は、なぜ「ソフィア聖騎士団」が名作カードゲームなのかを考えていきます。
 このゲームの一番の魅力は、やりたいようにできる点です。自由度が高いゲームは何をするべきかが分かりにくいことが多いのですが、このゲームはそんなことありません。ルールの量は他のモンスターメイカーシリーズと較べると多いですが、それぞれのルールがリアルで、またうまく統合されているのでプレイしやすいです。
 そして「ソフィア聖騎士団」がカードゲームとして優れているところは、カードの引きが悪くても楽しめる点です。その上、引きが悪くても立ちまわり次第では勝つことが可能です(一般的にカードゲームは引きが重要です)。
 またカードゲームの一般的な傾向として、序盤は楽しくても中盤以降は盛り上がらなくなってしまうことがあります。それはカードの引き合いとなるからです。なぜそうなるかというと、原因の1つはプレーヤーの勢力が確定してしまうからです。そうなると、状況を打破するキーとなるカードの引き合いになります。「ソフィア聖騎士団」には、増大したエントロピーを適度に減少させるしくみがあり、その問題を解消しています。
 このゲームのカードは主に2種類に分かれています。手札は捨てることができず、5枚までしか持てません。よってカードを使うこと(主に軍勢としてならべること)が必要なのですが、善と悪のカードは同時に使うことができません。例えば善の立場でプレイしていると手札には悪のカードが増えてきます。従っていずれは悪の立場に変更せざるをえなくなります。その時には、ならべていた善の軍勢をすべて捨てなければなりません。プレイ中はこのように何度か立場を変える必要があります(ところで、勝つためにはこの見極めが重要。プレーヤーの立場は不安定なので、うまく自分をマネージメントすることが大切)。
 カードゲームにおいて中盤以降カードの引き合いとなるもう1つの原因は、役に立たないカードが増えるためです。山から引いたカードが意味のないカードであった時の悲しさにゲーマーは慣れきってしまっているのでそれほど意識はされていませんが、これは大きな問題だと思います。「ソフィア聖騎士団」では、弱いカードも使いようです(オーク兵の軍団化といった意識的なルールもあります)。
 勝利条件もこのゲームの妙です。宝石を集めることが目的であり、戦闘はそのための手段です。それもまた「ソフィア聖騎士団」を重層な雰囲気のゲームにしている要素です(一般的にカードゲームには平板な印象があります)。
 このゲームを1回プレイすれば1つの物語が完成します。カードゲームでこのような経験ができるものを私は他に知りません。負けても楽しかったと思えるのは、物語を作ることができるからでしょう。刹那的なことがカードゲームの弱点です。その証拠にプレイ中は楽しくても、プレイ内容はすぐに忘れてしまいます。「ソフィア聖騎士団」はこの弱点を克服しています。
 ゲーマーにとってカードゲームというとボードゲームの簡易版のような位置付けです。私もそう思っています。時間があればカードゲームよりもボードゲームをしたいです。しかし、「ソフィア聖騎士団」はボードゲームに負けていません。カードゲームの弱点を乗り越えた「突破したカードゲーム」と言えます。

「モンスターメーカー」/鈴木銀一郎(作)
翔企画(発売), 1989
2-7人,カードゲーム, 2000 GOLD
横の個人的評価:5(大好き)

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週刊ボードゲーム通信 41号「モンスターメーカー」

 古き良き時代、日本製カードゲームが2000円ぐらいで数多く発売されていました。その端緒となったのが、この「モンスターメーカー」というカードゲームです。
 カードには自分の配下の戦士、盗賊、魔術士、エルフ、ドワーフといったキャラクターカードと、ドラゴン、グール、リザードマン、ゴブリンといったモンスターカードがあり、それぞれに九月姫さんのイラストが描かれています。自分の番には、洞窟を進むカードを出す、敵プレイヤーにモンスターカードを出して進行を妨害する、自分の前にいるモンスターカードをキャラクターカードを使って始末する、といった行動を行います。最奥部の宝の部屋で宝を奪って、ダンジョンを脱出します。

 簡単なカードゲームですが、ボードゲーム&カードゲームの重要な一要素を備えています。それは、自分の行動時に、「他プレイヤーとの関わりがある」という点です。他プレイヤーにモンスターカードで妨害をする、これだけですが、多人数プレイで盛り上がります。
 自分の行動が他プレイヤーにどういう風に影響を与えるか、これはゲームごとに色々あると思いますが、ここの良し悪しはゲームの盛り上がりにとって大切でしょう。それがなければ、コンピュータ相手にシミュレーションゲームをやっているようなものだからです。他者とのかかわりの方向性をもっとおしすすめると、交渉のあるゲームへと行き着くのでしょう。
 今まであまり意識してこなかったですが、そういう観点からすると、確かに面白いと感じるゲームはその辺が良くできているような気がします。

 細かい点では、
・モンスターカードは、1人に1枚しかつかない。
・戦闘に使う味方のカードは使い捨て。
・(ローカルルール?)トレジャーカードも7枚の手札に入れていたので、宝が多いほど帰り道が辛い。
・足手まといの王女。
・誰かがゴールすると山札からカードが引けなくなる。
・行きと同じ距離でないと、出口にたどり着けない。
 これらのルールによってバランスが取れたゲームになっています。細かいルールが効いている、という感じです。

 問題点を一つだけあげますと終了条件。トレジャーカードかプライズカードがなくなったときにゲーム終了、という通りに最後までやったことがないなあ。たいてい、2,3回探索を行って終了していました。

  
「モンスターメーカー」/鈴木銀一郎(作)
翔企画(発売), ?
2-6人,カードゲーム
鱶(fuka)の個人的評価:3(誘われればプレイする)

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 40号「戦略空軍」

 空戦カードゲームです。これは友人が持っていたのを何回か遊んだことがあります。結構好きだったのですが、それほど評判は良くなかったような気がします。
 今回持っていないゲームということで、少しあいまいめのレポートになりますが、お許しを。

 例によって各国の機体がプレイヤーにランダムに配られます。このへんは、「大海戦」、「タンクハンター」同様に、史実モードではありません。
 各プレイヤーは自分のターンに、戦闘機で制空権を支配し、爆撃機で爆撃を行います。他プレイヤーは迎撃戦闘機を出撃させて、敵機の撃墜を目指します。爆撃を行うことができた機が、爆撃の回数だけダイスを振ってそれが得点となったと思います。
 システムで特徴的なのが各機体に稼働率が設定されていること。ダイスを振ってその機体が出撃できるかどうか判定します。ここらあたりは、せっかく高性能の機体を持っていても、活躍できずに悔しい思いをすることもあり、まあまあバランスのとれたゲームだったのかな、と今では思います。当時は「なんでやねーん」と言っていましたが…(若かった)。

 ところで、こういった戦争をテーマにしたゲームってどうなんでしょうね。戦争の犠牲になった人のことを思うと、ゲームとして楽しんでいいのかな、と思うことがあります。コンピュータゲームの「大戦略」があったころから、私の中では解決していない問題です。

「戦略空軍」
ホビージャパン(発売)
2-6人,30-60分,カードゲーム
鱶(fuka)の個人的評価:3 普通(誘われればプレイする)

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 39号「タンクハンター」

 ホビージャパンから出たカードゲームです。
もうかれこれ十年前になりますが、かなりの回数プレイしてカードがぼろぼろになってしまいました。
始めからカードが切ってある第2版(高級版)も出ましたが、今となっては絶版ゲームです。

 第2次世界大戦に登場した戦車や歩兵が入り乱れて戦闘をするというてきとうなゲームです。
しかし、未来の人々がコンピュータ制御の実物を作って戦闘シュミレーションを行うという設定はあります。
 リアルな絵のユニットカード(戦車カード)と、気楽な絵のイベントカードがうまく融合して、ちょうどよいカードゲームとなっています。
 戦闘ルールは工夫されており、リアリティがあります。
AP弾とHE弾の区別、戦車の反撃射撃、弾薬切れ、歩兵砲へのオーバーラン、無砲塔戦車、対空射撃、間接射撃など、それぞれ上手く表現されています。
 対照的にイベントカードはデフォルメされており、このゲームをファニーなものにしています。
イベントカードの主役を5つ選ぶとするならば、「弾薬」「増援」「爆撃機」「ゴリアテ」「愚劣指揮官」でしょうか。

 手軽さ、値段の安さ、リアルさ、ドラマ性、面白さ、といった長所を兼ね備えたなかなか良いカードゲームです。
外国へ輸出したいゲームです。

「タンクハンター」/D(作)
ホビージャパン(発売), 1988
2-7人,20-40分,カードゲーム
横の個人的評価:4(2セット持っている)

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 38号「大海戦」

 ホビージャパンから出たカードゲームです。
もうかれこれ十数年前になりますが、かなりの階数プレイして、カードがぼろぼろになってしまいました。
プラスチックカードのデラックス版をだして欲しかったのですが、今となっては絶版ゲームです。

 海にぷかぷか浮かんでいる戦艦とか巡洋艦とかでダイスを振ってぽこぽこ射ちあうゲームです。
命中判定はダイス、ダメージについては山札のダメージカードのドローで行います。
 自分の指揮する戦艦はランダムに配るだけ。
アメリカ、ドイツ、日本の連合艦隊になったりして、非常に適当なゲームです。(箱にはシミュレーションカードゲームと書いているのですが…。)
しかしそこが逆にプレイしやすくていいと思います。
カードゲームの手軽さ、値段の安さ、プレイ時間の適当な長さ、といった長所を兼ね備えたなかなか良いカードゲームです。
「このゲームにしかない」といった、独特の特徴は見受けられません。
しかしながら、こういったキャラゲー(?)だと、シンプルなつくりのほうが遊びやすくていいのかも。
 艦のカードに竣工年、戦没年、砲の口径・数、全長、全幅、基準排水量、同型艦数、速力といったゲームに使用しないデータが記載されているところがマニアックといえます。
 ところで、陸の「タンクハンター(タンクバスター)」、海の「大海戦」、空の「戦略空軍」がお手軽軍事カードゲームの御三家だと思うのですがどうでしょう。
  
「大海戦」/瀬戸利春(作)
ホビージャパン(発売), 1990
2-5人,20-60分,カードゲーム
鱶(fuka)の個人的評価:3(誘われればプレイする)

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 37号「連合艦隊」

 今週はWeb版週刊通信のほうで、「個人的評価:1」の例として挙げた「連合艦隊」を再び取り上げます。
「連合艦隊」は潟oンダイの「GAME for ADULT if series」第一弾として発売されました。
太平洋戦争における日米海軍の戦いをシミュレートした、二人用戦略級ゲームです。
時期的には、真珠湾攻撃直後から終戦までを含んでいます。
地理的には、北はアラスカから南はオーストラリアまで、東はサンフランシスコから西は上海までを扱っています。
戦力には、戦艦・空母・巡洋艦・駆逐艦・艦載機があり、巡洋艦までは艦名が入っています。(日82ユニット、米95ユニット)
 余談になりますが、五段階評価の尺度は「1:絶対やらん」になっていまして、
面白くないけど「誘われたから」「暇だから」等の理由でプレイしないでもないゲームはこれに当たらないと私は考えています。
しかしそうすると必然的に、1度しかしていないゲームを「最悪」だと評価してしまうわけです。
プレイするごとに楽しさは変わってくるので、フェアでないかなとは思います。
ですからどうしても「2−4」あたりの評価が増えてきます。

 さて前置きが長くなりましたが、「連合艦隊」も1度しかプレイしていませんし、今後もすることは無いでしょう。
「ここを変更すれば面白くなるだろう」というようなところも無く、良いところを捜すのが難しいのです。
あえて挙げるとすれば、「ルールが簡明で覚えやすく、プレイが容易である」という点でしょうか。
ルールは実質8ページぐらいですぐに把握できます。
プレイも、1番長いキャンペーンシナリオでさえ三時間もあれば終わるでしょう。
もっともこの長所は、「杜撰なゲームシステム」という短所の裏返しですが。
基本となるゲームシステムが崩壊していると(自由度が高いゲームでも基本はしっかりしていないと困る)、
プレイの雰囲気云々以前の問題なので、どうしても点が辛くなります。
ちなみにゲームの進行は、まず日本軍が移動を行い、移動終了後隣接した敵を攻撃、
次に米軍が同じ手順を行い、以後繰り返すというある意味スタンダードなものです。
というかスタンダードなルールを当てはめただけで、このテーマにあったルールを考えなかったのでは?と勘繰りたくなります。
戦闘も、各ユニットの戦闘力に、戦闘毎に出すカードの数字を足して、3以上の差だと負けた方は撃沈、
1、2差だと負けた方が後退、同数だと相打ちで双方撃沈、というどこかで見たようなル−ルです。
各艦の戦闘力は、戦艦5、巡洋艦3−5、駆逐艦2、艦載機4・5で、カードの方は1−9まで。
当然のことながら、恐ろしいまでの消耗戦になります。
キャンペーンシナリオでも進行が早い理由がおわかりいただけますね?
「大和・武蔵」だけは戦闘力が7ありますが、あっさり巡洋艦に沈められたりします。

 国産ゲームはコンポーネントに優れているものが多いのですが、「連合艦隊」はその点でもちょっと…。
六角形の駒立に艦船ユニットを立てて盤上に配置するのですが(無論スタック禁止)、
駒立てがかさばるので、密集隊形にすると大渋滞、両軍主力同士の戦闘時にはもう大変なことになります。
ここから考えるとあの乱暴な戦闘ルールはなかなか合理的なのかもしれません(笑)。
ゲーム開始時の大艦隊は、数百キロにわたって展開することになります。

 これが横氏のいう「少ない時間で業務命令により作らされた」国産ゲームの典型的例でしょう。
このifシリーズには以降「関が原」「二百三高地」「日本列島沈没」(これはどんなゲームだったのか少し興味がありますが)
の各ゲームが出ていますが、第一弾がこれでは内容は推して知るべしというところでしょう。
「連合艦隊」「関が原」などは露骨にそのテーマで人をひきつけようとしていて、広義での「キャラ物」の匂いがプンプンします。
実際に私も惹かれるものがありますし、昔は今に比べてゲームの内容をあらかじめ知ることが格段に困難だったことを思えば、
とりあえず題名で購入を決めた方もいたのではないでしょうか。
私は友人から格安で譲ってもらったので(Thanks Jun)、実際の販売価格がわからないのですが、
購入した人が満足したとは到底思えません。中には二度と買わないと思った方もいるのではないでしょうか。

 先週号の「東部戦線」の結びで、「広義のキャラゲーだがやっつけ仕事ではない」と書きましたが、「連合艦隊」はどうしようもなくやっつけ仕事です。
このテーマでゲームを出しておけば、ある程度の人間が買うだろうと考えたのでしょうが、ユーザーの満足は考えなかったのでしょうか?
長い目で見ると、ホビーの衰退、ブランド名の信用低下など、不利益の方が多いはずなのですが。
この違いが、(当時の)エポックとバンダイの違いを表しているのかどうかはわかりません。
「そんなゲームを買うほうが悪い」とはおっしゃらないで下さいね。
当時は今とは違って、ゲームの内容をあらかじめ知ることは、不可能ではないにしても困難でした。
今週は「昔はこんなゲームでも売られていました」というお話でした。
 
"連合艦隊" / バンダイ / 二人用 / 30分−3時間(笑)
金七の個人的評価:1(捜したことは無いのですが多分入手困難です) 

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 36号「東部戦線」

 今回紹介する「東部戦線」は、ボードゲームの中で「ウォーゲーム」と呼ばれるものです。
「ウォーゲーム」の特徴としては、歴史性(史実の再現or可能性の追求)と、一対一の対戦型であること、を挙げておきます。
もちろん例外もありますが。
異論を恐れずに言いますと、最近のボードゲーム(おもにドイツゲーム)が様々なゲームシステムによる、プレイヤー間のかけひきを楽しむものだとすれば、
「ウォーゲーム」は基本的には同じシステムの上で、歴史上の可能性を楽しむものだと考えています。

