2001/2/1
隔月刊ボードゲーム通信4号
「エルグランデ」の必勝法
〜 騎士を配置する土地を見極める 〜
エルグランデといえば、ゲームの開始時にGalicienへ配置した騎士と大公が、9ラウンドもの間全く動くことがなく、また何者にも進入されないままゲームを終了したプレイ経験がある。その時は気にならなかったが、あとになって騎士を配置しやすい土地とそうでない土地があるのではないかと考えるようになった。
今回は、騎士を配置するための条件と土地の特徴を洗い出し、そこから必勝法を導き出してみる。
騎士を配置するための条件
エルグランデは、通常アクションにおいてキングの領土に隣接する土地にのみ騎士を配置できるルールとなっている。このルール下において、各プレイヤーは勝利ポイントを多く取ろうとする。つまり、勝利ポイントを多く取れるような土地に騎士を配置できるよう、キングを配置することが重要となる。これまでのプレイ経験からすると、キングを配置するための条件は次の2つに集約される。
配置するための条件その1 勝利ポイントを多く取れる土地に騎士を配置できるよう、隣接した土地にキングを置く。 | |
配置するための条件その2 自分の騎士を数多く配置した土地にキングを置いて、他の騎士や大公の進入を防ぎ、勝利ポイントを確実に取る。 |
キングを動かす時はスペシャルアクションを使うため、動かす機会は各プレイヤーに平等にやってくる。一方、キングを動かす先は、土地に記されたスコアボードや隣接した土地が影響して、決定することが難しい。そこで、土地の特徴を分析してみる。
キングを配置する可能性が高い土地と、そうでない土地
プレイヤーが勝利ポイントを多く取るためには、勝利ポイントが高く設定された土地に騎士を配置する必要がある。
まずは、それぞれの土地について一番多く取ることのできる勝利ポイント(=騎士数を一番多く持つプレイヤーの勝利ポイント)との関係をまとめると、
「Galicien」のスコアボードは”4・2・0”であるため、最大獲得ポイントは4となる。 |
となる。例えば、Galicienに記されているスコアボードは「4・2・0」となっているため、一番多く獲得できる勝利ポイントは4となる(赤枠線の部分、これを最大獲得ポイントと呼ぶことにする)。
この表をもとに、キングを配置した時と騎士を配置できる土地の関係をまとめると、
Aragon |
Neukastilien |
Valencia |
一方、もう1つの条件である「キングを配置して騎士の出入りを防ぎ、勝利ポイントを確実に稼ぐようにする」に該当する土地について、最大獲得ポイントの順に上位3つを挙げると、Newkastilien (7)、Altkastilien (6)、Granada (6)となる(下表の赤枠部分を参照)。
Altkastilien |
Neukastilien |
Granada |
以上の2つの条件に該当する土地は次の5つになる(下表の緑色部分を参照)。
これで、キングが配置されやすい土地を見つけ出した。これら5つの土地についてキングが同じ確率で配置される場合、ある土地について騎士を配置できる確率は次のように計算できる。
例えば、(上表の赤枠部分)Baskenlandに騎士を配置できる確率を考えてみる。この土地に騎士を配置できるのは、5つの土地の中で、AragonもしくはAltkastilienのどちらかにキングが配置されている時に限られている。よって、騎士を配置できる確率は2/5となる。
この表を見ると、騎士を配置できる確率が1/5と最も小さい土地はGalicienである。つまり、この土地に騎士を配置する機会が他の土地と比べて少なく、冒頭で紹介したように、ゲーム開始から終了まで駒の出入りが全くない状態が起こっても不思議ではないことを示している。
必勝法
Galicienが騎士に最も進入されにくい土地であることはさきほど説明した。そして、2番目に配置する機会が少ない土地はBaskenand、Katalonien、Altkastilien、Sevilla、Granadaの5つになる(いずれも、騎士を配置する確率は2/5)。一方、騎士を配置できる確率が一番高い土地である「Newkastilien」は、勝利ポイントが高いこともあって、いつも激戦区であることを覚えている。以上のことをふまえて、必勝法を次のように導いた。
説明が長々と続いたが、必勝法は随分と短い内容で落ち着いた。
おわりに
今回は、2枚のスコアボード、K&IやG&Kといった拡張セットや、参謀カードによって騎士を任意に移動できる等のスペシャルアクションなどを一切排除した上で必勝法を作り上げたこともあって、完成度が低いと感じている。実際、この戦略法を取り入れてプレイをして見たが、結果は2位留まりであった。
これからも、プレイ経験を積み、必勝法の改善を続けていくつもりである。
「隔月刊ボードゲーム通信5号予告」
「DIE HANDLER」(ディ・ハンドラー)研究
QUEEN GAMES, 1999
Wolfgang Kramer & Richard Ulrich
−商人となって品物を売買するドイツゲーです。
お楽しみに!