 「東部戦線」のデザイナー黒田幸弘氏は、日本のゲームデザイナーとしてはかなり有名な方でしょう。
ボードゲーム「戦国大名」(エポック)は、かなりの人気作でした。
その他にも、PC版「天下統一」シリーズ、TRPG等にも関係しておられます。
しかしあえてマイナー&入手困難な「東部戦線」を取り上げる私。皆様お許しを。

 「東部戦線」はヘックス(六角形のマス)使用の戦術級です。
戦術級は戦略級(国家規模)とは逆の狭い範囲の戦闘を扱っており、
「東部戦線」においては、1ユニットが3・40人もしくは4・5輌で、1ターンが30分になっています。
プレイヤーは1943-1945年におけるドイツ軍とソ連軍をそれぞれ担当します。
戦力・地形・勝利条件は11種あるシナリオによってそれぞれ異なります。
ルールの紹介は、この際無意味だと思うので行いません。
この種のテーマに興味があって、「東部戦線」をお持ちでない方に少しだけ書いておくと、戦術級のゲームにしては、ゲームの進行は煩雑ではありません。
好みの分かれるところでしょうが、かなり意図的に簡略化が測られています。
ゲームをプレイする時間が、ゲーム中の時間経過を超える(笑)という、戦術級のゲームにありがちな事態にはならないでしょう。

 子供の頃(大人になっても)戦車・軍艦等に興味を持ったことのある方は結構おられるのではないでしょうか。
このゲームは、そのような人が、簡単に戦車同士の戦いを楽しめる様に作られています。
Web上の週刊通信で紹介したように、「政治局員」「神々の黄昏シナリオ」のような遊び心もあります。
他にも、ユニット(駒)の裏が戦車のシルエットになっていて、そちらでもプレイできる様になっています。
「あのシルエットは!」みたいな感じでプレイするためのようです。
私は「ティーゲル」と「ケーニヒスティーゲル」の違いもわからない素人なので、シルエット面は使用したことがありません。
「初心者は使わないこと」という但し書きが書いてありますが、ここで言う初心者は「東部戦線」のではなく「戦車道」(笑)の、でしょう。
もちろん、表の戦車の能力値がかいてある方でプレイしても十分楽しめます。
「T−34」vs「四号戦車」など、数字を見ているだけでも良いものです。

 ある意味「キャラゲー」で戦車、独ソ戦に興味が無い人にはつまらないかもしれません。
しかしながら「キャラゲー」にありがちなやっつけ仕事ではなく、ゲームとしても十分楽しめる様に配慮された良心的なつくりになっています。
こういったユーザーのことを考えたゲームは、その成否にかかわらず、「ボードゲーム界」に貢献していると思います。

 「東部戦線」 / 黒田幸弘(作)
 エポック(発売) / 2人 / 1−3時間 
 金七の個人的評価:2(ゲームの出来は悪くないですが)

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週刊ボードゲーム通信 35号「SDガンダムGジェネレーション・デジボードミッション」 

 このゲームは1〜2人でプレイできるシミュレーションゲームです。
(1人プレイ時はコンピュータが手を指示してくるので、それに従って動かしていきます。)
 6x7のHEXマップを舞台に、ザクとかドムとかが活躍します。
面白いのはデジボードというもので、モビルスーツの位置や体力・攻撃力・防御力の数値が電子的に管理されています。
モビルスーツのフィギュアの裏っかわに突起があって、それをボードにつけるだけで、モビルスーツを認識します。
従来、攻撃表を用いてダイスを振っていた攻撃時の処理は、電子的に処理され液晶画面でその結果を見ることができます。

 基本セットのモビルスーツはジオンがジオング、ゲルググ、ドム、グフ、連邦がガンダム、ガンキャノン、ガンタンク、ジムの各4体と、
体力回復、攻撃力や移動力をパワーアップする特殊効果が使える基地ユニットがあります。
また、別売りのブースターセットは、A(ボール、ジムキャノン、ガンダムEZ−8、プロトタイプガンダム、フルアーマーガンダム)、
B(マゼラアタック、ビグザム、シャア専用ザクU、ギャン、ザクU)、
C(ガンダムGP01、パワードジム、ガンダムGP02A、ザメル、ドムトローペン)という構成になっています。
モビルスーツは自由に両軍に分けて戦うことができます。
使用するモビルスーツの登録時にリーダーユニットを決定し、そのモビルスーツが破壊されると負けです。
 各モビルスーツの移動力は基本的に1で、その動ける方向が決められています。
例えば、ドムは斜め方向にしか移動できず、ガンダムは周りのHEX全てに移動できます。
 地形は全HEX同じ地形です。宇宙、陸、海の3つがあり、5ターンごとにランダムに変化します(いいかげんすぎる…)。
各モビルスーツには得意地形が1つずつ設定されていて、それに合うと攻撃力が上がります。
 攻撃側は攻撃対象に味方のユニットが隣接していれば、支援効果を得て攻撃力が上がります。
防御側は防御ユニットに味方が隣接していれば支援効果が得られます。
 基地ユニットは移動できません。モビルスーツを隣接させると体力の回復ができます。
また、移動距離を2倍にするジャンプアイテムを3ターンに1回、攻撃力を2倍(!)にするパワーアイテムが5ターンに1回使えます。

 このゲームはHEX戦の入門というか、超簡易版といえます。
なにせ、通行不能のHEXもないし、敵は全て見えているし(ミノフスキー粒子下での有視界戦闘)、
スタックもなければ、地形効果も非常に限られたものなので、入門にもならないかもしれません。
特に得るところも無いような気もしますし、わざわざ買うほどかというと、どうでしょう。
しかし、この「デジボード」システムにはさらなる発展があるかもしれません。今後に注目、ですかね。

「SDガンダムGジェネレーション・デジボードミッション」/ホビージャパン(企画協力)
バンダイ(発売),2000
1-2人,単3乾電池3本(別売)
鱶(fuka)の個人的評価:2(特にプレイしたくない)
 
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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 34号「三国志演義」

 今回は、中国の三国時代をテーマにしたゲーム「三国志演義」を紹介します。
いわゆる「三国志」は日本で大人気ですが、ボードゲームとして市販されたものは「三国志演義」と「英雄三国志」しか知りません。
後者はホビージャパンから出ていますが、多分、より普及したのは前者です。
残念ながら共に絶版状態で、オークション等で入手するほかありません。

 「三国志演義」は3−9人用のボードゲームです。
プレイヤーは、76エリアに分けられた後漢の領土の支配権を巡って争います。
各エリアには価値をあらわすポイントがあり(最高は洛陽の4)、ゲーム終了時に支配しているプレイヤーの得点になります。
勝利のためにはより多くの領土が必要になる陣取りゲームです。
終了ターンは、ゲーム前かゲーム中に「全プレイヤーの合意」で決めるというアバウトなものです。
外部的制約(部屋を借りている時間)や仲間内の士気の低下(疲労・空腹等)によって終わることが多かった記憶があります(笑)。
 
 終了条件でもわかるように、このゲームは自由度が高くなっています。
史実に基づいたシナリオも用意されていますが、「全プレイヤーの合意」でもない限り歴史に近い展開にはなりません。
フリーセットアップで開始して、それぞれが独自の英雄を演じるほうが、このゲームの雰囲気にあった楽しいプレーになるでしょう。
ヒストリカルな展開を好まれる方は「英雄三国志」の方が優れています。

 三国志の華すなわちこのゲームの華である武将には、武勇・采配・知略・統治・忠誠の各能力があります。
数値の高いものを紹介します(変換できないものが多くて読みにくいのはご容赦下さい)。
武勇は合戦に先立つ一騎討ちで使用します。
6=呂布・関羽・張飛・趙雲・馬超・ガッカン 5=黄忠・王双・ホウ徳・キョウ維
采配は合戦中の修正で使用します。
6=諸葛亮・司馬イ 5=周ユ・陸遜・ホウ統・徐庶
知略は先攻後攻、策略カードの成否の判定で使用します。
8=諸葛亮 7=ホウ統 6=司馬イ・周ユ・陸遜・徐庶
統治は領国の国力回復で使用します
4=諸葛亮・ホウ統 3=魯粛
忠誠は裏切りの判定で使用します。
4=諸葛亮・関羽 −3=呂布・曹操 −4=董卓
能力の合計値がその武将を登用する際にコストとして必要で、優秀な武将を揃えるのは大変です。
合計値(あえて忠誠は含めません)
10=呂布・張遼・カク昭・関羽・趙雲・馬超・黄忠・呂蒙
13=曹操・周ユ・陸遜・徐庶 14=司馬イ・キョウ維 16=ホウ統 18=諸葛亮
こうしてみると、激しく偏っています(笑)。
明らかに、呉<魏<蜀となっていて、吉川英治「三国志」もしくは原書「三国志演義」の影響が強いようです。
誰を登用するかは、アットランダム、くじ引きの要領で全武将のプールから数人を引きます。
セットアップ時と人材登用フェイズの武将引きが、ゲーム中一番緊張して楽しい瞬間かもしれません。

 「三国志演義」は入手困難なゲームであるため、ルールの説明は行いません。
私(金七)としては、HPの週刊通信で短所を、こちらで長所を紹介するつもりなのですが、このゲームは逆になってしまいました。
残念ながら短所は明白です。ルールが大まかすぎるのです。
それがプレイの自由度を高めているのですが、反面、プレイバランスに大問題が生じています。
基本的に「何でもあり」なために、プレイヤー間の交渉が重要で、初対面の人とやるのはお勧めできません。
発売当時は大会などでプレイされていたようですが、参加者達の勇気に敬意を表します。
例えば「何所を攻めるか」という問題でも、混沌が盤上を支配しているので理論的な答えを出しにくく、「感情」で決める事になったりします(笑)。
カード、武将の引きも重要で、運の要素が強いことも付け加えておきます。

 結局このゲームは、仲間内で「三国志」をネタにして賑やかに遊ぶ為のパーティーゲームだったのでしょう。
「三国志」に興味のない人がやって面白いゲームとは思えません。
某PCゲームの人気を見ても、このテーマのゲームに対する需要は衰えていないようなので、さらに遊べる新しい「三国志」ボードゲームを期待します。

 "三国志演義" / 川北 翔(作)
 エポック(発売) / 1986 / 3−9人
* 拡張用にエキスパンションキットも出ています

金七の個人的評価:4(お世話になりました)
ゲームそのものの出来は2が妥当か

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 33号「ラー」1
 *分量が多いため分割して送信します。

 「ラー」は、3〜5人で競りをするゲームです。
プレイヤーは最初2から16までの数字の書かれた「太陽チップ」をそれぞれ所持しています(4、5人プレイだと3枚、3人プレイでは4枚)。
1の太陽チップはボードの中央に置かれています。
 プレイヤーは自分の番に、タイルを1枚引くか、Raを宣言するかのどちらかの行動を行います。タイルを引いた場合、引かれたタイルはボード上のプレイ列に置かれます。
Ra宣言の場合は、競りの始まりとなります。

 タイルにはRaタイル、神のタイル、ファラオのタイル、ナイル川のタイル、洪水のタイル、5種類の文明タイル、金のタイル、
8種類のモニュメント(建物)のタイル、災害タイルがあります。
 各タイルはプレイ列に8個までたまっていきます。競りは、Ra宣言をした人の左隣のプレイヤーから、太陽チップを出すか出さないかで行われていきます。
競りで最も大きな値をつけた人は、プレイ列にあるタイル全てを獲得します。競り落とせなかったプレイヤーの太陽チップは手元に戻ります。
競り落としたプレイヤーは、ボード真ん中にある太陽チップを獲得し、競り落としに使った太陽チップを、ボード真ん中に置きます(太陽チップの交換)。
交換によって得た新しい太陽チップは、次のラウンドになるまで使用できません。よって、あまり小さい数字の太陽チップで交換してしまうと、次のラウンドが辛くなります。

 ゲームは3ラウンドで構成されています。全プレイヤーが手持ちの太陽チップを使い切った時か、Raタイルが規定枚数以上引かれた場合にラウンドは終了します。
各ラウンドの終了時には、手持ちのタイルの得点計算を行います。各タイルにはそれぞれ異なる、得点効果があります。
 Raタイルだけはプレイ列にたまらずに、引かれた時にはRa宣言のように即座に競りへと移行します。
 神のタイルは自分の手番で、プレイ列にある好きなタイルを1枚取ることができます。この時は、それで手番終了です。
神のタイルは捨て札になります。また、使用せずに得点計算の時まで持っていれば,1枚2点となります。得点計算後に無くなってしまいます。
 ファラオのタイルは、得点計算時に最も多く持っていたプレイヤーに5点、最も少なかったプレイヤーはマイナス2点となります。ファラオのタイルは得点計算終了後も手元に残ります。
 ナイル川のタイルは1枚1点で計算されます。ただし最低1枚は洪水のタイルを持っていなければいけません。洪水のタイルが無い場合は1点も入らないのです。
洪水はそれ自身1点で計算されます。ナイル川のタイルは得点計算終了後も残りますが、洪水のタイルは無くなってしまいます。
 文明のタイルは持っていないと、マイナス5点です。3種類の異なるタイルを持っていれば5点、4種類だと10点、全5種類持っていれば15点が得られます。
得点計算終了後には文明タイルは無くなってしまいます(文明のはかなさが良く表れています)。
 金のタイルは3点獲得でき、得点計算後に無くなります。
 モニュメントは第3ラウンド終了時の得点計算にのみ有効です。6種類までは集めた種類数だけ得点が得られます。
例えば、5種類だと5点です。7種類からは得点が増え、7種類で10点、8種類だと15点になります。
それとは別に、おなじ種類のモニュメントを3つ持っていれば5点、4つだと10点、5つで15点の得点も得られます。
 災害のタイルは何種類かあり、獲得時に手持ちのタイルを1枚破壊してしまいます。
(続く)


週刊ボードゲーム通信 33号「ラー」2
 *分量が多いため分割して送信します。

(続き)
 ナイル川でこつこつ得点するか、第3ラウンドでの一発逆転にかけてモニュメントを集めまくるか、方針を決めてタイルを獲得しなければいけません。
引きのランダム性もあるので、そこがなかなか難しいところ。
また、手持ちの太陽チップを使い切ってしまうと、敵プレイヤーがタイルを引き放題になってしまうので要注意です。
 各タイルの特色を把握して、全体の流れの中で、どのタイル(と、交換する太陽チップ)にどれだけの価値をつけていくのかが重要で、このゲームの面白いところです。
最初に見たときは、それぞれのタイルの得点効果について戸惑うかもしれませんが、すぐに慣れることでしょう。
ゲーマーの素質のある人なら1回目のゲーム中にも。初心者であっても、2回目のゲームでは十分に理解可能でしょう。
 また、太陽チップによる1回だけの競りなので、競りゲームにありがちな不毛な展開はあまりありません。
太陽チップの数値が小さい時にも、早めのラー宣言戦術(自分が取るには安くてお買い得だが、敵にとっては高値づかみ状態)などのかけひきがあり、
やればやるほど奥深く面白いです。
これはまぎれもなく、当代NO1のボードゲームのうちの一つに数えられる名ゲームです。
 
"RA"(ラー)/REINER KNIZIA(作)
ALEA(発売), 1999, 3-5人, 45-60分
鱶(fuka)の個人的評価:6(めっちゃ好き)

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 32号「コンタクトゲーム」

コンタクトゲームはラベンスバーガー製のゲームです。流行のタイルつなげゲームです。
タイルには鉄道・道路・川が描かれており、それらがちゃんとつながるようにタイルを置かなければなりません。
始めは10枚のタイルが配られます。自分の手番で置けなければ、山からタイルを取らなければなりません。
手持ちタイルをなくしたプレーヤーの勝ちです
ルールはそれだけで非常にシンプルです。
 タイルの絵はすべて異なっています。電車・車・動物・人間などいろいろなものが描かれていてかわいいです。
タイルを置くことを楽しむゲームです。そして街ができていくことを楽しむゲームです
凝った絵のおかげでこのゲームで作られる街は息づいています。
プレイが終了した後、完成した街を一服して眺めてしまいます。
比較するならば、カルカソンヌやエントデッカーで作られる世界は数倍ドライです。
 基本的に子供向けのゲームです。あまり頭は使う必要がありません。
しかし勝つことは難しいです。鉄道・道路・川と3種類もつなげるものがあるため、タイルを置くことが難しいのです。
調子が悪くなると手持ちのタイルがどんどんたまっていきます。勝者なしで終わることもしばしばです。
ゲームバランスはよくないのですが、ダメなゲームではありません。
難しいゲームをやった後にしたいゲームです。
タイルを置いていくという動作とかわいい絵が、右脳を刺激して脳のバランスを回復してくれるのでしょうか。
つなげるものを鉄道と川などの2種類にしたバージョンを作れば、ゲームとしてもっと魅力的なものになると思います。

 このゲームはドイツ製ですが、私が購入したものは箱が日本製で日本語のルールがついていました。
しかしこのパターンは、原文のルール(ドイツ語・英語)がついていない点が問題です。
日本語訳が正しいのかどうかが不安です。特にこのゲームはバランスが悪いためよけいにです。
ルールを少し変えれば面白くなりそうなゲームなので、本当に日本語訳のルールが間違っているかもしれません。
 最近タイルゲームが結構出ていますが、私が知っている範囲内ではコンタクトゲームのタイルが最も絵に力が入っています。
絵はボードゲームを楽しくする重要な要素です。
このゲームのようにタイルにムダな絵が描かれるゲームが、今後出てきて評価されるのではないでしょうか。

 ところで、このゲームは10年ほど前にトイザラスで購入しました。
当時はトイザラスが日本に上陸した時期で、運良く私の地元にもやって来たのです。
海外製のボードゲームを期待してさっそく行ったのですが、ほとんどなくてがっかりしました。
外国製のボードゲームはラベンスバーガーのものが数点だけでした。
その中で唯一めずらしかったものがこのコンタクトゲームでした。
今もトイザラスにはボードゲームはほとんど置いていませんね。
アメリカ製のあやしいボードゲームを入荷してくれれば、ゲーマーにとってのトイザラスの価値は上がるんですがね。


"コンタクトゲーム"
ラベンスバーガー(発売), 2-10人, 30分
対象年齢:5才〜99才, 2400円
横の個人的評価:2(特にプレイしたくない) 

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 31号「戦争と平和」

 みなさん、こんにちは。今回は「戦争と平和」、3〜4人でプレイできるボードゲームです。
プレイヤーは王国の領主となり、大聖堂を建設していきます。
そして、それへの貢献度によりポイントを貯めていき、最も多くのポイントを貯めた人が勝者となります。
 各ラウンドは、春夏秋冬の4つの季節で構成されています。
各プレイヤーには盾(騎士)、杯(富)、ハンマー(労働者)、麦(農家)の4種類のパワーカードが配られます。
 <春>手持ちのパワーカードを使用して競りを行い、次の「国王の助言者」を決定します。
そのラウンドの運命カード(状況)により、手持ちカードの価値が変わります。
例えば運命カードが「戦争」の時には、盾は4ポイント、杯は3、ハンマーは2、麦は1となります。
「暴動」の時には、ハンマーが4、盾が3、麦が2、杯は1です。他に「徴税」、「飢餓」があります。
 大聖堂の建設が行われる場合(運命カードにより決まる)は、国王の助言者は貢献ポイントを得、さらに労働者を雇っていれば追加でポイントが得られます。
 <夏>労働者の雇用、農家の設置といった、建設的行動ができるのと、他国の騎士への買収、攻撃ができます。
労働者の雇用はハンマーのパワーカード、農家の設置は麦のパワーカードを捨てます。騎士の買収には杯を出します。
出されたプレイヤーは、盾のカードを捨てなければならず、なければ相手に手持ちカードを全て見せなければなりません。
攻撃を選択する場合は、盾のカードを使用します。相手に盾のカードがあれば、2枚とも捨て札になり、攻撃は終了です。
相手に盾がない場合は、農家か労働者の家を一つ破壊することができます。
 これらの行動は、カードの続く限り何回でも行えます。
<秋>収入を得ます。農家2つで1枚のパワーカードが入手できます。
<冬>次のラウンドの運命カードが決められます。
 大体以上のような流れですが、もう少し細かいルールがあって、ちょっと複雑なゲームという印象があります。
運命カードによってパワーカードの価値が変わるのは面白いですが、季節によってさらに使い方があって、なかなか把握しにくいです。
 このゲーム少し難点がありまして、夏の攻撃が非常に強力です。
ここで農家をつぶされてしまうと、秋にパワーカードを補充することができず、辛い展開を強いられます。かなりひどい目にあっているプレイヤーには「国王の慈悲」により、強いプレイヤーからパワーカードを奪えますが、よっぽどひどい状況でなければならないため、
あまり有効に機能していなかったように思います。
 非常に攻撃的なゲームで、他プレイヤーを攻撃しなければいけません。
その際も、弱い(手札の少ない)プレイヤーを攻撃するのが、ゲーム的には有効なので、弱者はますます困窮していき、
それによって強者はますます有利な立場になってしまいます。攻撃側、守備側共に、かなりの心的負担を感じていました。
攻撃側の厭戦気分により“平和”が訪れましたが、基本的に平和な状態は無さそうです。
 最後にコンポーネントについて。円形のボードはともかく、建てていく大聖堂の木製パーツが形・色共に不評でした。

"KRIEG UND FRIEDEN"(戦争と平和)/Gerard Mulder(作)
TM-SPIELE(発売), 1999, 3-4人, 60-90分
鱶(fuka)の個人的評価:1(絶対やらん) 

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週刊ボードゲーム通信 30号「魔女の踊り」

 「魔女の踊り」は3から6人まででプレイできるボードゲームです。ボード中央に円状のマスがあり、魔女のコマはそこをぐるぐる回っていきます。
コマは円錐形をしていて、その底に各プレイヤーの色が塗っています。3人プレイではこのコマをそれぞれ、4個づつ持ちます。
 各人の手番ではダイスをひとつ振り、出た目の数だけどの魔女でも、時計回りに動かすことができます。止まった先に他の魔女がいたら、先にいた魔女は7マス戻らなければいけません。戻った先に他の魔女がいる時は、さらに追加で7マス戻ります。
また、6の目の時は、ひとつだけ魔女の色を確認することができます。
 円状のマスからは、外へと抜け出す通路(マス)が色別に、各色1本だけ設けられています。
そこから、自分の魔女のコマを全て脱出させたプレイヤーが勝利します。(魔女は集会を抜けて、早く家に帰りたがっているので。)
違う色の出口から出てしまうと、また円周のマスに戻されます。自分の色を確実に把握して、人の妨害もしつつ、プレイします。
ゴール間近の魔女が14マスも戻された日には大変です。
 スタート時点では、どのコマが何色かわかるのですが、だんだん入り乱れてきて、人にもよりますがさっぱりわからなくなってきます。
この、「人にもよる」ところがくせもので、めっちゃ記憶力のいい人がいたりすると、その人がぼろ勝ちすることでしょう。
うーむ、このゲームは面白いのか?
なんとなくファミリーorパーティー向けではありそうですが、ちょっと奥深い戦術とは遠そうなので、個人的な評価は低いです。
あんまり何回も繰り返してプレイするものではなさそうです。
 ダイスを振ってこまを動かすのは「アンダーカバー」みたいですが、こちらは心理戦とは対極にある、記憶戦(?)ゲームです。

"HEXENTANZ"(「魔女の踊り」)/Bjorn Holle(作)
FX SCHMID(発売), 1988, 3-6人
Spiel des Jahres AUFGENOMMEN IN DIE AUSWAHLLISTE 1989 (ドイツゲーム大賞の関連の賞ですかね?)
鱶(fuka)の個人的評価:2(特にプレイしたくない)


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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 29号「トロントで見つけた裁判ゲーム"Judge For Yourself"」

"Judge For Yourself"は実際に行われた判例に基づいて、2つのチームに分かれてポイントを競うゲームです。
このゲームは、カナダのオンタリオ州はトロントへ観光に行った時に、街の中心部にある巨大モール「イートン・センター」内のゲーム屋さんで見つけました。
イートン・センターは観光ブックにも載っていますので、場所はすぐに見つけることができます。
このゲームはトロントにあるIrwin社で製作されたこともあり、箱と説明書は、英語とフランス語の両方で書いてあります。
しかし、判例カードは残念ながら英語でしか記述されていません。
 ゲームの箱を空けると、裁判の内容と判例結果がそれぞれ両面に記された500枚のカードと、
スコアシートとダイスが1つ(1〜3まで2つづつ書かれた6面ダイス)だけ入っており、ものすごくシンプルです。
 まず始めに、2つのチームで遊びますので、3人以上でプレイする時は2つのチームになるように分かれて下さい。
そして、先攻と後攻を決めるために各チームの代表者がダイスを振り、より大きな数字を出したチームが先攻になります(先攻をAチーム、後攻をBチームと呼びます)。
ここからラウンドが始まります。
まずAチームはサイコロを振り、このラウンドで稼ぐことの出来るポイント数を決定します。
次にAチームとBチームは裁判の内容を読んで理解します。
最後に、Aチームだけが判例結果を読みます。つ
まり、Aチームは裁判の内容と結果を知っていますが、Bチームは裁判の内容だけを知っており、結果は知らない状態になります。
 先程ダイスで決定したポイントを得るための条件ですが、Bチームが実際の判例結果と同じ判断を下した場合はBチームにポイントが入ります。
Bチームが実際とは異なった判例結果を下した場合はAチームにポイントが入ります。
このポイントを巡って、両チームで裁判に関して議論を繰り広げることになります。
Aチームとしては裁判の結果を知っているわけですから、Bチームが誤った判例結果を下すよう導くプレイが必要になります。
Bチームとしても、正しい判例結果を見つけるためにAチームの反応を伺うことになります。
 Bチームが判例結果を下した後は、AチームもしくはBチームにポイントが入り、次のラウンドが始まります。
次のラウンドではAチームとBチームの立場が逆転します。これを繰り返して、規定の15ポイントに早く達成したチームが勝ちとなります。
 このゲームは残念ながらまだプレイしたことはありませんが、他のゲームと比較すると討論や議論の部分でかなり自由に振舞うことができそうです。
昔の映画(リメイクもされましたが)にありました「12人の怒れる男たち」にでてくる陪審員の気分を味わうことができると信じています。

"Judge For Yourself" / Irwin(発売), 1999,
2人以上の成人プレイヤー(人数が3人以上の場合は、2チームに分かれる)
Kenの個人的評価:?(遊んでみないと…)

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週刊ボードゲーム通信 28号「スリル」

 今回は、ちょっと変わり種のボードゲーム、「スリル」です。どんなゲームかと言いますとゲームセンターにあるコイン落としゲームみたいです。
立体ボード上には赤色の大メダル、黄色の中メダル、緑色の小メダルの3種類のメダルがたくさん乗せられています。
そして、それを押すプッシュスライド(押し盤)が設置されています。
 最初にそれぞれのプレイヤーはチップを10枚づつもらいます。親は3種類のメダルのうちの1個を選びます。
そして全プレイヤーで、”プッシュスライドを押さなくていい権利”を手持ちのチップを握って入札します。
握ったお金は、入札の結果に関わらず場に支払うことになります。握った金額が最も少なかった人がプッシュマンとなります。
プッシュマンは、プッシュスライドとボード上のメダルの間に親が選んだメダルを置き、プッシュスライドをそろそろと押していきます。
この時に、赤のメダルを落としたらチップ3枚、黄色ならチップ2枚、緑ならチップ1枚を罰金として払わなければなりません。
その後プッシュマンは親となり、次回ボード上に乗せるメダルを1個選びます。落ちたメダルの中から選ぶことができます。
このような手順を繰り返して、コインがマイナス(罰金を支払えない状態)になった人から脱落し、最後まで残った人が勝ちです。
 シンプルな作りで非常に分かりやすいゲームです。その名の通り”スリル”を味わうゲームですが、いくぶん戦略的にも思えます。
罰金3の赤メダルがいかにも落ちそうな時は、入札でも3枚までは払えるでしょう。
いかにして罰金を払わないように考えて、コインでの入札にするか、またはスライドゾーンへのメダル配置を行うかを考えなければなりません。
 プッシュスライドの押し方には、わずかながらアクション要素があります。
このアクション要素について納得がいかないゲーマーというのは結構いそうな気がします。私自身も別に好きというわけでもないですが。
しかしながら、よくよく考えてみると、自分の腕の良さ、悪さを見越した上で、戦略を立てられるので、ダイスの目の出が良い、悪いというのよりは、ある意味公平なのでは?
 残念ながらこのゲーム、爽快感に欠けています。
どっちかというと、”プッシュスライドを押す権利”を入札して、たくさんメダル落としたら賞金チップがもらえる、方が盛り上がるのではないでしょうか。
 作者の1人が、あの、Wolfgang Kramer…なんですよね。ゲーム大賞作者の妙な作品ですが、3人でいったいどう分担制作したのか、気になるところです。

"THRILL"(「スリル」)/J.Grunau, W.Kramer, H.Raggan(作)
F.X.Schmid(発売), 1996
2-6人,30分
鱶(fuka)の個人的評価:2(特にプレイしたくない)   

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週刊ボードゲーム通信 27号「クク」

 ククは、44枚のカードのうちから配られた1枚のカードを使って、相手のプレイヤーと数字の大きさを競うカードゲームです。
初めての人でもすぐに覚えることのできるルールの手軽さと、2〜15人(最適人数は6〜9人)まで遊べる幅の広さを考えると、
ククは修学旅行やパーティー・飲みの後には持ってこいのアイテムと言えるでしょう。
 このゲームは、16世紀に北イタリアで発祥したとされています。
カードやルールは、各国によって様々ありますが、日本語版は「カンビオ」をベースにアレンジしたルールが用いられています。
 1回の勝負(これをラウンドと呼びます)は、各プレイヤーにカードが配られ、プレイヤー間でカードの交換を行った後でカードの数字を競い合うまでとなります。
勝負は、親が自分の右隣からカードを各プレイヤーに1枚づつ配り、親が「では、どうぞ。」と言うところから始まります。
そして、親の右隣のプレイヤーにカードを交換する権利が発生します。
この権利は、自分の持つカードの数字があまりにも小さくて、他のプレイヤーと勝負すれば負けてしまう!と思った場合に、
「チェンジ!」と言って自分の右隣のプレイヤーが持っているカードと交換できます。
自分の持つカードの数字が大きい、もしくは交換するつもりがなければ「ノーチェンジ!」と言います。
「チェンジ」もしくは「ノーチェンジ」を宣言した後は、右隣のプレイヤーに同じ権利がやってきます。
このように、各プレイヤーが宣言をしていきますと、親までこの権利が回ってきます。
親は右隣のプレイヤーとカードを交換する代わりに、山場のカードと交換することになります。
そして、カードの交換が終われば、全てのプレイヤーはカードを公開し、この中で一番数字の小さいカードを持つプレイヤーが失格となります。
 数字の小さいカードを持っているからといって、右隣の人とカードをチェンジした結果、さらに小さい数字のカードが回ってくることがあり、
「こりゃ、いかーん」といった状態に陥ることがよくあります。(笑)
さらに、ククはカードの数字の大きさだけで競うだけでなく、特殊効果を持つカードの登場により、ゲームがより面白くなります。それぞれ、
「クク」: このカードを持っているプレイヤーは、勝負中いつでも「クク!」と宣言して勝負を中断し、
その時点でプレイヤーが持っているカードで勝負をさせることができる。
「人間」:チェンジを挑んできたプレイヤーが失格にさせる。この場合、チェンジは成立しない。
「馬」「家」:チェンジを挑んできた場合、「パス」といって、さらに右隣のプレイヤーと交換させる。
「猫」:チェンジを挑んできた場合、交換しようとしていたカードを一番初めに持っていたプレイヤーが失格となる。
小さい数字をチェンジすると、それを受け取ったプレイヤーに次々と交換されてしまうため、猫カードによって失格させられることがよくある。
「道化」:チェンジが成立したときに、このカードを持っているプレイヤーは失格になる。一番カードの数字は小さいが、効果はかなり強力。

 ククは、カードのほかにチップを使います。ゲームが始まる前に、全てのプレイヤーは20〜25枚のチップを受け取ります。
ゲームを早く終わらせたい場合は、始めに配るチップの枚数を少なくして下さい。
そして、肝心のゲームの勝利条件ですが、プレイヤーの誰かがチップを全て失った時、最も多くのチップを持っているプレイヤーが勝者になります。

 第1ラウンドが始まる前に、場所代として全プレイヤーはチップを1枚場に支払います。
そして、ラウンドで失格となったプレイヤーは1枚場に支払います。
第2、第3ラウンドでは、失格となったプレイヤーはそれぞれ2枚、3枚払います。
第1〜3ラウンドで失格となったプレイヤーは次のラウンドへ参加することができますが、第4ラウンド以降からは勝ち抜き戦となります。
つまり、第4ラウンド以降で失格となったプレイヤーは場にチップを払う必要はありませんが、代わりにゲームから抜けなければなりません。
こうして勝負を繰り返して残った1人の勝者が、場に支払われたコインを全て手にすることができます。この後、再び第1ラウンドへ戻ります。

 実際にゲームをプレイしてみると、じっくりと戦略を立てるよりも、プレイヤーの「チェンジ!」「ノーチェンジ!」のかけ声が飛び交い、ほとんど野生の勘で答えを出すようになります。
修学旅行であれば、チップの代わりにハイチュー(今は違うのかな?)を使うのも良いでしょう。お腹がすけば自分のチップを食べることもありにして(笑)。

"クク(CUCUU)" NIFTY SERVE FGAME発売/メビウス販売 2-15人(6-9人程度が最適)/45分
このゲームとは別に、チップが必要です。
Kenの個人的評価:3(誘われればプレイする)

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週刊ボードゲーム通信 26号 「アドバンス・ツー・ボードウォーク」

 このゲームはあまり知られていませんが、良ゲームです。アメリカ製のゲームですが、ドイツゲームに似ています。
1990年に日本語版(ボードはアメリカ製)がトミーから発売されました。
 今からすると、この手のゲームが日本語版として普通の玩具屋で発売されていたのはすごいことです。
しかしこのゲームもあまり売れなかったでしょう。
1990年前後は日本でボードゲームが流行りそうになった時期です。
国産カードゲームが多数生産され、海外(アメリカ製・ドイツ製)のボードゲームが輸入され、ボードゲームを本格的に紹介する本も出版されました。
しかし、波には乗れませんでした。そして「ボードゲーム市場」はほぼ消滅しました。
日本のボードゲーム界(ゲーマー)はチャンスをつかみ損ねたのです。
なぜボードゲームは世間的に廃れてしまったのでしょうか。この問題はあまり論じられていませんので少し考えてみます。
 マーケッティング的な分析では、粗悪なカードゲームが乱造されたためとか、テーブルトークRPGに食われたためとか、テレビゲームに負けたとか言われます。
しかしそれは核心ではありません。
ボードゲームを流行らすことができなかった最も大きな原因は、「面白いゲームがなかった」ことにつきます。
正確には「面白いボードゲームが知られていなかった」です。
面白いボードゲームは少なからずありました。
しかしどれが面白いボードゲームなのかが分からない状況だったのです。
 なぜそういう状況だったのでしょうか。
それはボードゲーム界に「これが面白いボードゲームだ」と言う意見がほとんどなかったためです。
ボードゲームは、購入してルールを読んでプレイして、と大変なシロモノです。
ボードゲームを知るためには多くの時間が必要です。ゆえに人から面白いボードゲームを教えてもらう必要があるホビーなのです。
しかしそういった情報が当時ほとんどありませんでした。
ボードゲームの雑誌はありましたが評価という点ではあまり役に立ちませんでした(ボードゲームメーカーの出版物であったので仕方なかったのかもしれませんが)。
ボードゲームを評価する同人誌も全然出ていませんでした。
ショップの店員もよいボードゲームを薦めてくれませんでした(たぶん)。
そもそもボードゲームをよくしている人でさえ、面白いボードゲームをあまり知らなかったのです。
 一般的に、ホビーというものはマニアの先導によって発展します。
マニアはそのホビーにつぎ込む時間を豊富に持っているため、たくさんのものを試すことができます。その結果、よいものが分かるのです。
一般の人にはあまり時間がないため、どれがよいかいちいち試していられません。
だからマニアがよいと言うものを受け入れて消費するのです。
マニアは一般の人に対してよいものを教える立場なのです。
確かに個人の好みというものはあります。
しかしバイアスがかかった意見でも参考にはなります。また、できの良い作品、悪い作品という客観的な評価も一定は可能です。
 今から考えると、当時のボードゲームマニアはおとなし過ぎました。
それが「ボードゲーム市場」の形成に至らなかった原因です。
しかし最近では、インターネットのおかげでボードゲームに関する情報が飛躍的に多くなりました。
ボードゲームマニアはどんどん発言しています。この調子でいくとボードゲームは流行るはずです。
(続く)

(続き)
 前置きはこれまでにして、「アドバンス・ツー・ボードウォーク」の紹介をします。
これは、モノポリーシリーズのボードゲームです。
モノポリーシリーズには、モノポリーの地名や世界を変えた亜流(モノポリーポケモン版など)と、
モノポリーの世界を借りた別ゲーム(フリーパーキングなど)があります。
「アドバンス・ツー・ボードウォーク」は後者です。モノポリーの最も高価な土地であるボードウォークをテーマにしたゲームです。
プレーヤーの役割はモノポリーと似ていてホテルの建設を競うことですが、方法は異なります。
 ボードは4つの地域に分かれていて、それぞれに5つのホテル建設場所があります。
ホテル建設場所は、100万ドル〜800万ドルの値段がつけられています。
プレーヤーは毎ラウンド、普通の6面体ダイス2つと特別の6面体ダイス(ダイ)1つをふります。普通の6面体ダイス2つの合計が使える金額で、特別の6面体ダイスで出た地域にホテルを建設することができます。
ダイスによっては、任意の地域に建設できたり、建設する代わりにカードを引きます。
1つの土地には複数のホテルを建設できます(ホテルを上に積んでいきます)。
もっとも多くのホテルを建てているプレーヤーがその土地を所有します。
同数であれば先に建設したプレーヤーのものです。カードプレーもあり、ホテルを追加で建設したり破壊したりといったことができます。
 ホテルのストックは4人プレーの場合は14個です。
1人のプレーヤーのストックがなくなった後、1周した時点で(かつその時点でもそのプレーヤーのストックが残っていなければ)ゲームは終了します。土地の価値の合計が高い順で勝敗が決まります。
 ホテルのストックが少ないため、値段の低い土地にホテルを建てる余裕はあまりありません。
また、一度建設した自分のホテルを戻すためにはカードを使う必要があり難しいです。
他プレーヤーの支配地域に自分の死んだホテルがあるとつらいです。ホテルのストックをうまくマネージメントするゲームです。
 毎ラウンドの行動はサイコロの結果によるため、あまり戦略は立てられません。
細かいプレイをする人が少しずつリソース(手持ちホテルストックの価値・手持ちカードなど)を高めていき勝ちそうなゲームです。
4人プレーだと1位で走りきって勝つことは難しいです。リーチをかけた後、3人のプレーヤーからの攻撃に耐えねばならないためです。
この時の緊張感はなかなか楽しいです。 

 "Advance to Boardwalk"(アドバンス・ツー・ボードウォーク)/
 Charles Phillips 作
(Parker Brothers発売/1988, <日本語版>TOMY発売/1990) ,
 2‐4人,30分

 横の個人的評価:4(積極的にプレイする)

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週刊ボードゲーム通信 25号
 「オリエントエクスプレス」は、オランダのジャンボ社から発売されたボードゲームです。
オランダ製のゲームについてはよく知りませんが、コンポーネントやルールを見るとほとんどドイツゲーです。
しかし特異なゲームです。その点を中心に紹介します。
 ロンドンからイスタンブールまでヨーロッパを横断する「オリエント急行」で起こった殺人事件を私立探偵(プレーヤー)が解決するストーリーです。
プレーヤー達が乗りこんだ時点ですでに殺人事件が起こっています。
プレーヤーは、乗務員や乗客からの証言を集め現場検証をし犯人を推理します。
事件の真相(犯人)が分かったプレーヤーは、シートに記入してゲームを離脱します。
オリエント急行がイスタンブールに到着した時点でゲームは終了で、事件の真相が明らかになります。
推理が正しかったプレーヤーの勝ちです。複数いれば、早い時点で真相を解明したプレーヤーが勝ちとなります。
 列車内を移動して証拠を集めるという展開は「クルー」に似ています。
しかし「オリエントエクスプレス」は数段難しいゲームです。ルールは容易なのですが、推理が困難なのです。
 このゲームには10個のシナリオが用意されています。
シナリオごとに、乗客の証言や証拠などがカードに印刷されています。その情報を総合して事件の真相を解明していきます。
犯人が誰かということを当てるだけでは十分でなく、なぜその犯人なのか、どういう状況で殺人が起こったのかも説明しなければなりません。
難しいことに容疑者は8人(伯爵、男爵婦人、バレリーナ、大佐、賭博師、女優、外交官、占い師)いますが、犯人は1人とは限りません。
 ゲームの展開はゲームブックに似ています(ゲームブックをボードゲームにしたようなゲームです)。
プレーヤー同士のゲーム上のやりとりはありません。
しかし「なるほど」とか「分からん」とか言いながらゲームは進むので、ソロプレーの感覚はありません。
また、カードを読み上げるのでにぎやかです(1人のプレーヤーだけが読める場合もあります)。
ところでこのようにカードを読み上げるという行為は、ゲームのプラス要素(楽しくする要素)ではないでしょうか。
 先にも言ったようにこれは難しいゲームです。全ての情報が分かっても、真相を当てることは難しいです。
戦法としては、闇雲に情報を集めるよりは2枚あるヒントカードを早いうちに見てしまった方がよいかもしれません(それでも難しいですが)。
 これは推理小説が好きな人向けのゲームです。または、そういう人を1人でも交えてプレーする方がよいです。
推理小説のコンテキストを知らない人ばかりだと、だれも真相が分からないで終わることがあります。
 このゲームは1986年発売のものです。
日本語訳されており、カードは日本語で作られています(はさみで切らないといけませんが)。その辺はかなり頑張っています。
しかし値段が7千円ほどして高かったです。それなのに10回しかプレーできません。
値段とゲームの特異さのせいで、あまり売れなかったでしょう(安売りされていて買った人が多いのでは?)。
 費用を計算すると、1シナリオが700円で、5人でプレーするなら1人150円程度/1時間となります。
そう考えると安いですね。
10回以上プレーするボードゲームがそんなにないことを思うと、潔いゲームです。
私自身持ち主ですが、まだ半分しかしていません。いつかはシナリオ10までしたいものです。
 雰囲気はとてもよく出ておりいい感じです(10年ほど前に出版されたボードゲームのムック(?)でも評価がされていました)。
ボードゲームとはプレイによって世界を構築していくものです。
このゲームも形式としてはそうなのですが、すでに構築された世界へ向かって進んでいくという点が特異です。
 
"オリエントエクスプレス" Orient Express (Tatort Nachtexpress)
(ケナーパーカー/JUMBO発売),J.Smets(作)
1986, 2-6人, 60分

横の個人的評価:3(誘われたらするのですが、自分自身推理が苦手なので・・)


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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 24号「パックス ブリタニカ」

 「パックス ブリタニカ」(以後PB)は、戦略級マルチプレイヤーズゲームです。
プレイヤーは、英・仏・独・米・日・露・伊の各列強となり、帝国主義全盛時における植民地拡大競争を繰り広げます。
この手のゲームにしては珍しく個別のシナリオは存在せず、1880−1916年のキャンペーンのみプレイできます。
ただし、1916年以前でも世界大戦が勃発すると、そこでゲームは終了します。
ゲーム中、軍拡や紛争によって緊張が高まっていき(ポイントで表現される)、世界大戦勃発の引き金を直接引いたプレイヤーには、勝利条件上重大なペナルティーがあります。
これによりむやみに軍事力に訴えることに歯止めがかかっています。
あくまでも目標は、世界中で自国の影響力を増大させることにあります(植民地拡大によって)。
 もちろん軍隊(陸海の2種)は主要な要素であり、列強同士の戦争もあります(一気に緊張が高まりますが)。
しかしながら勝利ポイント(ゲーム終了時に最も多いプレイヤーの勝利)は、植民地の収入から、
軍隊の創設・維持のコストを引いたものから計算されるので、デザイナーの意図は明白だと思います。
収入の大きい植民地は列強の争奪戦の的になりやすく、基本的には交渉で解決していくのですが、
決裂したときには戦争になるので、力の背景があったほうが交渉を有利に進められはするでしょう。
この辺の、勝利ポイントの蓄積と、ゲーム上の軍事力のバランスの取り方が、プレイヤーの腕の見せ所です。

 「PB」は、どちらかというとゲーム性よりも歴史性?に重きを置いているので、シミュレーションゲーム的側面があります。
開始時の各国の状況には違いがあり、ゲームの名前(英国による平和)のとおり、英国の国力は他列強を圧倒しています。
勝利条件には、各国の国力に応じて修正があるので、英国が勝利に最も近いわけではありませんが、ゲームの主導権は英国にあります。
「PB」では、他の戦略級マルチで時々みられる、序盤は勢力の衝突が無く各国のソロプレイになる展開にはなりにくく、
序盤から各地で利害の衝突が起こるので、英国以外のプレイヤーはある程度の協調・同盟が必要になるでしょう。
無論英国も「栄光ある孤立」はできるだけ避け、他列強の分裂を図ることになります。
 その他にも、歴史的事件は、イベントや勝利条件としてゲーム中で表現されています。
また、植民地の価値や位置関係、各列強の勢力圏や位置関係によって、自然に歴史の大きな流れが再現されるようになっていて、
優れたシミュレーションゲームだということができます。

 「PB」は美しい地図(ソフトマップ)もあり、なかなか雰囲気のあるプレイが楽しめます。
残念なのは、高いシミュレーション性のために、ゲーム性が犠牲にされていて、気軽に楽しめるゲームではないことです。
しかしながら、キャンペーンしか用意されてないように、それは最初から意図された事であり、
プレイヤーも「PB」がどういったゲームか承知の上で参加したほうがよいでしょう。
私自身積極的にプレイしようとは思いませんが、このゲームの出来が悪いということでは決してありません。
デザイナーの壮大な意図と優れた手法に、敬意を表したいと思います。

"Pax Britannica" / Greg Costikyan 作
HJ/VG(発売),1988,4−7人,1日−
金七の個人的評価:2

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 23号「クアークス」

 ツクダホビーは、1982年頃にイオン社製のボードゲームを日本語版で3つ出版しました。
「ボーダーランド」と「コスミックエンカウンター」と「クアークス」です。非常にしぶいです。
当時、ツクダが出すボードゲームと言えば、アニメゲームと戦術級ゲームでした。
それらはゲームとして不完全な(面白くない)ものが多かったのです。
そのツクダがイオン社のボードゲームをライセンス販売したことには違和感があります。
しかし、あまり時間も与えられず業務命令でアニメゲームを量産させられるスタッフはこう言いたかったのでしょう。
「自分たちはよいボードゲームを作ることはできないが、よいボードゲームはどういうものなのかは分かっている」と。
 結局、イオン社のゲームはあまり売れなかったようです。
「ボーダーランド」と「コスミックエンカウンター」は1000円位で安売りされていました。
「クアークス」は安売りされていませんでしたが、たぶん生産数が少なかったからでしょう。
 これらのゲームは3つとも同じデザイナー(チーム)が作りました。
ボードゲーム界のレベルを上げようとする挑戦が感じられます。
どのゲームも新しいアイデアが盛り込まれています。非常に個性的です。
ルールは、簡単でプレイしやすいです。特に交渉や同盟といったボードゲームの重要な要素をフューチャしています(「クアークス」は違うが)。
コンポーネント的にも(いまだに)目新しいです(「ボードダーランド」は今となってはスタンダードなタイプのゲームですが)。
 彼らはエキスパンションセットを出すことを好んでいます。「コスミックエンカウンター」のエキスパンションは8つも出ています。
「クアークス」にも2つのエキスパンションが出ています。
作ったゲームに対する思い入れの強さが表れています。
 ところで彼らはアバロンヒルから出版された「デューン」もデザインしています。
このボードゲームもなかなか個性的です。エキスパンションもいくつか発売されました。 
 なお、イオン社は他にも個性的なボードゲームを発行していました。
しかしアメリカでもあまり売れなかったようです。すでにイオン社は解散しています。

さて、「クアークス」は一言で言うと、自然淘汰のゲームです。
変化する環境に適応していく生物と植物を作るゲームです。基本的にカードゲームです。
生物は、3枚のカード(頭・体・尻尾)を合わせて作ります(植物も同様)。
カードにはアルファベットで名前が印刷されており、完成した生物には名前がつきます。
 それぞれのカード(生物)は環境ごとに点数が決まっています。
この点数は明らかになっていません。点数計算時に表を見てはじめて分かります。
よって、カードの絵からその時々の環境にどの程度適応できているかを推定する必要があります。
ゲームをやりこめば点数が分かってきます。この点はボードゲームとしてはめずらしいです。
 よいアイデアのゲームです。カードの絵を見ていても楽しそうです。
しかし、ゲームとしては今一つです。
結局のところ点数の高そうなカードを出していくだけのゲームです。
また生物が進化していく雰囲気もあまり感じられません。
生物の部分を構成するカードが節操なく変わっていくからではないかと思います。
 エキスパンションを含めればもっと楽しいゲームになるのかもしれませんが・・

"Quirks"(「クアークス」)/ Bill Eberle,Jack Kittredge,Peter Olatka(作)
EON Products,Inc.(ツクダホビー)(発売), 1980
1-4人,45分

横内の個人的評価:2(とくにプレイしたくはない― 人に売った)

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 22号「コスミック エンカウンター」

 今週は、なぜか「ボーダーランド」より先に再販された「コスミック エンカウンター」(以降「CE」)を紹介します。
「ボーダーランド」は確かに素晴らしいゲームですが、完成されたゲームなので、最近のドイツゲームと似た面があり(先週号参照)、
商品としては、独特の雰囲気がある「CE」が優先されたのではないでしょうか。
「CE」のコンポーネントには、大分改善の余地がありましたし(笑)。

 既に述べましたとおり、「CE」の特徴として、独特の雰囲気があげられます。
ゲームに人類は登場しませんし、科学的考証や、背景となる世界の設定といったSF要素とは無縁です(失礼)。
プレイヤーが「ミュータント族」や「マインド族」となって、世界を作っていくことになります。
一応の目安として勝利条件が設定されていますが、あまり意識しなくてもいいでしょう。
世界征服よりも、世界を作る方がすごいことだと思いませんか?
あえていうならば、そのプレイを自分の色に染めたプレイヤーの勝利かな(笑)。
「エンパス族」(攻撃を交渉に変える)などはその好例だと思います。

 ルールの詳細は、ボードゲーム通信社のHPを参照してください。
アバウトなルールやゲームバランスからも、自由なプレイが許されていることがわかると思います。
昔「タクティクス」誌の連載で、門野氏が、「CE」の戦闘においてダイスを振ることを提案されていました。
ダイスを振るのが大好きな私は、10面体ダイスを使用していました。パワーゲームになってしまいますが(笑)。
ルールの改変も思うがままです。「みんなで楽しむこと」が目的ですから、そう堅苦しく考える必要は無いでしょう。

 「ボーダーランド」(再販希望)も「CE」も優れたゲームです。
どちらがいいかは、人・時間・場所によってその都度違うでしょう。
特色の異なるゲームが増えて、選択肢が沢山増えるといいですね。

"COSMIC ENCOUNTER" (コスミック エンカウンター)
EON/ツクダホビー , 1984 , 2−4人 , 30−60分

金七の個人的評価:3(プレイ内容によって変わります) 

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 21号「ボーダーランド」

 ボーダーランドは、資源開発ゲームのさきがけです。
 このゲームの世界は次の通りです(ルールブックより引用)。
これは、ある大陸に点在して生活する民族の姿のゲームです。彼らは農業、牧畜業、鉱業を営み平和に暮らしていました。
しかし時がたつにつれ、各民族の間で交易が始まり、それと共に船、兵器、そして都市が開発され、戦争が始まります。
 プレーヤーは、領土内で生産される資源(木、鉄、石炭、金、馬)を合体させることで、モノ(船、兵器、都市)を開発することができます。
都市を3つ作ったプレーヤーが、文明を開花させたこととなり優勝します。
 このゲームの個性的な点は、フェイズに関わるランダム性です。
 交易(交換)と戦争のフェイズは毎ターン必ずありますが、生産と移動のフェイズは毎ターンあるとは限りません。
サイコロをふって1から4の目であればそのフェイズがあるのですが、6の目ならありません。
5の目なら多数決で決まります。プレイ中のランダムな要素はこれだけです。
戦争の結果は、数値の比較のみによって決まります。
 このルールのおかげで、資源開発ゲームの大切な要素が伴ったゲームとなっています。
それは、1、戦略性 2、プレーヤー間の交渉 3、戦争のしやすさです。
それぞれを解説します。
 1、戦略性−戦争はボード上の戦力(数値)によってのみ決まるので段取りが重要です。
また、生産や移動のフェイズがなかった場合を想定した作戦(防御)を考えておく必要があります。
戦略的に考える意味が多いにあります。
 2、プレーヤー間の交渉−このゲームの交渉は2種類あります。
モノの交換と戦争時の協力です。
モノの交換はモノポリーのようにやるほどメリットがあります。
戦争時の協力は容易にでき、また得るメリットが大きいです。逆に協力なしには生き残れません。
このゲームほど外交の重要なゲームはあまりないでしょう。
 3、戦争のしやすさ−常に戦争をしかけられる状況です。
また戦争に勝つことのメリットが非常に大きいため、戦争を仕掛けないことの方が不自然です。
領土は毎ターン取ったり取られたりして、区画整理されていくものです。

 以上のような事柄は10年以上昔、安田氏が雑誌の連載で論じていたと記憶しています。
安田氏は、このゲーム(とEON社)に高い評価を与えていました。
私も同感です。ボーダーランドは現在でも名作です。
カタンよりも優れていると思います。
 ただし、複数の種類の移動ルールは省略すべきだと思います(つまり人力移動のみとする)。そうしないと、考える要素が多くなり十分に考えきれません。隙が発生しやすいゲームとなってしまいます(上級者は別でしょうが)。
 アメリカ産のゲームですが、とてもドイツゲーム的です。再販すべきゲームです(コスミックエンカウンターよりも)。
再販されれば、研究記事を書きたいと思います。
 
"BORDERLANDS"(「ボーダーランド」)
EON Products,Inc.(ツクダホビー)(発売), 1982
2-4人,60−120分

横内の個人的評価:5(大好き−2セット持っている)

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 20号「操り人形」 

 「操り人形」は、ちょっとボリュームのあるカードゲームです。
 各プレイヤーは、暗殺者、泥棒、魔法使い、国王、伝導師、商人、建築家、傭兵という8つのキャラクターを操ります。
操るキャラクターは、毎ラウンド選択することになります。
例えば4人プレイの場合は、最初にランダムに1枚のキャラクターカードを裏向き、2枚のキャラクターカードを表向きに場に置きます。
この3枚のキャラクターは、このラウンドには登場しません。
前回国王だったプレイヤー(or スタートプレイヤー)は、残る5人のキャラクターのうちから、自分の操るキャラクターを選択し、左隣のプレイヤーに渡します。
誰が何を選んだのか、そして、最初と最後の余っているキャラクターカードが何のキャラクターであるのか、色々推理していきます。
このようにして、全員が操るキャラクターを決定したら、次のフェイズに移ります。
 次は、前述のキャラクター順に、プレイされます。
 自分の手番には、特殊能力の使用と、建物の建築を行います。
 キャラクターはそれぞれ特殊能力を持っていて、お金が余分に得られたり(商人)、キャラクターを暗殺して手番をとばさせたり(暗殺者)、
キャラクターの所持金を奪えたり(盗賊)、建物を壊すことができたり(傭兵)、傭兵から建物を守れたり(伝道師)、
プレイヤーのカードを奪うことができたり(魔法使い)、複数の建物を一度に建てられたり(建築家)、雑用係だったり(国王)します。
国王は、プレイするキャラクターを、順番どおりにコールするのが仕事です。
それと、次回のキャラクター選択で、最初に選べます。
 各プレイヤーは建物カードを手に持っていて、それを手持ち金を使って建設していきます。
建物には1から6までの建設コストがあり、それとは別に色があります。
赤色は傭兵、青色は伝道師、黄色は国王、緑色は商人に、それぞれ臨時の収入をもたらします。
紫色の場合は、特殊な能力のある建物で、カードを余分に引けたり、カードを捨ててお金を得られたりします。
これら5色の建物を、ゲーム終了時に揃えていると、ボーナスポイントが得られます。
 それぞれの手番が終了したら、再びキャラクターの選択を行います。
 ゲームは、誰かが8つの建物を揃えたラウンドを、最後まで行って、終了となります。
建物の建設コストの合計と、ボーナスポイントをプラスしたものが勝利ポイントになります。
最もポイントが大きかった人が勝利します。
 カードゲームというとカードの引きがすべての、運次第のゲームという印象が強いですが、このゲームに関しては戦略性十分。
カードゲームも戦略的でありうるということを証明しているように思います。
 ちなみに、3人プレイだと暗殺者がいなくなってしまうので、カードの引き次第の面が強くなってしまいます。
やはり、暗殺者、泥棒の前門の狼、後門の虎コンビがいないといけません。
 また、7人プレイだと人数が多すぎて、順番の回ってくるのが遅くなり、プレイ時間もちょっと長くなりすぎるように思います。
4、5人が最適でしょう。

"Ohne Furcht und Adel"(「操り人形」)/Bruno Faidutti(作)
HANS IM GLUCK(発売), 2000
3-7人,60分,カードゲーム
2000年ドイツゲーム大賞ノミネート
鱶(fuka)の個人的評価:3.5(誘われればプレイする&時々は誘う)

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週刊ボードゲーム通信 19号「ピット」
「ピット」は多人数用のカードゲームです。
多人数でやるほど盛りあがります(実際にやかましくなります)。この盛りあがり(やかましさ)が目玉です。
ルールはむちゃくちゃ簡単です。
手持ちカードを同じ種類にそろえるために、おのおのが自由にカードを交換していきます。
ゲーム時間(順番・フェイズなど)は存在しておらず、そういう意味でリアルタイムに進行していきます。
一番に手札を全て同じ種類の穀物にしたプレイヤーがその穀物を買い占めたことなり、1ラウンドを勝利します。
そのプレイヤーは、集めた穀物の点数を得ることができます(小麦は高く、ライ麦は安くなっています)。
ラウンドをくりかえして、合計点数を競います。
 交換するときには交換希望のカード枚数(1〜4)しか言うことができないルールがあります(何が欲しいかは言えません)。
 それから、雄牛カードと熊カードが1枚づつ存在していて、アクセントとなっています。
これらのカードはオールマイティとババとなっています。
 先に言ったとおり、「ピット」の最もユニークところはゲーム時間がないことです。
プレイヤー同士は勝手にカードを交換し合います。規定されたゲーム時間がないため、現実時間(スピード)が勝敗を左右します。
その結果、市場の現実感が出ています。大きな声を出して主張しないと、他のプレイヤーに気づいてもらえません。
 カードをそろえたプレーヤーはホテルの受付にあるベルをリンとならします。
そのベルの音とともに静寂が訪れてなんともよい、というレビューを読んだことがあります。
このベルはデラックスピットには入っていますが、普通のピットには入っていません。
私はベルを使ったピットをしたことがありませんが、いつかしてみたいものです(目覚し時計などで代用しても今一つでした)。
音という要素は、もしかしたら今後のボードゲームに導入されるものかもしれません。
 ピットはパーティゲームとしては、かなりできがよいです。
しかし日本ではあまりプレイされていません。キャラモノのピットを売り出してもあまり売れないように思います。
たぶん日本人受けしないのでしょう。日本人が好きなカードゲームは、やはりUNOなのでしょう(分かりますが、なぜなのでしょう?)。

 "PIT"(ピット)/(Parker Brothers 発売),
  1904?, 3‐8人, 20分
 横の個人的評価:3(誘われればプレイする)

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 18号「T-レックス」

 今回紹介するのは、"T-Rex"(「T−レックス」)というカードゲーム。
恐竜が描かれたカードで行う、トリックテイキングゲームです。
 どうもこのゲームあと一歩ほど足りないゲームなのです。
一番このゲームでがっかりしたのが、カードに描かれている恐竜の絵柄が6種類しかないこと。
そのうちのひとつは「カメレオンザウルス」という架空の恐竜(これは好みの問題ではある)。
 恐竜のゲームというと、当然のことながら、数多くの種類の恐竜が一枚一枚カードに描かれていると期待するじゃあないですか(私だけ?)。
しかしながら、出演しているのは、ブロントサウルス(ブラキオサウルス?…ちょっと絵がぞんざいなため、判断しかねます)、
ティラノサウルス、トリケラトプス、ステゴサウルス、始祖鳥(らしきもの)。
あとは数字を変えているだけ。
 ディノニクス、アンキロサウルス、アロサウルス、石頭恐竜、などなど、ちょっと考えただけでも、出して欲しい恐竜は、たくさんいます。
この時点で、恐竜をテーマにした事の必然性が感じられず、非常に残念です。
それやったら、別にトランプでええんちゃうん?という感じです。
 ここのところは雰囲気の問題と言ってしまえばそれまでですけど、でも重要な点ではないでしょうか。
 トリックテイキングとしてはどうでしょうか。
少々変わっているのは、各々が山札を持っている点、各ラウンドが1周では終了せずに、流星カードが出されるまで続く点などです。
各人の山札は、ラウンドの終了ごとに減っていき、滅びていく恐竜たちを表しています。
この辺のルールも、ちょっと分かりにくい感があります。
 恐竜マニア、トリックテイキング好きには少し物足りないゲームでした。

"T-Rex"(「T−レックス」)/Hanno & Wilfried Kuhn(作)
HANS IM GLUCK(発売), 1999
3-5人,45分,カードゲーム
鱶(fuka)の個人的評価:2(特にプレイしたくない) 

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週刊ボードゲーム通信 17号 「キングハムレット」
 「キングハムレット」はあまり知られていないボードゲームです。
 構築しようとしている世界は、シェークスピアの物語『ハムレット』の相続争いです。
先代の王が相続人を指名せずに死亡してしまったため、王子たちは相続権を争います。
王国の秘密を見つけ出した王子が次の王となることができます。
プレイヤーはそれぞれ王子となり、秘密を求めてデンマークの王城を捜索します。
物語を紡ぐことに成功しているボードゲームです。
 プレイヤーは8人までが参加可能です。人数が多いほど面白くなるゲームです。
たいていのゲームでは、参加人数が多くなるほど時間がかかるとか運の要素が強くなるなどの副作用が起こり面白さが減少します。
しかしこのゲームはそうなりません。
大人数でプレイができて、なおかつ面白いことが、このゲームの特徴です。
そういうボードゲームは稀有ですので、この観点で解説していきます。

 1人のプレイヤーが動かすコマは、王子と騎士(部下)の2つだけです。
どちらかのコマをサイコロの目の数進ませます。参加人数が多くてもすぐに自分の番がまわってきます。
 王城には、KINGHAMLETの10種類の文字が分散して隠されています。
どの場所にどの文字があるかは行ってみないと分かりません。
10種類の文字のありかを知ったプレーヤーの勝ちです。
文字のコマは20個から30個程度あり、たくさん存在する文字や1つだけ存在する貴重な文字があります。
 プレイヤーも始めから文字を1つ持っています。
他のプレイヤーの文字は、決闘して勝てば知ることができます。決闘の方法はダイス目勝負です。
負けた方はスタートの場所へ戻るというペナルティーがあります。
1つしか存在しない文字を持っていれば有利なことは有利なのですが、そのことがばれたら全てのプレーヤーに狙われるためかなり不利になります。
プレイヤーも文字を持っていることが、多人数プレイを面白くさせています。
 ボードの四隅の塔には文字が複数あるため、行かなければならない場所です。
しかしそこへ行くには螺旋階段を昇らなければならないので渋滞します。
相手をどかすためには、決闘して勝たなければなりません。
あえて階段の上に留まり、決闘に勝ちつづけることも痛快です(ダイスの目が同じなら防御側が勝つため防御側有利です)。
参加プレーヤーが多いと決闘が起こりやすくなり楽しいです(決闘は他のプレイヤーにとっても見ていて楽しいものです)。
 階段を昇らずに近道することも可能です。
しかし、暗殺される危険があります。
各プレーヤーは1人の暗殺者を雇ってどこかの近道に配備しているからです。
暗殺されたコマは除去されるので、近道を通ることはかなりのリスクです(王子のコマが除去されればゲームオーバー)。
しかし遅れているプレイヤーはリスクを冒さざるを得ません。
この近道のルールによって、プレイヤーが多いほどゲームを面白くさせることになっています。

 キングハムレットは二昔前のアメリカ産のゲームです。
しかし、色のついた木のコマ、渋いボード、気がきいていてかつ簡単なルール、プレイバランスのよさ、
中世デンマークの王城といったシチュエーション、大きくて困る箱など、まさに最近のドイツゲーです。

キングハムレット KING HAMLET / J.Anderson (作)
(Gamevenings Company発売),1980
2-8人, 30-60分
横の個人的評価:4()

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週刊ボードゲーム通信 16号 「アーデルフィアフリフテッド(貴族の務め)」

 今回は、最近再販されたドイツのボードゲーム「アーデルフィアフリフテッド(貴族の務め)」についてです。
 1990年にドイツ年間ゲーム大賞とドイツゲーム賞を獲得していますが、大したことのないゲームです。
目新しい題材と、よいコンポーネントが賞を取った理由でしょうか。
 プレーヤーは貴族となり骨董品の収集にいそしみます。骨董品の展示会を開くことで点数を獲得します。点数の高いプレーヤーが、貴族の務めを果たしたことになり優勝します。
 基本的には、競りを行い骨董品を買うゲームです。競りには参加せず、別の行動を取ることも可能です。
別の行動としては、展示会を開催する・泥棒する・泥棒を捕まえるといったものがあります。
行動の選択肢が多いため、競りのゲームという感覚は薄れています。
 プレーヤーは同時に行動を決定するのですが、他のプレーヤーの行動はあまり読めないため、駆け引きもあまり生じません。
どうしても最終的には適当に決めるプレイとなります。
基本的に、他プレーヤーがしていない行動をとると得をします。
よって「アーデルフィアフリフテッド」は、人と違うことをするゲームです。
そのため、もっとも価値が高い骨董品を獲得できるラウンドであっても、競りはあまり盛りあがりません。
高価なものが安い値段で手に入ることは時々起こります。

 あまり考えても仕方がないのは、人がしていないことをすると得をするパターンのゲームの特徴ではないでしょうか。
まあ、ドイツの貴族なったつもりで優雅にプレーするのがよいのでしょう。

 ところで骨董品カードは全部で30枚位あり、作成された時期が古いものほど価値が高くなっています。日本産の「能面」と「狂言マスク」もあります。能面は能面らしいのですが、狂言マスクはサルの剥製です。
これらの骨董品カードは、必要以上に大きくて豪華な感じがします。これも演出なのでしょう。
本当はアクションカードの方をもう少し大きくした方がプレーしやすいのですが・・。


"ADEL VERPFLICHTET"(「貴族の務め」)/(FX SCHMID発売), 1990
2-5人,60分
1990年のドイツゲーム大賞・ドイツゲーム賞
横の個人的評価:2(とくにプレイしたくはない)

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週刊ボードゲーム通信 15号 「スコットランドヤード」

 逃亡する側のミスターXが主役のゲームです。その他の探偵側のプレーヤー達は脇役です。
スコットランドヤードは優れた「体験ゲー」です。
コンポーネントが充実しており、特異な雰囲気を盛り上げます。
ミスターXを担当したゲームの初心者は、きっとボードゲームの楽しさが分かるでしょう。
 このゲームの欠点は、探偵側プレーヤーが退屈しうる点です。
小人数でのプレイだと複数の探偵を動かすことになるので緩和されますが、1人1探偵の場合つまらなさを感じることがあります。
ミスターXのいる場所から遠く離れたところにいる探偵プレーヤーは、無意味な存在です。
リーダーシップをとって仕切る探偵プレーヤーがいる場合も、他プレーヤーはそれに従って動くコマとなり(リーダーの指示はたいてい的確)、面白くありません。
 これは体験ゲーなのですから、皆が楽しい体験ができるように努めなくてはいけません。
例えば、探偵プレーヤーはそんなに他プレーヤーにアドバイスをしない方がよいです。
ミスターXはできれば、暇そうなプレーヤーがいる方面へ行くようなサービスをするべきです。
また、追い詰められていないのに探偵の隣へ移動するようなリスクの高い行動は控えるべきです(それがリスクに値する効果的なものでも)。
体験ゲーをつきつめると、ロールプレイングゲーム(絶対的な勝ち負けがないゲーム)に行きつくのでしょう。
 スコットランドヤードには「昔のドイツゲーム」の要素が多くあります。
昔のドイツゲームの特徴とは、コンポーネントが優れている、箱が大きい、ルールがシンプル、ルールが個性的、時間があまりかからない、
プレイバランスがよい、ゲームがあまり深くない、たいして面白くない、一言で言うと子供向け。
これらの特徴は、当時のアメリカ産のボードゲームと比較してのものです。
アメリカのゲームはドイツのゲームとは対照的でした。
昔(10年以上前?)、我々はアメリカのゲームをよくプレイしていました。
それはやはり、面白かったからです。
ドイツゲームには面白さという重要な要素が欠けていたのです。
しかし近年のドイツゲーには突破したものが現れてきました。
面白さが加わったのです。そりゃゲーマーは買います。
 スコットランドヤードは、1983年のドイツゲーム大賞を獲得した「昔のドイツゲーム」です。
アイデアは秀逸で、作品としてのできはピカ一です。
でもやはり、ゲームはあまり深くありません。
そしてゲームを楽しいものにするためには、先に挙げたようなプレイ配慮が必要です(それは勝負には逆に作用しうる)。
この2点が、私があまり積極的にプレイしたいとは思わない理由です。
2人でプレイすれば問題はなくなるでしょう。
しかし、なにもなにもスコットランドヤードを2人でしなくても、という感じです。
 とにかくポピュラーなゲームなので(一般向け雑誌でも紹介されそう)、ゲーマーなら一般教養として体験しておいた方がよいです。
 ところで、スコットランドヤードのような1対多の構造のゲームは他に現われてきませんね。なぜでしょう・・

Scotland yard 「スコットランドヤード」/(Ravensburger発売),1983
2-6人, 60分
1983年のドイツゲーム大賞
横の個人的評価:2(とくにプレイしたくはない)

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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 14号 「ファンタスミ」

 「ファンタスミ」は2人用の簡単なボードゲームです。
 手順(交互にコマを進める)や環境(正方形の桝目、立体のコマ)は、チェスに似ています(コマの種類が相手にわからない点は軍人将棋と同じです)。
しかし、チェスと比べてファンタスミはボードゲームです。
その1番の要素は、勝利条件が複数あることです。
 勝利条件は3つです。
1、相手の善のおばけゴマを全て取る。
2、自分の悪のおばけゴマを全て相手に取らせる。
3、相手の陣地の奥から自分のおばけゴマを脱出させる。
1と2によってゲームが終了することが普通です。
この2種類の勝利条件があるため、読みあいのゲームとなります。
(ところで、1と2のどちらが多いかの統計を取ると研究になりそうです。)
3による終了はあまりありませんが、気の利いている点です。
この勝利条件のおかげで、戦略性が増しています。
おばけゴマは1マスずつしか進めないので、脱出口に防御用おばけを配置しておく必要がでてきます。
ゲームに慣れてくると相手のコマを不用意に取らなくなりますが、この勝利条件があるため、取らざるを得ない状況が起こります。

 相手によってプレー方針が変わる点が、このゲームの特徴です。
スタンダードな戦術はありますが、有効とは限りません。
相手の癖に応じて対応していく必要があります。
逆に言うと、相手に自分の癖を見極められてはいけません。
だから、相手の読みを撹乱するために、ある程度の頻度で適当な行動を織り交ぜることが必要となります。
これがこのゲームの弱点です。
多くのボードゲームでは、(勝つためには)適当さが要求されます。
合理的な行動は相手に読まれるからです。
また、ときには確率に逆らった勘によるプレーも楽しいし、そういうのが経験則としてうまくいきがちです。
低い頻度の適当さが許容される(要求される)ゲームは優れています。
他方、高い頻度の適当さが許容される(=適当な行動を取っても勝てる)ゲームは、あまり頭を使わないですむので、子供用と言えます。
 ファンタスミは、あまり考えずテンポよくプレイしていってもよい(勝てる)ゲームです。
ベースとなる確固たる立脚点がないので、プレイにおいては考えるのではなく、単に迷うゲームです。
そのへんが子供向きです。
 では大人にとっての楽しみ方は何でしょう。
それは、新しい人と初めてプレイするとき、または久しぶりにプレイするときのみ可能です。
相手の癖を見切り、ぎゃふんと言わせることです。
(なお、チェスが我々にとってはボードゲームではないのは、ランダムな要素がないことだけではなく、適当さがまったく許容されないからではないでしょうか。)

 ゲームショップの売上ランキングによると、「ファンタスミ」は売れています。
誰にでもでき、見栄えもかわいく、値段もそんなに高くないからでしょう。
  
"FANTASMI"(「ファンタスミ」)/ Alex Randolph作
(Venice Conection発売), 1994, 2人, 15分
 横の個人的評価:3(誘われればプレイする)

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 発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 13号 「サーガランド」

サーガランドは童話の国のゲームです。
プレーヤーは、王様が所望する品物を森の中で探索します。
探索する品物は、星の金貨、お菓子の家のクッキー、長靴など、アンデルセン童話やグリム童話などに出てくるアイテムです。
13個のアイテムが森に散らばっています。
このようにドイツのトラディショナルな文化が題材にされたドイツゲーは意外とありませんね。
ボードやカードはファンタジーさをよく出していて楽しそうです。

森を探索して、品物がある場所へ行きます。
見つけた後は城へ行って、王様に品物がある場所を教えます。
品物は持ち歩けないので、場所を覚えておかねばなりません。
メモはできません。
すごろくと神経衰弱の要素を混ぜたゲームです。
王様が欲しているアイテム(王様は常に1つのアイテムを求めています)を3つ教えたプレーヤーが勝ちます。
(ところで、プラスチック製の樹のコマの底にアイテムのコマがちゃんとくっつかないというゲームコンポーネント上の欠陥があります。
ボンドでつければよいのですが、これだけは残念です。
新しいバージョンでは解消されているのでしょうか?)

基本的に子供向けのゲームです。
しかし、大人にもできる子供向けゲームです。
大人にとっては、品物の場所を他プレーヤの行動などから勘で当てたり、6分の1の確率で使える魔法をうまく使うことで満足するゲームなのだと思います。
他プレーヤーを邪魔し合う要素もあり楽しいです。
魔法のおかげでテンポよいゲームとなっています。
1982年度ドイツゲーム大賞をとっている結構古いゲームです。

"Sagaland"(「サーガランド」)/(ラベンスバーガー発売), 1982
 アレックス・ランドルフ/作,3-6人,30分


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  発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 12号 「アンダーカバー」

 みなさんこんにちは。いつもより遅くなりましたが(すいません、すっかり忘れていました)、週刊ボードゲーム通信を、お届けします。
 今回は、1986年ドイツゲーム大賞受賞の"Heimlich & Co."(「アンダーカバー」)です。
 「アンダーカバー」は2人から7人でプレイできる比較的簡単な、ゲームです。
ちなみにundercoverとは「秘密情報収集に従事している」という形容詞です。
その名の通りプレイヤーはそれぞれスパイに扮します。
 ボード上はすごろくのように、ますめが設けられています。
ますめには1から10の番号の館、廃屋、教会が環状に並んでいます。スパイのコマは7色あり、どの色が誰のコマかは自分のものしか分かりません。
また、2つのコマがダミーとしてボード上にあります。
 各プレイヤーは自分の番にはダイスを一つ振り、出た目の数だけ、どの色のコマでも動かすことができます。
スパイは、ボード上を時計回りに、進みます。
出た目を分割して、複数のコマを動かすこともできます。
 ボード上にはまた、金庫コマがあり、そのますでコマが止まれば(誰がどのコマでも止めてよい)、
各色のスパイは、その時いた館の数字のポイントがもらえます。
教会にいるスパイは0点、廃屋の場合はマイナス3点が課せられます。
ポイント分だけボード上の得点計算カウンターを動かします。
 廃屋に送り込まれることはなんとしても避けたいので、自分の色は絶対にばれてはいけません。
さりげなく自分のポイントを高くして、しかし9点、10点を取ると、怪しまれるので、それよりちょっと低いところあたりで得点するのがポイントでしょうか。
万が一、自分のスパイが廃屋に送られても、人のスパイを助けるかのように演じましょう。
 得点計算後は、金庫を他の場所に移動します。そして同様のプレイを繰り返します。
誰かが29点を越えれば推理タイムがあり、誰が何色かを推理して、秘密裏にメモしておきます。
誰かが42点のゴールに入った後は、それぞれの推理を公開し、当たっているものは、得点が5点プラスされます。
 やはりここは得点でトップを取って、さらに誰からも当てられず、推理を全て的中させる、パーフェクト勝利を目指したいところです。
 さてさて、3人くらいならともかく、人数が増えると非常に推理ができにくくなり、あまりにあてずっぽうになってしまう感があります。
 色々演じて、わいわいと、誰が何色のコマやー、とか言い合うのが、楽しいゲームです。
自分のスパイでもないのに、廃屋に送られたのを見て、ギョッとしてみたり…あんまりやりすぎると、そのスパイの本当の持ち主にばれてしまいますが。
こういうゲームは、きっと、初対面の人と遊ぶよりは、よく知っている人たちで遊んだ方が、楽しそうです。
ルールは非常にわかりやすいので、ゲーム初心者の人でもオーケーです。
 それにしてもなんてのどかなゲームなんでしょう。
昔のゲームらしいシンプルさがあります。
ちょうど10年後、1996年のドイツゲーム大賞は「エルグランデ」、作者は同じくW.Kramerなわけですが、それと比べると、いかにも隔世の感があります。

"Heimlich & Co."(アンダーカバー)/Wolfgang Kramer(作)
Ravensburger(発売),1986
2-7人,20-40分
1986年ドイツゲーム大賞受賞



週刊ボードゲーム通信 11号 「モノポリー ワールドカップ フランス98エディション」

 これは、サッカーのワールドカップを記念してリニューアルされたモノポリーです。
ルールはモノポリーと同じです。
しかし、カードとボードの一部が変更されています。
チャンスカードと共同基金カードは、以下の通り変更されています。
<新しいカード>
・地中海通りへ進む
・10ドル支払うかチャンスカードを引く
・50ドル受け取る
・50ドル払う
・20ドル払う
・ペンシルバニア鉄道へ進む(倍払いなし)
<変更されたカード>
・各プレーヤーから10ドル受け取る(50ドルから変更)
・50ドル払う(45ドルから変更)
<なくなったカード>
・各プレーヤーに50ドル払う
・電力、水道へ進む
・次の鉄道へ進む
・リーディング鉄道へ進む
<共同基金からチャンスになったカード>
・家の修理
・150ドル払う
・100ドル受け取る

 カードの変更による影響はあまりありません。効果が少しだけ穏やかになっています。2枚の家の修理がチャンスに含まれるようになったことは、注意点でしょうか。
 ボードは1ヶ所変更されています。所得税が一律200ドルとなっています。15%を計算する必要はなくなりました。

 コンポ−ネントが変更されていまるのは、別バージョンモノポリーのお決まりです。
 まずサイコロが12面体になっています。
サッカーボールを意識してのもので、一瞬ドキッとしますが、数字は1から6までしかふられていません。
プレイヤーのコマは、サッカーに関連しています。トロフィー・ホイッスル・ボール・ゴール・ハンバーガーなどです。
トロフィーのコマだけが金色なのは、きっと前回の勝者が選択するためにでしょう。
土地は、国(チーム)で表されています。ワールドカップの強いチーム順に値段が決まっています。
最も高いブルーの土地(ボードウォーク、パークプレース)は、ブラジル・ドイツです。
残念ながら、日本は出てきません。
土地に建設する建物は、観客席とスタジアムです。
また、箱の内側にはサッカー場が印刷されています。この中でサイコロをふることでサッカーの雰囲気が醸し出されます。
チャンスカードと共同基金カードは、HOMEとAWAYという名称になっています。

 ワールドカップのモノポリーというのは、状況がよく分かりませんが、コンポーネントが凝っているので「まあいいか」と思わせられます。ボードゲームというのは、概してそんなものなのかもしれません。
 最近、新しいモノポリーとして、ポケモン版やスターウォーズ版なども出ています。
そのなかでも、このワールドカップ版は遊び心が結構発揮され、工夫されている方です。
 ところで次回の日本でのワールドカップのバージョンも発売されるのでしょうか。たぶん発売されないでしょうね。

"MOMOPOLY WORLD CUP FRANCE 98 EDITION"(「モノポリー ワールドカップフランス98エディション」)/(Hasbro発売), 1998
4-6人,60分


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                   発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 10.5号 「Buffy the vampire slayer」  

 今回は原作付きのゲーム、"Buffy the vampire slayer"です。
「バッフィ ザ・バンパイア・キラー」("BUFFY THE VAMPIRE SLAYER",1993)という映画があり、現在は、スカパーのFOXチャンネルで、TVシリーズを放映中です。
この辺の情報は、"Blader's Buffy the Vampire Slayer Page" http://homes.acmecity.com/buffy/vampire/100
に詳しくのっています。早川FT文庫から、小説も出ています。
ちなみに映画のほうはビデオで見ましたが、あんまり面白くなかったです。
それと、バフィーというのは、主人公のバンパイア・スレイヤーの名前です。
 肝心のゲームの方ですが、英語の説明書を読む限り、かなりルールに不備があり、この場合のルールはどないやねん、と思うことが少なくありません。
そこは、適当に解釈して遊びました。
 ボード上には四角の環状にますめが並んでいます。
キャラクターは人間側5人と、バンパイア側3人です。
キャラクターを表すコマは8色あり、プレイヤーは色のカードとキャラクターカードを受け取ります。
プレイヤーのいないコマもボード上に配置されます。
最初は、何色のコマがどのキャラクターであるのかは、自分のものしか分からない状況にあります。
 自分の番にはさいころをふって、出た目の数だけ、どのコマでも動かすことができます。
キャラクターコマが移動するマスには、”高校”(昼間は戦闘不可能)、”図書館”(人間に+1、バフィーは+2)といった、特殊な地形効果のあるマスがいくつかあります。
同じマスに2つ以上のコマがあるときは、チャレンジができます。
チャレンジされたプレイヤー(担当プレイヤーのいない、山札へのチャレンジも可能)は色のカードを、その人にだけ見せ、
そのマスにいるコマの色と一致したときは、キャラクターカードも見せなければなりません。その後、戦闘を選択することができます。
戦闘の場合は地形効果(墓場はバンパイア有利など)、時間効果(昼間は人間が有利)により、勝敗を決します。
また、味方のキャラクターが加勢すれば、そのパワーを上乗せすることができます。
主人公のバフィーと、バンパイアマスターはかなり強いパワーを持っているので、うまく効果を使い、味方の力を加えなければ勝てないでしょう。
 負けた人はゲームオーバーとなり、どちらかの側が全滅したら終了します。
プレイ時間は40分くらいでしょうか。
あと、フェイトカードという、特殊な効果のあるカードもあり、戦闘で有利に働いたり、瞬間移動できたりします。
 自分の正体がばれないように立ち回り、うまく味方を集めて戦う、ようなゲームだと思います。
・・・どうにも歯切れが悪いのは、ルールに書いていないことがあって、チャレンジなどでよく分からないところがあったので。
正体の確認ができないまま、戦闘をした場合、人間同士で同士討ちになったりするのか、など。
 キャラクターごとの能力の差が、かなり大きく、バフィーが昼8、夜6のパワー、
バンパイア・マスターは昼6、夜8のパワーに比べて、人間側のコーデリアは昼夜ともに1で、
こんなキャラクターの担当になった日には、ちょっと難しいかなあと思います。
なんせ、戦闘に負けたらゲームオーバーですし。
 隠密行動で、味方を集めながらという点に、面白さの片鱗の一部を感じないことも無い、というくらいのゲームです。

"Buffy the vampire slayer"
Susan Prescot Games(発売), 2000
2-8人
鱶(fuka)の個人的評価:2(特にプレイしたくない)

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                   発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 10号「Buffy the vampire slayer」

 さて今回は"Buffy the vampire slayer"です。
ネットで検索したりして得た情報によると、「バッフィ ザ・バンパイア・キラー」("BUFFY THE VAMPIRE SLAYER",1993)という映画があり、
現在はTVシリーズを放映中とのこと。
スカパーのFOXチャンネルで見られるようです。
この辺の情報は、"Blader's Buffy the Vampire Slayer Page"
( http://homes.acmecity.com/buffy/vampire/100 )
に詳しくのっています。
海外ドラマファンは要チェックです。
ちなみに映画のほうはビデオで見ましたが、あんまり面白くなかったです。
それと、Buffyというのは主人公のバンパイア・スレイヤーの名前です(私はバフィーと呼んでいる)。
 さてさて、ゲームの方ですが、ボード上には四角の環状にますめが並んでいます。
キャラクターは人間側5人と、バンパイア側3人です。
キャラクターを表すコマは8色あり、プレイヤーは色のカードとキャラクターカードを受け取ります。
プレイヤーのいないコマもボード上に配置されます。
最初は、何色のコマがどのキャラクターであるのかは自分のコマしか分からない状況にあります。
 自分の番にはさいころをふって、出た目の数だけ、どのコマでも動かすことができます。
同じマスに2つ以上のコマがあるときは、チャレンジができます。
チャレンジされたプレイヤー(or 担当プレイヤーのいない山札)は色のカードを、その人にだけ見せて、
そのマスにいるコマの色と一致したときは、キャラクターカードも見せなければなりません。
そして、その後、戦闘を選択することができます。
戦闘の場合は地形効果(墓場はバンパイア有利など)、時間効果(昼間は人間が有利)により、勝敗を決します。
負けた人はゲームオーバーとなり、どちらかの側が全滅したら終了します。
プレイ時間は40分くらいでしょうか。
あと、フェイトカードという、特殊な効果のあるカードもあり、戦闘で有利に働いたり、瞬間移動できたりします。
 自分の正体がばれないように立ち回り、うまく味方を集めて戦う、ようなゲームだと思います。
・・・どうにも歯切れが悪いのは、ルールに書いていないことがあって、チャレンジなどでよく分からないところがあったので。
正体の確認ができなくて戦闘をした場合、人間同士で同士討ちになったりするのか、など。
ルールに特に書いていないということは、たぶんそうなるのでしょうが。
もうちょっとプレイしてみないといけないですね。
まあ、ちょっと面白げではあるゲームです。
そのうち隔月ボー通にも登場するかもしれません。

"Buffy the vampire slayer"
Susan Prescot Games(発売), 2000
2-8人

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                   発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 9号「デトロイト・トイザラスのボードゲーム事情 」

 アメリカのデトロイトへ1週間出張に行っていました。その間、私が宿泊していたホテルから車で15分くらい行ったところにトイザラスを見つけましたのでレポートします。

【 駐車場がとっても広い「トイザラス」 】
 店の中は、トイザラスの語源である"Toys are us「玩具は我々みんなのものなんだよ」"の言葉の通り、店は様々な種類の玩具を取り揃えています(訳が適切かどうか良く解りませんが...)。その一角にボードゲームコーナーが設けてありました。その中でいくつか気になったボードゲームを紹介します。


【 クルー(Clue) 】
 Clueは有名なゲームですが、Original Clueの他に、駒やボードを豪華にした50th Anniversary Clue(Clueの設立50周年だとは思いますが)やルールを簡単にしたClue Jr.などが揃えてありました。こうやって、遊びやすい形でリメイクを行って、プレイヤーの層を広げるやり方は大好きです。といっても実はこのゲーム、まだ1度も遊んだことがありませんので、次の機会に。

【 ハリー・ポッター(Harry Potter) 】
 ハリーポッターを題材にしたゲームが多く売られていました。ボードゲーム2種類とカードゲーム2種類(うち1つはUNOのハリーポッター版でした)を揃えていました。別の会社がボードゲームをこれらとは別に1種類出していましたが、いずれも買うのを断念しました。その中の1つのボードゲーム(名前はド忘れしました)の裏面を見てみると、ゲームの流れが簡潔に書いてありましたので紹介します。

 それを読む限り、大まかな流れは「駒を動かして、カードに書かれている質問に答えるとそのカードがもらえる。一定の枚数を集めたプレイヤーが勝者になる」内容だったように記憶しています。しかし、カードに書かれている質問内容を見ると、ハリーポッターを熟読していないと答えられないようになっていましたので、これを持って帰ってプレイしたとしても、いつまでもゲームが終わらない気がしましたので、買うのを断念しました(笑)。

 ただ残念なことに、映画もしくは本を題材にしたゲームは、題材の寿命に追従するため、販売期間が他のゲームに比べて短いように感じます。実は2年程前にアメリカへ出張に行った時も「ジュマンジ(映画ジュマンジを題材にしたボードゲーム、映画は結構気に入っています)」を見つけたのですが、今回は見つけることが出来ませんでした。ハリーポッターは7巻まで出ることが予定されていますので、ハリーポッター熱はしばらく続くと期待しています。

【 Imagiriumシリーズ 】
 既に馴染みのあるゲームの駒やボード版をガラス片や豪華木製で豪華にリメイクした「Imagirium」シリーズが売られていました。ゲームの題材として、「バックギャモン」「マンカラ」「Chinese Checker」「Tic-Tac-Toe」等があります。

 今回は、"Tic-Tac-Toe"を購入しました。40cm四方で3×3の溝がついた木製のボードの上に、"○"と"×"の形をしたガラス片がそれぞれ5、4個ずつ並んでいました。「これは、もしかして…」そう、明らかに○×ゲームです。しかし、あっと驚くような変則ルールがついているに違いないと思っておもわず購入してしまいました。そして、マニュアルを読んでみるとそのまんまのルールでした(笑)。

 しかし、1度は笑いが取れそうなゲームを見つけると、つい買ってしまうのは、大阪生まれの性でしょう。

 以上、デトロイト・トイザラスのボードゲーム事情でした。

【 追伸 】
 "Tic-Tac-Toe"のゲームルールに補足があります。"プレイヤーは○と×のどちらかを選択すること"と書いてありますが、駒の数に限りがあるので、初めに駒を置くプレイヤーは必ず"○"を選択する必要があります。そうしないと、ゲームの後半で駒が足りなくなることがありますので…。



週刊ボードゲーム通信 8号 「AGORA」

 パリで発見した、ボードゲーム屋さんに、
「French game で English rule がついてて、interesting なゲーム」と言って紹介してもらったゲームです。
木製のボード、正方形の白黒コマ。なにやらチェッカーのような、オセロのような雰囲気。
箱の裏側には、仏語、英語、独語での説明がある…はずが、家でよくよく見ると、ルールの抜粋。
嫌な予感がしながら、中に入っていたマニュアルを見ると…フランス語!
どないせえっちゅーねん、と思っていたのですが(これはチャンス♪、とは思わなかった)、
幸いCD−ROM版があり、それには英語の説明がついていました。やれやれ。
CD−ROM版は1人プレイもできます。それでちょっと確かめながら、この記事を書いているわけですが。
 と、いうわけで、この"AGORA"、たぶん「アゴラ」だと思うのですが、分かりません。6×6のマスでボードが構成されていますが、平面ではありません。中央の4×4のスペースが一番低く、その周りが2段目、さらにその周りに3段目の高さでマスが設置されています。
 コマは表が白、裏が黒に塗られていて、8個づつ、白軍と黒軍に分かれてプレイします。
自分の手番には、自軍のコマを1つ、縦横斜めの方向に1マスだけ動かせます。移動時には、高さは関係ありません。
 敵のコマが隣りのマスにいる時、相手と同じか、より高い位置に自分のコマがいれば、相手のコマを裏返しにして、自分の色にして、上に重なることができます(スタック状態)。
スタックしたコマでも、2個まとめて移動することはできず、上から1個づつ移動しなければなりません。
 また、敵のコマの方が、より高い位置にいる場合に、降伏を選択して、色は自分の色のまま、相手のコマの下に入ることができます。
このスライドにより、自分の色のコマの数が、相手を上回れば、「革命」となって、スタック全てのコマを、自分の色にできます。
 自分のコマが、自分のコマにスタックする時は、移動するコマが「孤立」していなければなりません。
「孤立」とは、スタックしようとするコマ以外に、他のコマに接していない状態です。
 重なって、相手を取ったと思えば、すぐにまた裏返されたり、なかなか奥の深いゲームです。
しかしながら、そのランダム性の無さは、ちょっと辛いかもしれません。
何を隠そう、私はコンピュータに勝てませんでした(多分一番低いレベルだったのに…)。

"AGORA"(「アゴラ」)
STRATE & J(発売)
2人

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                   発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 7号 「ディ・ハンドラー」

 「ディ・ハンドラー」は、2〜4人でプレイできるボードゲームです。
しかし、その内容からして、明らかに2、3人ではなく、フルメンバーでプレイした方が良いでしょう。
 プレイヤーはそれぞれ商人となって、中世ヨーロッパの6都市を舞台に、商品を仕入れ、馬車で輸送し、都市で売却していきます。
 ゲームは6つのフェイズで構成されます。

1.商品の購入を行う。6都市それぞれ、購入できる商品が異なる。
購入価格は、後のフェイズ4で変動するので、いかに安く仕入れるかがポイント。
さらに馬車に積み込んで運ぶ必要があるので、馬車のある都市か、到着間近の都市で仕入れる必要がある。
2.3台ある馬車の権利を、それぞれ入札する。最も高額で入札した商人が、馬車の権利者となる。
他の者は、権利者との交渉によって、商品を馬車にのせて、一緒に輸送してもらうことができる。
3.馬車の移動を行う。権利にかかわらず、どの馬車でも移動させることができる。
複数の人の商品を積んでいると、それだけ早く都市に到着できる。
4.商品の価格の変動を行う。それぞれの商品ごとに、購入価格は100〜400ギルダー(お金の単位)の間、売却価格は600〜1000の間で5段階に変動する。
プレイヤーは円形表示盤を使って、値上げしたい商品を2つまで、秘密裏に選ぶことができる。
当然、売値の場合、最高値の1000を目指していきたいが、1000の次に、さらに値上がり指示があると、
今度は最安値の600に暴落してしまうため、注意が必要になる。
5.馬車の到着した都市では、決定した価格で、商品を売却する。
6.地位の向上を行う。4人プレイでは、馬車が8回到着したら、そのラウンドの最後でゲーム終了となる。その際、地位が最も高いものが勝利する。
地位には、小商人から、ギルドマスターから、最高位には参事会員とあり、
それぞれ、向上にかかる費用、さらにその維持費用も払わなければならず、結構、お金のやりくりには苦労する。

 ざっと、こんな流れです。まだまだ細かいルールもありますが、それはさておき。
 このゲーム、コンポーネントが良いです。
コインを入れておく布袋、木製の荷馬車、Kramerおなじみの円形表示盤、ボードの絵、いずれも雰囲気十分です。
 ちょっと難点なのは、やはり、最初の頃は相場がわからない点です。
大概の交渉でそうなのですが、いったいいくらが妥当な線なのかがわかりにくい。
そして、序盤の差が最後まで、地位となって響いてしまいます。
しかし、逆に、自由な交渉ができるのが、このゲームの魅力でしょう。
 作者の、Wolfgang KramerとRichard Ulrichは、1996年に「エルグランデ」でドイツゲーム大賞を受賞しています。

"DIE HANDLER"(「ディ・ハンドラー」)/Wolfgang Kramer & Richard Ulrich(作)
QUEEN GAMES(発売), 1999
2-4人,90分



週刊ボードゲーム通信 6号 「トーレス」

 昨年(西暦2000年)のドイツゲーム大賞受賞作、「トーレス」です。
 「トーレス」は2人から4人でプレイできるボードゲームです。
それぞれのプレイヤーは最初、ボード上に自分の騎士がいる城を1つ持っています。そして、誰のものでもない城もあります。
ボードは8x8のマスで構成されていて、そこに城をどんどん増築していきます。手持ちの城は基本的にボード上の城に付けていくしかできません。
城は重ねて置いて高くしていくこともできます。ただし、城の面積分の高さまでにしかできません。
面積が2コマ分しかない城は2階建てにまでしかできず、面積が5コマあれば、5階建てまで可能です。
手持ちの城はどの城にでも付けていくことができます。
ただし、それぞれの城をつなげるような置き方はできません。“合併”はないわけです。
 自分の番には5ポイントのアクションポイントを使用して行動します。
騎士を新たに発生させるには2ポイント、それ以外の、騎士の移動、城のコマの配置(増築)などは1ポイントです。
騎士はどの城にも登っていけますが、1階づつしか上がれません。一気に2階分は登攀できないのです。
その他に、1ポイントでアクションカードの購入ができます。
アクションカードは、一気に2階分上がれたり、余分に城を増築できたり、使えるアクションポイントが、その時だけ7に増えたりと、強力な効果があります。
 騎士の移動は非常に不思議なものになっています。
それというのも、同一階の建物の下を通るときは、1ポイントでどこまでも移動することができるのですが、建物の外や屋上を移動するときには、1ポイントで1歩づつしか動けないのです。
この騎士たちは日の光に弱いバンパイアかいなと思いきや、なんのことはない、ここは砂漠の町なので炎天下は移動力が落ちるのでしょう(推定)。
ここら辺のパズル感覚は、ちょっと好き嫌いの分かれるところかもしれません。屋内移動が苦手な人は、なかなかうまくプレイできない局面があります。
 さて、得点機会は3回あります。
各回で(自分の騎士がいる城の面積)×(自分の騎士のいる高さ)が得点になります。
同じ建物に2人の騎士がいても得られる得点はどちらか高い一方だけです。
自分の騎士が面積3の城の3階にいると、3×3で9ポイント、というわけです。面積3、高さも3階建ての城の2階だと、3×2で6ポイントです。
Kramerの作品らしく、このゲームでも、得点計算用のます目がボードの外周にぐるっと配置されています。ここの得点計算コマがよく、不可抗力によって跳ね飛ばされたりするので、注意が必要です。
 城の面積を大きくしなければ、高い建物は建築できず、面積を広げれば、それだけ他人の騎士が上がってくる余地も大きくなります。
この辺の葛藤の大きいゲームは、なんかいいですね。
最初のうちは、協力(寄生?)して高い建物を作って、タイミングを見計らってアクションカードを使用して、一気にタワーを作ってしまうのが良いと思います。
相手が登って来そうな所には、別の騎士を発生させるなど、様々な妨害手段を駆使しましょう。
 アクションカードの引きが、勝負を左右することもあるので、それを懸念する戦略ゲーム好きには、
アクションカードを等分して、各プレイヤーの前に山札として置くヴァリエーションルールもあります。
この場合は、アクションカードの購入時に、自分の前の山札から3枚引いて、1枚を手札に加えて、残り2枚は山札の一番下に入れます。
 建物をうまく抜けて、あっちこっちに騎士を派遣するのが好きな、パズル好きには、上級ルールがあります。
8種類の“MEISTER”カードのうちの、1枚だけがゲームに使われます。
そこに書かれている条件を、得点計算時に満たしているプレイヤーは、ボーナス得点が得られます。
例えば、「外周に置かれている騎士一つについて、1回目の得点計算時には2ポイント、2回目は5ポイント、3回目は10ポイント」といったものや、
「3回目の得点計算終了時に自分の騎士すべてが同じ階数にいれば50ポイント」というものまで、チャレンジングスピリットを刺激するものまで、様々です。
ルールではランダムに決めることになっていますが、最初にプレイヤーの話し合いで決めても、OKですよね。
 作者のKramer & Kieslingは昨年の「ティカル」に続いてのドイツゲーム大賞受賞です。

"Torres"(「トーレス」)/W.Kramer, M.Kiesling(作)
FX(発売),1999
2-4人,60分
2000年ドイツゲーム大賞受賞

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                   発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 5号 「運命のかたち」
 みなさん、おはようございます。今回は「エルグランデ」を紹介します。
「エルグランデ」は2〜5人でプレイできるボードゲームです。プレイヤーはそれぞれ、スペインの大公となり、自分の騎士たちを指揮して領土争いをします。といっても、全く殺伐とはしていないゲームです。各ラウンドの自分の順番に、10の領土に自分の騎士を配置します。3,6,9ラウンドの後にある、計3回の得点計算ラウンドで領土のポイントを争います。
 得点計算ラウンドには、10ある領土について、ひとつづつ決算をします。領土内の騎士の数が1番多いプレイヤーは1位のポイント、2番のプレイヤーは2位のポイント、3番のプレイヤーは3位のポイントを獲得します。ポイントは領土によって高かったり低かったりします。1位は5点で2位になっても4点もらえる領土もあれば、1位は4点、2位2点、3位にいたっては0点という領土もあります。バランス良く騎士を各領土に派遣するか、高得点の領土に絞るかが、ゲーム全体を通じて悩みどころです。3回目の得点計算の後に、最もポイントの高いプレイヤーが勝利します。
 各ラウンドにはアクションカードを選び、スペシャルアクションを行うことができます。他人の騎士を動かせたり、領土を不可侵にする効果のある、王のコマを動かせたり、臨時に得点計算ができたりと、かなり強力なカードもあります。このカードの選択はかなり重要です。
 他人の思惑、自分の騎士の補充、各ラウンドでの行動順位争いなど、あちらを立てればこちらが立たず、というような状況のなか、それを比較考慮しながら、大局を見据え、勝利を目指していくという、戦略性の強いゲームです。しかし、ルールがわかりにくいことはないので、ちょっと時間はかかりますが、遊びやすいです。最初は、3人ぐらいでしたほうが、さくさく進んでいいかもしれません。

"El Grande"(「エルグランデ」)/Wolfgang Kramer & Richard Ulrich(作)
HANS IM GLUCK(発売), 1996
2-5人,90分
1996年ドイツゲーム大賞受賞

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週刊ボードゲーム通信 4号 「王と枢機卿」
 「王と枢機卿」は3人用のボードゲームです。
4人以上でもプレイできますが、3人プレイであればプレイのダンドリを組むことができ、このゲームの良さが発揮されます。
 3枚の手持ちカードを使って、修道院を建設するか、枢機卿を送りこみます。
ゲームの序盤は修道院を建設し、終盤は枢機卿を送りこむ展開となります。
それぞれの国で、修道院の数が多い順にプレーヤーは得点を得ます。
頑張って1位を狙うか、あえて2位3位でいくかの選択は「エルグランデ」に似ています。
 地図には、修道院を置く場所と、修道院を結ぶ道路が印刷されています。
修道院は道路に沿って建設されていきます。
楽しいことに、道路で連続してつながっている修道院が一定数以上であれば、別に点数を獲得できます。
国境を越えてつながってもOKです。
これは領土権獲得ゲームの新機軸ではないでしょうか。
 他方、枢機卿の配置には修道院ほどの制約はありませんが、各プレーヤーの枢機卿ゴマの数は限られているため、よく考えて配置しなければなりません。
枢機卿は修道院とは違い、1つの国に最も多く置いたプレーヤーのみが得点できます。
正確には、得点のカウントは国ごとではなく国境ごとになされます。
国境で接する2つの国にもっとも多くの枢機卿がないことには、得点できません。
 このゲームは、序盤に不利であっても、終盤の枢機卿の配置で逆転を狙っていくことが可能です。
修道院配置と枢機卿配置の2重構造は新鮮であり、また戦略性を高めています。
 領土権獲得ゲームは、自分の手番がまわってくるまで待たされる傾向がありますが、このゲームはとてもテンポよく進みます。
特に3人プレーなので、手番が早く回ってきすぎて考える暇がないくらいです。
 箱絵がかわいく、値段が安く、初心者も引きこめるお奨めボードゲームです。 
  
 "Kardinal&Konig"(王と枢機卿)/ Michael Schacht 作
(Goldsieber発売), 2000, 3(‐5)人, 40分

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週刊ボードゲーム通信 3号 「ロストシティ」
「ロストシティ」は、最近発行されて2人用ドイツ製カードゲームの中では最も人気のあるものです。プレーヤーは、探検家となって失われた遺跡を探索するという設定です。
 遺跡には5種類(砂漠、海底、雪山、森林、火山)あります。遺跡への出発は容易ですが、大きなリスクが伴います。周到な準備の後、出発するか。見切り発車するか。いったん出発すれば、もう引き返せません。
 2人でプレイするということが、このゲームの妙です。自分が捨てたカードは相手に拾われてしまうため、要らなくても気安く捨ててしまうわけにはいきません。かと言って、手に押さえておけるカード数は限られており、あふれてきたカードは処理しなければなりません。探検に出発してカードを使うか、相手に使われること覚悟で捨てるか。この選択があるためリスクの高い探検に出発しなければならないときが来るのです。
 このゲームは我慢のゲームです。どこまで我慢できるかを見きわめなければなりません。そして、勝つためには、欲しいカードを引くことができる能力が必要になります。
 このゲームにはとるべき戦略パターンがいくつか存在します。どのパターンで行くかということは、状況によって変わってきます。運の要素はわりと大きいですが、勝敗は3回戦で決めるので、その回ごとにそれなりにベストを尽くせます。

 ところで、試みに強引に3人でプレーしてみたところ、運の要素が高くなりすぎました。やはり2人プレーでなければなりません。
 また、アメリカのボードゲームサイトを見ていると、「ロストシティ」は評価が高く、いろいろと意見が掲示されています。4人用の「ロストシティ」ルールも発表されていました。これはクナイツア自身によるものです(参考に、アドレスは下記の通りです)。
 http://194.168.54.52/chris.lawson/rk/lostcity/lostfour.htm

"Lost Cities"(「ロストシティ」)/Reiner Knizia(作)
 KOSMOS(発売), 1999
 2人,30分,カードゲーム

*「まぐまぐ週刊ボードゲーム通信」読者用の掲示板を増設しました。
 このメールマガジンへのご意見等があればどうぞ。
 また、各ゲームに対するコメントなどもお気軽に書き込んで下さい。
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                   発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 2号 「ローゼンケーニッヒ」

 「ローゼンケーニッヒ」は、最近増えてきた2人用ボードゲームです。
ばら戦争の時代のイギリスを舞台にして、ランカスター家とヨーク家に分かれて勢力を競います。
両家はそれぞれ、目印に赤いバラと白いバラをつけていたそうです。
 縦横9マスに仕切られたボード上を、カードを消費して王のコマを動かします。
王を移動させた先に自分のコマをおき領土としていきます(王のコマは1つだけ存在します)。
領土は1つ1点なのですが、連結したら2乗していけます(2つつながると4点)。
自分の領土をつなげることが狙いとなります。
同時に、相手の領土をつなげないようにすることも必要です。
 ルールは簡単です。「よし2人用のゲームをつくるぞ」と思い立って、15分でできたようなゲームです。
このゲームに関しては、あまり研究する余地がないと思います。
それは、単純なゲームだからではなく、状況を把握してその場その場で最も適切な行動をとる戦術主体のゲームだからです。
一般的に、ゲームの戦術に関しては論じることがあまりありません。
それに戦術についての研究はあまり面白くありません。
本来、戦術は戦略のための手段です。

 近年、数多くのドイツゲームが生産されていますが、「ローゼンケーニッヒ」のようにその場その場の合理的な行動を積み上げていくゲーム=戦術主体のゲームが中心です。
長期的な方針を立ててプレイできるゲーム=戦略を練ることができるゲームは、未だ少数です。
 ボードゲームに関するホームページなどを見ると、ボードゲームを紹介する文章は多く見られますが、研究する文章はあまり見られません。これは、ボードゲームについて論じることができる人が少ないという状況のみならず、論じることができるボードゲームが少ないことでもあるのではないかと思います。 
 戦略を立てることができる(それでいてプレイがたいへんではない)ボードゲームの生産を期待します。

   "Rosenkonig"(ローゼンケーニッヒ)/Gunter Cornett(作)
   KOSMOS(発売), 2000年,2人,30分

         発行:ボードゲーム通信社



週刊ボードゲーム通信 1号 「カフナ」

 「カフナ」は2人用のボードゲームです。
プレーヤーは呪術者として、太平洋の珊瑚礁の島々の支配権をめぐって争います。
 島は12個あります。影響力が大きい方のプレーヤーがその島の支配権を得ます。
カードを使用することで、影響力が島に対して行使されます。
島は大きなものや小さなものがあり、支配権を得るために必要な影響力は異なります。
領土獲得ゲームの一般的パターンが踏襲されており、どれだけ合理的に資源を投入するかによって勝負は決まります。
相手の投入資源よりも多くの資源を投入すればその島の支配権を得ることができます。
相手の資源を殺して自分の影響力を生かすことが、合理的な戦術なのです。
 このゲームの良い特徴は、序盤・中盤・終盤それぞれの戦術の違いがはっきりしてることです。
序盤は、ボードに投入される資源が少ないため、領土の奪い合いは激しくなります。
後半になるにつれ支配権は固まり、相手から領土を奪うことは難しくなります。
たぶん勝負は中盤にあるのだと思います。
 「カフナ」が領土獲得ゲームとして特異な点は、2人用であるということです。
ほとんど領土獲得ゲームは3人以上でプレーされます。
それゆえに、できのよい領土獲得ゲームは、交渉や駆け引きの余地があって面白いのです。
しかし、交渉次第でゲームの勝者(敗者)が決まるということが弱点でもあります。
もっとも合理的なプレーをしたとしても、他プレーヤーの気まぐれで結果が決まる(自分が負ける)ことがあります。
他プレーヤー達に結束して妨害されればめったに勝てませんし、他のプレーヤーの交渉スキルが低ければ興ざめな状況が起こるということです。
2人プレーであればこの弱点はなくなります。
 また2人用のゲームであるため、プレイに読みの要素が強くなります。
自分の手札や相手のアクション等から、相手の手札や山に残っているカードを読むことができます。
そうすることで、攻撃すべき地点や防御すべき地点を絞っていけます。
戦略を組み立てていくことが可能なのです。

 最近、2人用のボードゲームが徐々にリリースされていますが、「カフナ」は数学的なモデルで解析できそうなゲームです。
頭を使いたい人にお勧めです。
戦略研究がけっこう可能なはずです。

 ところで、基本ルールよりもオプションルールの方がリアルです。
そちらも試してください。
 
   "kahuna"(「カフナ」)/Gunter Cornett(作)
   KOSMOS(発売), 1999年,2人,30分

      以上


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